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NPO法人GRAの活動や考えを伝えます

『 検証庁 』 の設置を検討すべき

2012-05-10 21:27:18 | 日本の被災対応
昨年・2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興作業を円滑に進めるため、同年6月24日に[復興庁]の基本方針が定まり、同じく12月9日に正式に[復興庁]が設立され、先ずは省庁の枠組みを超え同震災からの復興活動を進める“政府本部”が出来た。

( 参考サイト : 『 復興庁 』( Wikipedia ))
( 参考サイト : 【 復興庁・公式Webサイト 】

その設立まで日数が掛かった事と、設立されてからも復興の槌音が聴こえてこない事など、ここでは問題として取り上げるつもりはない。
“復興”とは別に、大切な事を多くの人が忘れてしまっているので、その事を提起したい。


【 想定外では済ませられない 】

問題として提起したい事は、何故 あれだけの人々が命を失うのを防げなかったのか?
何故、過去の地層の研究によって、明治以前には今回と同様な津波が発生していた事が推測されていたのに、今回の津波が想定されていなかったのか?
国や県、そして市や村が想定して対応してきた対策の不備だった点は?

・・ などを検証し、その検証結果を国民の誰もが閲覧できるようにして、今後の自然災害に対する考えや対策を日本全国で活かすべきです。

東京電力福島第一原子力発電所の事故については、「 想定外では済まされない!」という論調が正当であるとみなされ、それを契機として全国的に “脱原発”の動きが活発になっている。

今回の原子力発電所の事故で直接的に人命が奪われた件は無い。
しかし、想定外だった筈の、津波では 15,000名を超える人命が失われ、今なお 4,000名弱の方々の安否が不明のままで、その方々が命を失ってしまった原因や対策について国や県などの行政機関が率先して検証している様子はない。

このままでは、仮に全国の原子力発電所が全て廃炉になったとしても、同様な震災が何処かで発生すれば、無用に人命を失う事に繋がるのは明白です。
その上、震災から月日が経ち、復興が進むにつれて、ひとりひとりの方がどのようにして命を失ってしまったのかを検証する物証や記憶が失われてしまい、大切な検証作業が進め難くなるのです。


【 何故、検証作業が進まないのか 】

以上の通り、同様な自然災害が発生する事を想定した場合、同様な悲惨な結果を招かないようにするには、被害の発生状況の検証作業と検証結果を公開する事はとても大切な事です。

では、何故検証作業が進んでいないのか?考えてみた。

日本人の特性として、“泥縄方式”に慣れているため、起きてしまった災害への対応だけに目が向いてしまって、同様な被害を発生させないための処置に関心が薄い人種なのか?

いや!違う。
1995年1月17日に発生した 阪神・淡路大震災の時には、それまでの耐震基準では不足していた点が検証され、法律の改正もなされ、教育施設を始めとする多くの建造物に追加で耐震補強工事がされた事実から見て、決して検証作業が不得意なわけではない。

では、何故今回は検証作業が進まないのか?
それは、原子力発電所の事故が発生した事と、多くの人命を失う事になった被災対策の不備・不足の責任を 国や県、市などの行政機関が認めたくないからだろう。

被災した地域では、従来から大津波が発生しても対応できる街づくりと、避難訓練を始めとする被害を抑えるための対策が日頃からなされていた。

ただ、想定すべき津波のレベルがどれも不足していたため、多くの方が亡くなっている。
各地に建設されていた「防災センター」へ指示通りに避難したものの、防災センターが水没して亡くなった住民の方々。防潮堤の水門を災害時のマニュアルの通りに閉じに行き、防潮堤を大幅に超える津波で亡くなった消防団員の方々。
その他、住民の方の誘導などのために出動していた消防団員の内、254名もの方が亡くなっていると聞いている。

つまり、災害発生時に率先して指示を出すべき人々に対してさえ、各行政機関は適切な“想定”をしていなかったのだ。
これは、ある意味では“人災”と言えるだろう。


【 原子力発電所の事故への対応は・・ 】

世界の主なTV局では、今でも「 東日本大震災 」の報道番組を放映したり、政治や経済関連のニュースで取り上げる事もある。
しかし、それらは 殆どの場合、津波で無くなった方々や被災した人の事ではない。
主に、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連したニュースに大きな関心を寄せているのだ。

