顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

ハス(蓮)と仏教…茨城県立歴史館

2023年07月07日 | 水戸の観光

茨城県立歴史館の蓮池に咲き始めたハス(蓮)の花、今年もいっぱい咲いています。

なぜか仏教のイメージの強いこの花は、泥の中に根を張ってきれいな花を咲かせるハスが、挫折や悲しみがあるからこそ、やがて清らかな花を咲かせられるという仏教の教えに通じるとして古来より特別の存在でした。

もちろん仏教誕生の地インドの国花はハスです。因みに日本はサクラとキク、韓国はムクゲ、英米はバラ、ウクライナはヒマワリ……、侵略者のロシアもヒマワリとか、もう一つある国花カモミールに変えてもらいたいですね。

仏像が据えられている台は蓮華座や蓮台といい、その名の通りハスをかたどっています。泥に汚れず咲く花を悟りの世界として、仏像が俗世にそまらず、悟りを開いた状態であることを表しているそうです。


この蓮池には、もともと千葉県の遺跡から発掘された2000年前の古代ハスの種を発芽させた大賀ハスが植えられましたが、その後在来種との交配が進んで純粋の大賀ハスとはいえなくなってしまったそうです。
国内でのハスの品種は数十種もあるそうなので、古代ハスの一種ということでいかがでしょうか。

この日の撮影は午前10時、すべての花が全開になっていて期待していた姿ではありません。ハスの花の命は4日と短く、いちばんの見頃は2日目、しかも半開き位の状態の早朝がいいという情報です。



そこで以前撮影のも加えて8:40→10:00→13:00の時間別に撮った写真を並べてみました。早朝から開き始めた花は、朝9時~10時には全開、昼頃から閉じ始め半開になりやがて蕾へと戻ります。


確かに午前10時の撮影では、花弁は全開になり蓮のイメージと違うような気がします。
いまにも開かんというような花を撮るのには、早朝から7時くらいまで、あとはかえって昼過ぎの方がいいかもしれませんが、さすがに早朝と夕刻の写真は無精仙人には向いていません。


もうすでに花の真ん中に花托が大きく突き出ています。花托の周りにある雄しべは短く、花托の穴から出ている雌しべに届かないため自家受粉せず、昆虫が運んでくる他の花粉で受粉する仕組みになっています。


やがて1か月くらい経つと、花托の中にはしっかりと黒いハスの実が生ります。この様子が蜂の巣のようなのでハチスとよばれ、転訛してハスになったというのが名前の由来です。


同じ仲間の睡蓮(スイレン)との違いですが、花や葉が水面から立ち上がるハスに対して、花や葉は水面上に浮かび葉に切り込みがあるのがスイレンなので区別できます。

万葉集には4句、蓮(ハチス)という名で詠まれています。

      ひさかたの雨も降らぬか 蓮葉(はちすば)に
     溜まれる水の 玉に似たる見む     右兵衛府の官人

     (天から雨が降って来ないかなぁ 蓮の葉に溜まった水が 玉のように光り
                            輝くのを見たいものだ)