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パンダ好きな私のある日の出来事

パンダが好きです。
そんな私の毎日の中で・・・
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雷神不動北山桜@2014年12月歌舞伎座夜の部

2014年12月14日 23時52分04秒 | 芝居
12月の歌舞伎座夜の部を見てきました。
今年最後の・・・ではなく、来週、国立劇場を見て、今年の歌舞伎を納めます。

さて、歌舞伎座は海老蔵を中心として座組。
海老蔵と、右近たちの猿之助劇団の一部の人たちと玉三郎。
夜の部は、毛抜、鳴神、不動の3つの十八番が入っている出し物で、通し狂言です。
昭和62年、国立劇場で復活上演されたのを私見ています。
中学生の頃の私には、毛抜はわけがわからなかったし、鳴神の玉三郎はなまめかしすぎたし、不動の意味もわからなかった。
ただ、紙芝居のように変化があって、古風でおおらかでこういうのが歌舞伎なんだなぁって思った記憶があります。

毛抜は、亡くなった辰之助が復帰した演目でした。
その直後、結局亡くなったこともあって、強烈な記憶です。

今回の通しは、現代人にはわからない部分をちょっと変えたりして、よりわかりやすい作りだったように思います。
見た目で言うと、毛抜の磁石。
方位磁石だったり、U字磁石だったりするけど、今回は、鉄の棒のようなもので、より磁石っぽい。
方位磁石っていうのも古風で悪くないけど、あれじゃぁ、なんで毛がたってるのかわからないし。
鳴神で、滝から飛び立つ龍が大きくて、いっぱいにしてた。
あれも、鯉みたいなのがヒュッてのぼってくだけでわかりにくいからね。
鳴神までの流れでは、雲の絶間姫が文屋豊秀の恋人で、豊秀とそいとげるために鳴神をおとしに行くというのを、あくまでも勅命によるものということにしていました。
こうすると、豊秀が悪い感じにならないし、毛抜で豊秀の婚約者として出てくる錦の前の存在が邪魔にならない。
もともと、このお芝居は、大人の事情で約束を反故にされるってことが多いような気がします。
そもそも鳴神が朝廷を恨んだのも、天皇から頼まれて陽成天皇を男として生まれさせる祈りをして成功したのに、ご褒美をやらなかったからだし。
悪い人が実はそんなに悪くないっていう複雑さがあるような気がするのよね。
なのに、不動は、悪くない人を裁いてる感じがする。
そこを少しでもわかりやすくしてるんじゃないかなぁ、と思いました。

いろいろ演出に走ってるところもなくはない(特に不動)けど、全体的にはおもしろく見られました。
復活上演の演目として、しっかりとした脚本があるからなんじゃないかと思います。
1から作るというものではないのが、おもしろさの安定につながっていたんじゃないでしょうか。

海老蔵の毛抜を見ていて、おおらかさがまだまだという感じがします。
なかでは鳴神がいちばんのニンだと思いますが、これも、大きさがちょっとたりない。
ただ、最近の毛抜の中では、団十郎につぐし、これからが楽しみ。
毛抜ってばかばかしくて本当に難しいと思うから。

玉三郎の絶え間姫は安定のもの。
あでやかさと美しさ、運びの自然さはいいんですが、海老蔵とのコンビだとちょっと年上っぽすぎるのかなぁ。

幕開きは、忠臣蔵と同じように古式にのっとって、口上人形からの人形振り。
最後の立ち回りは、蘭平物狂い。
と、ちょっとしたところに、ほかの演目を取り入れていて、そういうのに気づくのもおもしろかったと思います。

海老蔵と玉三郎以外では・・・
獅童は、どうして歌舞伎的な処理ができないのかなぁ。
最近は、結構歌舞伎にも出られてるのに、ちょっとした動きが現代風になってしまって、歌舞伎をしようとしていない感じがします。