そう、亡くなった方の事に強い関心を示さないのは珍しい事ではない。
実際、2004年に発生した「スマトラ島沖地震」によって発生した大津波により、全世界で 22万人を超える、大変に多くの方々が亡くなったが、
私達日本人でさえ亡くなった人の事に強い関心を示していないのだから。

( 参照サイト : 2004年・スマトラ島沖地震 Wikipedia

では、今回の津波で無くなった方々に対しても、2004年の時と同じように接して良いのだろうか?
いや! それはあってはならない事だ。

例え、諸外国が原子力発電所の事故とその後の対応や放射線レベルに関心を寄せていても、私達は無くなった人々の事を忘れてはならない。

「 せめて、数人、あるいは数十人の方の命は守れなかったか? 」と、
これから長年に亘って問い続けなくてはならない。
これが、検証という作業が必要な理由だ。

国民の命を守るという責任が国にあるという自覚があるならば、住民の命を守るという責任が県や市の行政機関にあるという自覚があるならば、“原発事故”にかこつけて責任を放棄する事はやってはならないことだ。

また、幸いな事に被災をしなかった地域に住む方々へ伝えたい。
今回の震災&津波で多くの方々が亡くなった原因を検証する作業に強い関心を持ち、各行政機関を通じて要求していきましょう。

何故なら、原子力発電所が無くなっても、津波の被害はどの地域でもあり得る事だからです。

だから、「脱原発」こそが今回の震災の教訓として捉えるのはやめましょう。
ご自身やご家族の方々の命を守るためにも、今回の震災で暴露した防災対策の不備・不足を追及していきませんか。
何故なら、1万人を超える大半の方々は、津波と防災対策の不備で亡くなったのですから。


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2011年の英雄 : 吉田所長(吉田昌郎 氏 )

2011-12-01 21:38:23 | 日本の被災対応
スポーツの世界や音楽の世界などで、他の人よりも格段に多くの注目を集め、それ故に大半の国民に覚えられ “英雄” として支持された方々が輩出してきました。
古くは(戦後になりますが・・)、プロレスの力道山氏、フロ野球では長嶋氏、相撲では大鵬氏などと、それに該当する方は簡単に列挙できます。しかし、様々なメディアの発達と共に、注目されやすいスポーツや芸能のジャンルが広がり、以前の様に“英雄”は生まれなくなっていた。

しかし、私達は “英雄” を目にしています。それは、東京電力福島第一原子力発電所の所長を先日まで務めておられた吉田昌郎氏でしょう。

5/30付 産経ニュースより ・ 現場で陣頭指揮を執る 吉田 氏


【 彼の功績 】

最初に断っておくが、彼・吉田所長が人間とは思えない能力を発揮したと思っていないし、彼が些細な事を含めて全くミスを犯さなかったとも思ってもいない。
それでも、彼は人並み以上の功績を残した“英雄”であると考えている。

彼の最大の功績は、何よりもあの現場から不退転の覚悟で、8か月もの長期間指揮を執り続けた事だ。原子炉の冷却機能を失い、頑丈な建屋が水素爆発で全壊する現場に居た人は全員が思った筈だ。人為ミスによって原子炉のコントロールを失い、数多くの死者を出した“ チェルノブイリ ”の事故の事を。
ソ連政府(当時)の公式発表で死者は、現場で緊急作業に従事した運転員や消防員の33名とされているが、実際には事故処理を担当した軍人や予備役兵などを含めると、はるかに多くの方々が亡くなったとの情報がある。

同様に、通常のコントロールを失った 「福島第一原子力発電所」の現場で、死ぬかもしれないという恐怖の中で、数百名の人々を指揮して最少被害に留める努力をされた事にこそ最大の功績だし、それによって 現場の方々の命を救い、更には日本経済全体へのダメージを最少に留めたからこそ、大多数の日本人は平穏に生きてられるのだ。

わが身の危険はさて置き、日本経済と日本国民のために、日本で最も危険な現場で、あの長期間指揮をした人を、“英雄”と呼ばずして何と呼ぶのか。
諸外国では、3月の事故発生直後から現場に留まる事を選択し、我が身の危険を顧みないで被害軽減工作を続けた 50名の方の勇気を称えて、【 Fukushima 50 】(フクシマ50 )と呼び彼らを“英雄視”しているほどなのだ。

