Yoz Art Space

エッセイ・書・写真・水彩画などのワンダーランド
更新終了となった「Yoz Home Page」の後継サイトです

一日一書 309 夢の時間

2014-04-26 10:29:21 | 一日一書

 

山本洋三「夢の時間」より

 

(半紙) 

 

 

ぼくの唯一の詩集「夕日のように」の中の一篇。

 

全文は以下の通りです。

 

  夢の時間

 

夢の岸辺に

うちあげられる

セザンヌのリンゴ

やさしい時間の輪郭を

明るくふちどり

閉ざされる果肉に

つつみこまれる遠い青空

 

──夢の時間はいつからはじまったか

鹿の脚の形した寝台は

唾液のようになまあたたかい

海の水にうっとりと浮かび

カモメの瞳

ほどの貝がおまえの閉じたうすいまぶたに

白い影をおとす

 

──やわらかくくずれるのは

 おまえの想い出ばかりでない

 

海の水をたっぷり含んだ風が

おまえの杏のようにすっぱい頬に

冷たいトゲを刺してゆくその時

おまえはみなければならぬ

夢よりさめようとしてなお

夢の中へと逆流する

すきとおるおまえの後姿を

 

 

20代半ばごろの作。

何だかよく分からない詩ですが

その頃は、こういうイメージをひたすら追いかけていたようです。

全体としては、まとまりのないしょうもない詩ですが

第1連だけなら、わりといいかも。

後は、苦しまぎれに書いていますね。

 

  


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする