ムクゲ(木槿)の花があちこちで咲いています。アオイ科フヨウ属の落葉樹、中国原産で奈良時代に渡来しました。中国名の「木槿」の読み「モクキン」、または韓国名の「無窮花」の読み「ムグンカ」が訛ったというのが名の由来だそうです。
この花も、拙ブログ(7/25)掲載のヤブカンゾウ(藪萱草)のように、雄蕊が花弁に変わって八重化する現象が多く見られます。
5枚の花弁の真ん中に出る花柱の白い先端が雌蕊で、花柱の下部を囲むベージュ色が雄蕊です。
下の方に雄蕊が細長い花弁に変化しているのが見えます。
さらに何本もの雄蕊が花弁に変わっています。
そもそも花は、葉の部分が咢になり、咢が花弁になり、花弁が雄蕊、雌蕊と進化したものといわれていますので、この先祖帰りのような現象は珍しくはないそうですが、自然の不思議を見つけると嬉しくなってしまいます。
左の花は、細長かった花弁がだんだん大きくなっています。この状態になると「半八重」というそうです。
同じアオイ科の仲間は、花弁も雌蕊、雄蕊の様子がそっくりなものが多く見られます。
タチアオイ(立葵)です。やがて雄蕊の束の先端から束のような雌蕊の集まりが出てきます。雄蕊の花弁化はこの花でも見られるそうです。
これも同じアオイ科でゼニアオイ(銭葵)、柱頭から雌蕊の集まりが顔を出しています。
同じ仲間には、ハイビスカス、フヨウ(芙蓉)、モミジアオイ(紅葉葵)などがあります。
なお、木槿は初秋の季語で、底紅、木波知須(きはちす)とも詠まれます。
ひそやかにじだらくにゐる木槿かな 森澄雄
朝が来て咲きあらたむる白木槿 高澤良一
底紅の紅を隠して花閉ぢぬ 稲畑汀子
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