12/2付け 産経ニュースより・ 事故調報告「長靴がズルッと溶けた」
ウィキペディア・Wikipedia より・【 フクシマ 50 】


【 彼の受けた待遇は 】

例え、英雄と呼ぶのに抵抗を感じる人であっても、我が身を彼の立場に置き換えて考えてみれば、その功績の偉大さは十分に理解できるだろう。

当時の総理大臣、菅首相の指示や本社の指示を無視して、より適切な処置を現場判断で行なった事は既に法幢されているし、多くの方々が知るところだ。
しかし、政府は日本の命運を現場で担っている彼を始めとする数百名の功績に一切触れようとせず、放射性物質による危険レベルが比較にならない程に低い地域の人々の対応だけに追われているだけだった。

それなのに、彼らの功績を無視するかのようなニュースが世界を駆け巡った。
10月21日、スペインで最も権威があるとされる “ アストゥリアス皇太子賞 ”が、『 福島の英雄たち 』という称号であの現場で作業に当った日本の方5名に授けられたが、その5名の中に吉田所長など最も危険な業務に就いている方の名前は無く、東京消防庁ハイパーレスキュー隊や陸上自衛隊、警視庁など、短期間の限られた現場作業を担当した方々だけだ。

更なる深刻な被害を防ぎ、一日でも早く安定した状態を実現させるために、3月以降の 8か月以上に亘って陣頭指揮を執り続けた吉田氏。
自らの身体が病気にかかり、痩せ細り陣頭指揮を続けられず、ようやく現場を離れることになった吉田氏。
彼に、日本国民はどれ程の関心と感謝の気持ちを抱いたのであろうか。

現場を離れるニュースがTVで流れた際、あろう事か! 細野原発担当相が記者会見の場で言った言葉は、「 元気になって、改めて現場復帰して欲しい 」という趣旨の言葉だった。

有り得ない。
3月以降、公の場で吉田氏の功績を殆ど口に出さず、退く段になってから話題に挙げ、その上で復帰を望む発言など。
重大事故である事を認識しているならば、国家にとって重大事案だという担当大臣としての自覚があるならば、現場で作業する方々の交代・補充や作業工程の管理・遂行していくための万全の手配などは、とっくに行なっていて当然だからだ。

「 お疲れ様でした 」
「 どうぞ、しっかりと病気を治し、お寛ぎ下さい 」

10/22付け 産経ニュース・スペイン皇太子賞受賞式
11/28付け 産経ニュース・吉田所長のメッセージ全文


【 私達は何を為すべきか 】

では、この東京電力福島第一原子力発電所に関して、私達は何を為すべきだろうか。
それは、我が身の為ではなく、人の為・社会の為に、何ができるかを考えて実践し続ける事ではないだろうか。

この事故による影響を極力避け、まるで“他人事”の様に暮らす生き方を選ぶのではなく、“当事者”の一人として出来る事を行なうべきだと思う。
ボランティアとして被災した地域へ行かなかったとしても、募金に応じなかったとしても全く問題は無い。

事実を事実として正確に捉えて認識し、政府やマスコミなどの広報や活動に目を光らせ、誤りを誤りとして指摘する行動を、身近な範囲で行なうだけで良いと思う。
そうすれば、極低レベルの放射性物質による健康被害を恐れ、福島県以外のガレキの居住地への搬入さえ反対する様な行動は抑えられるだろう。

ここに、古いニュースですが、自らその活動を起こした方々の一例を紹介する。
[ Save Fukushima 50 ]と題うって、あの現場で働く人々の健康のために、日本国民を始めとして全世界の方々へ協力を呼びかける活動だ。
活動内容と共に、その活動趣旨文に溢れる静かな情熱の大きさは、誰にとっても一見以上の価値があるだろう。

[ Save Fukushima 50 ] の企画内容と協力要請文


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あの現場に、“ 炊き出し ”を、 “ お風呂 ” を!

