顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

ムクゲ(木槿)…花弁になりたい雄蕊たち

2020年08月09日 | 季節の花

ムクゲ(木槿)の花があちこちで咲いています。アオイ科フヨウ属の落葉樹、中国原産で奈良時代に渡来しました。中国名の「木槿」の読み「モクキン」、または韓国名の「無窮花」の読み「ムグンカ」が訛ったというのが名の由来だそうです。
この花も、拙ブログ(7/25)掲載のヤブカンゾウ(藪萱草)のように、雄蕊が花弁に変わって八重化する現象が多く見られます。

5枚の花弁の真ん中に出る花柱の白い先端が雌蕊で、花柱の下部を囲むベージュ色が雄蕊です。
下の方に雄蕊が細長い花弁に変化しているのが見えます。

さらに何本もの雄蕊が花弁に変わっています。
そもそも花は、葉の部分が咢になり、咢が花弁になり、花弁が雄蕊、雌蕊と進化したものといわれていますので、この先祖帰りのような現象は珍しくはないそうですが、自然の不思議を見つけると嬉しくなってしまいます。

左の花は、細長かった花弁がだんだん大きくなっています。この状態になると「半八重」というそうです。


同じアオイ科の仲間は、花弁も雌蕊、雄蕊の様子がそっくりなものが多く見られます。

タチアオイ(立葵)です。やがて雄蕊の束の先端から束のような雌蕊の集まりが出てきます。雄蕊の花弁化はこの花でも見られるそうです。

これも同じアオイ科でゼニアオイ(銭葵)、柱頭から雌蕊の集まりが顔を出しています。 
 
同じ仲間には、ハイビスカスフヨウ(芙蓉)、モミジアオイ(紅葉葵)などがあります。

なお、木槿は初秋の季語で、底紅、木波知須(きはちす)とも詠まれます。

ひそやかにじだらくにゐる木槿かな  森澄雄
朝が来て咲きあらたむる白木槿  高澤良一
底紅の紅を隠して花閉ぢぬ  稲畑汀子

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