田辺聖子の、1984年の短編小説「ジョゼと虎と魚たち」を、昨日、寝る前に読んで、すごく良かったもので、今日のブログのタイトルは、これにしました。
宮本輝 編の短編集「わかれの船」(2001年初版)に、収録。
だいぶ前に、伯母からもらった、何冊かの本の中の一冊で、短編集なら、気軽に読めるしと思って、結局、なかなか読まずに、本棚におきっぱなしにしてた本。
宮本輝、田辺聖子のほかには、山田詠美、伊集院静、林真理子、吉行淳之介、遠藤周作、三浦哲郎、五木寛之、中上健次、連城三紀彦、向田邦子、チェーホフ、水上勉の、短編が収められてて、寝る前とか、電車とかで、楽しく読んでいます。
まだ、全体の半分ぐらいを読んだあたり。林真理子「四歳の雌牛」も、面白かったです。
「ジョゼ~」、ぱっと開いて、目に付いた行を、書き写しますと、
「ジョゼがあわれでたまらなくなり、恒夫は物めずらしく部屋の中を見まわすふりをして気持ちの痛みをまぎらわせた。」
たったこれだけでも、文章が生きてて、無駄がなくて、上手いなぁ、と思います。
「恒夫はにわかにジョゼが可愛かった」など、好きなフレーズでした。
なんというか、悲しいときほど淡々としている姿とか、思わず泣き笑いの場面とか、幸せの感じ方とか、良かったなぁと思いながら、電気を消して、眠るのは、気持ちが良いことでした。
僕は、自分では、なぜか、男くさいものを選んで読んだりするもので、たまに、思いがけず、別の角度から、心の繊細なところを、上手く書いたものを読むと、本当は、こういうのが好きなのに、自分では、恥ずかしがって選べない情けない感じがあるところ、また、だから、たまに、こういうものに出会える嬉しさなど、ややこしくも楽しい思いで、いっぱいになるのでした。
男くさい、というのは、マッチョで汗くさい、とか、勇敢な勇者とか、そういうのではなくて、情けないところや、みじめなところ、弱虫なところを含んだ、男のお話です。
だから、僕は、けっこう男くさいんだと思います。
さ、今日も「えとうた」やYoNaGaライブにむけて、個人練習です。
元気一杯がんばろう。
素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。
洋司