2011-05-27 21:34:42 | 日本の被災対応
政治というものは、才覚の無い者が担当すると、誠にやっかいなものです。

国のため、市民のために働くべき者が、[ 政治家 ] という権力を守らないと
“政治”が 担当出来ないと信じているからです。

権力を守るために、国を忘れ、市民を忘れ、迷走する姿が実にあわれに映り
ますが、これは元首や閣僚に限ったことではなく、政治家全ての基本的な性向
なのです。

では、私達は “ 誰 ”を頼りとするべきでしょうか?
私達は何を見て、何をするべきでしょうか?



【 吉田所長、彼こそ 一番の頼り 】

福島第一原子力発電所の所長・吉田昌郎 氏こそが、この“国難 ”解消 に
一番頼りになる人です。
いや、日本の未来を守っている “リーダー”です。

3/11、 大震災で被災した後、あの“現場”に居て、より深刻な破壊を免れるため
適切な判断を下していたのが 彼 だった事は多くの人が認めるところです。
「 吉田所長は勇敢で現実的だった 」 と、 政府関係者の証言もあります。
( 3/25付け 週刊ダイヤモンドより ・・「世界が震撼!」 )

そして、国会などで取り上げられている 「海水注入中断の有無」 の件ですが、
実際には 吉田所長の判断によって、原子炉の応急冷却に欠かせなかった
“海水注入”は中断されていなかったのです。
( 3/26付け・産経ニュースより 「 注入継続が何より重要 」 )



【 統合対策本部を、あの“現場”へ! 】

なぜ、政府や東京電力(広報)が発表する情報が二転三転したり、発表情報が不足していたりするのか?

それは、“現場”とは ほど遠い場所から 命令・指揮 しようとしているからに
他なりません。

しかも、政府には “政治家権力”を 守る事が一番重要で、東京電力本店の面々
には“給料”を 守る、つまり失職しない事が一番重要だから、発表内容がいつ
でも適切だと言える補償は無いのです。

この問題の解決策は簡単です。
現在、政府と東京電力が一緒になって立ち上げ、東京電力本店に設置されている[ 統合対策本部 ]を、 あの“現場”・福島第一原子力発電所 の 施設内に
移設すれば良いだけなのです。

そして、吉田所長の 身分・待遇を 特別公務員待遇に処し ( 出来れば、
大臣級の権限を短期的に付与する )、東京電力の 社長または副社長、そして
副大臣級の閣僚を数名を現地に赴任させるのです。

政府機能および権限を持った者が“現場”に居るわけだから、 “現場”の状況に
適した判断によって対策が行なえるし、彼らの指示によって 日本全国の様々な
研究機関や研究者、機器を総動員した対策が可能になるでしょう。

何しろ、“現場”に飛び込んで、身の危険を冒しながら指示・命令する人の言う
言葉には 真の“ 重み ” や “ 説得力 ”があるのですから。



【 無視し続けられている “彼ら” 】

大震災による被災によって、現在も 10万人を超える方々が避難生活を余儀なくされている様子が今も伝えられています。

そんな方々の生活環境を改善するために、政府や地方自治体を始めとする多く
の方々の努力によって、様々な対策が講じられています。

「 炊き出しによる暖かい食事の提供 」
「 移動式給湯車両による 入浴サービス 」
「 衣服や下着、生活用品などの提供 」
「 仮設住宅建設によって、快適な生活環境の提供 」 ・ ・ etc

どれもこれも、欠かせない事ばかりで、これからもっと厚い手当になる事を願います。

しかし! そんな報道・発表を見ただけで 私達は満足してはいけないのです!
吉田所長を始めとする、“現場”で活動をしている “彼ら” の悲惨な生活環境を
改善する事こそが、現在の日本にとって一番大切な事だから。

“彼ら”の 過酷な生活環境は、震災以来 さほど改善されていない。
食事はレトルト、宿舎は「ビレッジ」という施設でスシ詰め、ベッドもパーティションも無く、充分な入浴も出来ず、現場作業は 「防護服」に「防護マスク」で、毎日が体力勝負。
その上に、健康を害しかねない程に高いレベルの 「放射線環境」の中で、未来を任された作業が毎日続いています。

先日も、作業二日目の方が急死された事が知らされました。

果たして、こんな状況を私達が黙認して良いのでしょうか? いや、できません。
吉田所長を始めとする方々を始めとする大切な人の健康は、未来の日本の
健康そのものなのですから。
( 5/19付け 産経ニュース ・ 「 2時間で汗だく 」作業員語る )



【 移転のススメ、注目すべき先は 】

重ねて主張します。
[統合対策本部]を 福島第一原子力発電所の施設内部へと移転させ、関連
する責任者の方も異動させるべきです!

