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太平洋に面した茨城県の海岸線は、延長約190Km、ほぼ中央に位置する大洗を境に南北の様相が大きく変わるとされます。北部は岩礁とその間に点在する砂浜海岸からなる約90Kmで、五浦や高戸小浜などの景観をつくっています。一方南部は、流入する那珂川、利根川の間に単調な長い砂浜が約100キロ続く鹿島灘とよばれる海岸線で、広大な海水浴場もいくつかあります。
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砂浜と松林が続く、その南部の海岸線で見つけた初夏の花です。
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ハマが付く名前の植物の最初は、ハマエンドウ(浜豌豆)です。マメ科にしては大きく豪華な花で、名前の通り日本各地の海岸に分布する海浜植物です。
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ハマヒルガオ(浜昼顔)は朝顔の仲間ですが、昼になっても花を開いているので名が付きました。艶のある分厚い葉は、水分の蒸発を防ぎ、塩分から身を守る働きがあるといわれます。
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ハマボウフウ(浜防風)は中国産の防風という薬草と同じ薬効を持つことからの命名、刺身のツマや山草としても有名です。てんぷらや酢のものにセリ科独特の香りが美味で、近辺では採りつくされてしまったと思っていましたが、久しぶりに見つけて嬉しくなりました。
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ハマナス(浜茄子)はこの辺が南限、すでに花期は終わり名前の由来の大きな実が生っています。
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コマツヨイグサ(小待宵草)は、月見草といわれる大待宵草の小型の花です。本州から琉球にかけて分布しますが、砂地ばかりか内陸部にも拡がっています。
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トベラ(扉)は東北以南の海岸に自生する常緑低木、公園や道路の植え込みなどにも使われています。節分に臭気のあるトベラの枝を戸口に挿して鬼払いをした風習からの命名とされています。
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アキグミ(秋茱萸)の花が咲いていました。ナツグミ(夏茱萸)に比べるとずっと小さな実を秋に付け、少年時代のオヤツでした。
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テリハノイバラ(照葉野茨)も海岸や河川に見られる野生のバラです。葉の光沢がノイバラ(野茨)との大きな違いです。
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これは多分スカシユリ(透百合)の蕾でしょうか。海岸の砂地や崖にオレンジ色の花を咲かせます。花弁の根元が細いため透かして見えるので命名されました。
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コウボウシバ(弘法芝)は、海辺のイネ科植物の代表、コウボウムギ(弘法麦)より小さいので命名されました。弘法の名は、根茎の繊維を筆にしたことから筆といえば弘法大師ということで付けられたという説が有力のようです。
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砂浜にムラサキツメクサ(紫詰草)の群生です。牧草や緑肥に有用な外来種とされていますが、この場所では単なる雑草です。
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ところで外来種ですが、海辺の植物の間にもどんどん顔を出しています。強い繁殖力で在来種を駆逐し、数年で景観が変わるほどなので心配になります。黄色い花はブタクサ(豚草)、この他にセイタカアワダチソウ、オナモミ、ヘラオオバコなどの迷惑植物がどんどん増えています。
風紋に旅の足跡浜豌豆 沼尻ふく
浜昼顔咲くあちら向きこちら向き 清崎敏郎
防風摘む波のささやき聞きながら 高浜虚子
はまなすの花と実半々五能線 高澤良一
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