コメントありがとうございます。
みはるっちさん、万葉集の歌、いいのをご存知ですね。旅の風景、行くときも帰るときも、見るけど飽きない、と。当時の旅は、とっても大変なことだったみたいですが、すごい景色に出会ったときの驚きも、相当なものだったでしょうね。
万葉集、先日の講座も、面白いお話がいっぱいで、まとめきれないほどです。
今日は、そのうちの一つを。
巻十一 ２５１７
たらちねの 母に障らば いたづらに 汝（いまし）も我（あれ）も 事そなるべき
訳）お母さんに反対されたら 水の泡に あなたもわたしも 話がなるでしょう
ちょっとわかりにくい訳ですね。
お母さんに邪魔されたら、私たちの恋は、だめになっちゃうよ、というようなことでしょうか。
アメリカン・ポップスに出てきそうな内容ですよ。
巻十一のこの歌からは、出典不明の恋の歌が続きます。
奈良朝の、おそらく下級の役人たちが作った歌、だそうです。
その前に、お手本的にずっと並んでいたのが、柿本人麻呂の恋の歌。
その冒頭は、２３６８
たらちねの 母が手離れ かくばかり すべなきことは いまだせなくに
訳）母の手を離れて以来 これほどに 遣る瀬ない思いは ついぞせなんだ
２５１７は、この人麻呂の歌に対応して、母親と自分たちの関係を歌ったものとも考えられるんです。
ついぞせなんだ、は、わかりにくいか。
お母さんの監視を離れて、これほど途方にくれるような事は、まだ、したことがなかったのに。
「事」とは、なんのことかというと、「恋」のこと。
独り立ちして、こんな恋は、したことがなかったのに、と。
今、途方にくれるような恋の真っ只中、なのでしょう。
当時は、母親の監視が厳しかったんでしょうかね。母親が発言力を持っていたことがわかります。
人麻呂の歌と比べたら、奈良朝の人たちの歌は、アマチュアといってもいいほどで、
あんまり上手じゃないものが多いみたいです。
歌人で国文学者の窪田空穂は「散文的である」と。
つまり、そのまんまじゃん、というのが多いようです。
講義や授業などでは、この巻十一の、それらの歌を取り上げることは、あまりなくて、講座の先生も、はじめは、どうしようか、と思ったそうです。
でも、読んでいけば、それはそれで、面白い。そのまま書かれてることで、今まで抽象化されて漠然としていた、当時の恋の現実や、暮らしが見えてくる、と。
さすがですね。
寝るとき、どんなものを敷いていたか、とか、歌をやり取りするときに、互いの家に、行き来して届ける、使いの者がいたわけですが、それがどんな人だったのか、とか、男が女の家に行ったとき、呼び鈴などないですから、どうやって、相手に、自分が来たことを知らせていたか、とか、それはそれで、とっても興味深いですよね。
あるいは、当時も、はやりみたいなものがあって、抽象的な、大先生的な歌より、もっと庶民的で、具体的な歌が、好まれた、ということがあったかもしれないですよね。
これから、しばらく、そういう歌が続きます。ずっと、そうやって楽しめるか、いい加減飽きてしまうか、と先生はおっしゃってましたが、それも含めて、楽しみです。
長くなりました。
明日は、二子玉川ＫＩＷＡで、郷田祐美子さんとのラジオの公開録音。
ミニライブもあり、そのあと、皆さんと乾杯をして、歓談もできたら、と思ってます。
是非、たくさん、おいでください。
今日も素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。
洋司
以下、明日の詳細です。
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■２０１３年４月２８日（日）
＜久保田洋司と郷田祐美子の「鼓動は三拍子」公録イベント at KIWA＞
神戸＜FM MOOV＞で毎週金曜夜8時より好評ON AIR中のラジオ番組＜久保田洋司と郷田祐美子の鼓動は三拍子＞の公録イベントが急遽決定！昨年全国7カ所で＜The東南西北：CD『re-flight』発売記念『鼓動は三拍子』＞ツアーを展開したThe東南西北の久保田洋司とMomentStringsのチェロ奏者・郷田祐美子がパーソナリティを務めるラジオ番組の公開録音を東京・二子玉川「KIWA」で行ないます。収録後に、ミニライブ、ロビーでの乾杯などもあります。皆様のご参加、心よりお待ちしております！
日程：2013年4月28日(日) 開場14:30／開演15:00
出演：久保田洋司(DJ Vo G)、郷田祐美子(DJ Vc)
会場：東京・二子玉川「KIWA」( http://oasis-kiwa.com/ )
東京都世田谷区玉川3-20-11-B1F
料金：2.500円 (1drink別)
予約：「KIWA」 (TEL予約：03-6805-7948/12:30-14:30) (HP予約:http://oasis-kiwa.com/ )