そして、吉田所長をトップとして、国の総力を挙げての対策が出来るように権力を付与すべきなのです。

当然ですが、現場で作業する“彼ら”には [仮設住宅]以上の設備を整え、民間
避難施設以上の食事を提供し、衣服や下着は充分以上に整え、洗濯や入浴、
給仕 など専任のスタッフを充分に配置するなど、“彼ら”の生活環境を
整えるべきなのです。

日本の未来を守るために、過酷で悲惨な環境の中、毎日誠実に貢献している“彼ら”の存在を忘れないように、周りの方々へ発信していきましょう。
そして、“彼ら”が 安全で健康なまま、あの“現場”から生還する日が早く来る
事を一緒に願いましょう。


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“彼ら” に [連休] は あるか ?

2011-04-29 01:23:22 | 日本の被災対応


いよいよ、連休 が始まった様子ですね。

二連休、三連休に留まらず、人によっては 十連休を取得した人も少なくない
様子です。
昨晩、いつもの週末よりも、ビル内のオフィスの灯が消える時刻が随分と早かった事からもそれは窺えました。

しかし、福島第一原子力発電所で作業を行なっている “彼ら” にとっては、 連休はもはや無関係な存在でしょう。



【 日々、着実に進行している作業の陰で・・ 】

3月11日、太平洋に面した施設の中に居て、大地震に続く巨大な津波による被害を免れた“彼ら”ですが、続いて発生した “事故”のために 長期間に亘り劣悪・過酷な環境の中で 重い責任の作業を強いられています。

そして、“彼ら”のお陰によって、着実に 放射性物質の漏えい防止と 原子炉の安定化の作業が進んでいる様子も連日報道されていて、とても嬉しい限りです。

しかし、同時に、“彼ら”の ストレスや健康へのリスクも進んでいるとの発表が
あり、その発表の中で大変に気掛かりな点が 一つあったのです。
それは、4重のストレスの一つとして、[ 加害者 ] としてのストレスが挙げられている事です。
4/22付け 産経ニュースより ・ 原発作業員を襲う4重のストレス

果たして、“彼ら”は [ 加害者 ]なのでしょうか。



【 流された “重油タンク”の場合は ・ ・ ・ 】

東日本大地震による大津波は、 500kmを超す沿岸地区に被害を与えました。
気仙沼を始めとした臨海地域にあった 重油タンクなど石油貯蔵・加工施設は
大きな被害を受け、それらのタンクが 津波によって内陸部へと運ばれ破損していく様子は、大きな衝撃を受けた報道映像の一つでした。

そして、それらのタンクから漏れ出た 重油などによって、広範囲な地域が火災に見舞われ、広大な地域が燃えるままに委ねられてしまったのですが、この火災に対しての補償問題は一向に報道されていません。

それは当然な事でしょう。

国の基準に沿って建設・管理された 石油施設が、想定外の “天災” によって
破損したのですから。それによって広大な面積の火災を招いたとしても、それに
よって避難場所を失い亡くなった方が居たとしても、石油施設管理者に大きな落ち度があったとは言えないからです。

では、石油施設以上に国の基準や管理が厳しいと判断される原子力発電所の事故の場合はどうなのでしょうか。

過去のレベル以上の天災に対処した施設基準でしたが、それを遥かに上回る
規模の津波によって、予備の発電施設が破損した為に発生した事故なのです。

確かに、国の経済に大きな損失を今も与え続けている事故ですが、重油タンクの
場合とは異なり一人の生命も奪っていないの事は明らかなのです。

「原子力」 や 「放射性物質」 に対して感情的になる傾向は理解できますが、事実は事実として 冷静に受け止め判断する事が大切なのです。



【 “彼ら”こそ、被害者なのです 】

[ 天災 ] とは人の意思とは無関係に発生する事象で、[ 事故 ] とは人の意図に関係無く発生する事象であり、今回の福島原発の件も基本的にはこれらの範囲内で考えるべき事象です。

