顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

梅花一枝

2018年02月10日 | 日記

身内に不幸がありました。
余命を宣告されていましたが、何日か病室に通ううちにぜひ好きな梅の花を見せてやりたいと考えました。しかし、今年の冬は寒くなかなか手に入りません。
そこで、散歩の途中の梅林の剪定されるような一枝を、まだ固く小さな蕾でしたが、ポケットに入れて帰り、冷酒の空き瓶に挿し霧吹きしながら3週間、やっと昨日花を開きました。

多分「紅加賀」という品種だと思いますが、心なしか二回りほど小さめで、しかも紅色も薄く、それでもかすかに香りだけはします。やはり無理して咲かせた生命の儚さなのでしょうか。
しかし、その花さえも待ちきれずに、10日ほど前に生命は尽きてしまいましたが…。

紅梅の蕾の数の雨雫  稲畑汀子
薄紅梅にして蕊黄なる確かさよ  加藤秋邨
紅梅や熱はしづかに身にまとふ  中村汀女

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