しかし私は、福島原発を巡る感情的な対応によって、[ 事件 ]という不幸な結果を招く恐れを感じています。

[ 事件 ]とは、不特定多数の人の感情的意見によって、“彼ら”の 健康や生命の安全が大きく損なわれてしまう事を指しています。

歴史上の混乱期において、不特定多数の感情的な“民意”によって、特定の方々が迫害され生命を奪われる [ 事件 ] は決して珍しい事ではありません。
しかし、[ 事件 ]は 防ぐべき事象・事案 とするべきなのです。

既に述べてきたように、福島第一原子力発電所で 日々の作業に打ち込んでいる “彼ら” は決して [ 加害者 ]ではありません。

むしろ、最も過酷な 放射性物質レベル環境の中、健康や生命の危険に脅かされながらも、日本の未来を守るという重大な責任を担っている“彼ら”を正当に
評価して支援する責任が全国民にあると考えています。

その責任を果たさず、感情な考えに流されて “彼ら”を論じるのであれば、
“彼ら”こそ “被害者” となり、私達側が [ 加害者 ]側になってしまうのです。

私達には、“彼ら”を正当に評価せず精神的な迫害を与える [ 事件 ] の進行を止める責任がある事を認識しなくてはならないのです。


○ 以下、“彼ら”の 健康管理に関する続報です。

4/23付け 産経ニュースより ・ 熟練作業者の蓄積量が増大
4/19付け 日刊!目のニュースより ・ 健康状態を今後30年調査



世界の人々は、 情報に飢えている

2011-04-28 23:19:01 | 日本の被災対応
当然ながら、福島第一原子力発電所 から 放射性物質の漏えいを完全に止め、 原子炉を安全なレベルで安定させるには相当の日数が必要です。

恐らく、早くても 3~4カ月、事態によっては 1年近くの期間が必要になるだろう。
だからこそ、この期間、何をするべきかを一緒に考えて欲しい。


【 日本国内では薄れ、他国では残り続けるものは ・ ・ 】

日本国内に住む者にとっては、原発の話題以外に 避難所 や 仮設住宅 などの話題から、 漁業や農業従事者への補償問題から 政治問題まで色々な話題が渦巻いているので、 放射性物質が漏えいし続けている事に 以前より “鈍感” になっているようだ。

しかし、世界の人々は違う。
日々の生活の中で “福島(FUKUSHIMA)” のニュースを視る回数は減っているが、 [ 日本 = 放射性物質汚染 ] の イメージ は 決して変わらないし、 忘れ去られるものではない。

そして忘れない人々は、諸外国の 政府担当者 だけではありません。
諸外国、全世界の 国民・人々にとって、 [ 日本 = 汚染 ] の イメージが残るのです。

以下の例は、ロシアへ輸出した車両が、共に受け入れ拒否された2件の例です。
4/18付け 産経ニュースより ・ 輸入車から放射線検出、日本政府当惑
4/28付け 産経ニュースより ・ 中古車から基準超放射線



【 なぜ、イメージが残るのか 】

日本を除く諸外国の人々に [ 日本 = 汚染 ] のイメージが残るかと言えば、
福島第一原子力発電所 が 水素爆発 した ニュース&動画 のインパクトだけが
強く残り、 それ以降の 様々なニュースが届いていないからです。

水素爆発 以降、復旧工事によって改善している様子や 具体的な汚染レベルのニュースなどが、 各国の放送局で積極的に報道されていた機会が 多くないからです。

まして、言語の違いを超えてインパクトを与える “動画” は 殆ど報道&供給されていないので、 全世界の人々の頭の中は 3月12日時点から大きく変化していないのです。

NHKニュースによれば、政府はアメリカ合衆国の支援に感謝の気持ちを表すため、米国向けの “感謝・広報VTR” を作成したとの事。
何も作らないよりは、国費を使って作る方が良いが、米国の政府や相応の機関対象のVTRではなくて、全世界の人々を対象にした VTR を作成するべきだ。

世界事情に関心ある人ならば理解できると思うが、“情報”が その国の機関によって与えられていた時代は過ぎ、 国境を越えて自由に情報が行き来する今だからこそ、 世界の人々を 対象にした広報こそが大切なのだから。



【 薄れるイメージの中、見て見ぬフリがつづき・・・ 】

政局が 不安定な中、政治家達は 自身の立場や票田を守る事に力を注ぎ、
各報道機関・マスコミの各社は “視聴者を飽きさせない” 報道を目指して、東京電力&原子力安全・保安院 の 会見報道への関心を薄れさせています。

そんな中、今も進行し続けている “被災” を毎日受け続け、その負担を更に増大させている人々が居る事が忘れ去られています。

それは、福島第一原子力発電所で、日本で一番放射性物質による被爆が厳しい環境の中で、 日本の未来を守るという大きな使命を果たそうと尽力している
“彼ら” の事です。

先日、その “彼ら” の 健康状態を危惧している 同施設専属医師の方の 告発 を掲載したばかりですが、“彼ら”の中から 新たな被害者が生まれた事が発表されました。

その人は、比較的安全とされている 「免震重要棟」 の中だけで作業に従事されていた方の様ですが、 “内部被爆”という 影響が長期に亘り残りやすい被爆事故に遭ったのです。
4/27付け 産経ニュースより・ 内部被爆の東電女性社員
4/28付け 産経ニュースより ・ 個人の被爆線量を記録せず

国難” と言える重大な事故にも関わらず、政府は直接にその作業環境や
“彼ら” の健康管理に対して積極的に力を入れる事は無く、不測の事態が表面化する度に、 「 東京電力に対して管理を徹底させる 」 というコメントを繰り返すばかりです。

校庭の土の表面の放射性物質レベルの測定など、とても低レベル環境の測定には様々な方面で政策を進めながら、比較出来ないほどに厳しいレベルの環境に居る人達の事には関心を示していないのです。

その上、厚生労働省は原子力発電所作業員の年間被爆量の制限を、ここに来て撤廃するとの発表をしているのです。
4/28付け 産経ニュースより ・ 厚労省が特例措置



【 何をすべきなのか 】

厳しい環境の中で働き続ける “彼ら” の代替要員は多くありません。

けれども、現場作業はこれからも相当の期間に亘り休み無く継続されなければなりません。
その為の特例措置だと理解しましょう。

しかし、このままで決して良いワケがありません。

せめて、世界中の人々に対して、“彼ら”の活動の存在と “彼ら”の活躍によって 変化していく状況を、言語の違いに関係無く、 分かりやすく伝える 映像・VTR を作成して報道していくべきでしょう。

政府主導で行なっても良いし、認可を受けた団体や個人によって作成させるのも良いでしょう。
一定レベルの検閲をクリアした 5~10分程度の映像を、月に 3~4回作成しての報道(動画サイトへの投稿を含む)を条件にして、国費で負担またはサポートする形にすれば良いのです。

「戦場カメラマン」 の例を挙げるまでもなく、あの“現場”を ドキュメントして追いかけたいと願っている 個人&団体は 決して少なくないのですから。

仮にこの案が受け入れられなかったとしても、「免震重要棟」を始めとする 施設の各所に “Webカメラ”を設置して、24時間 世界中に インターネットを利用して配信し続ける事は行なうべきなのです。

なぜなら、世界中の人々は “放射性物質” には 恐怖を抱きますが、 “彼ら” の活動・活躍に対して 感動し応援してくれるからです。

この “Webカメラ” の設置は、政府担当者にとってもありがたい存在な筈です。
日本の未来を守り続けている現場を直接 “監視” できるからです。

天皇陛下が被災した各地の現場に脚を運ばれている状況を知っている国民の多くは、 「政府担当者は “福島第一原子力発電所”へ 脚を運ぶべきだ!」 と感じているのですから ・ ・ ・

せめて、24時間 “現場” の状況を注視できる環境を実現させ、世界中の人々に同時配信するシステムを導入する事は、 その政治的責任を果たす事に繋がるのです。

そして、世界中の人々は 新しい “情報” に関心を満たされ、 “彼ら”に 同情し、 政府のリーダーシップ的処置を評価し、 日本に対する “汚染イメージ” を 薄れさせていく事になるのです。

これからの数カ月間、日本国として、 是非! 行なうべき処置です。