自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

読む度に恥ずかしくなる本

2008年06月28日 | Weblog
 マルクス・アウレ-リウス『自省録』(神谷美恵子訳)は読む度に恥ずかしくなる本である。特に、その初めの方には、例えば「驚かぬこと、臆さぬこと、決してあわてたり、しりごみしたり、とまどうたり、落胆したり、作り笑いせぬこと。また怒ったり、猜疑の心をおこしたりせぬこと」という句がある。
 このような句の意味するところを我がものとし得ないことは言うまでもない。常日頃の座右の銘にするのも僭越である。臆したり、あわてたり、しりごみしたり、とまどうたり、落胆したり、そんなことばかりしているのではないかと顧みるばかりである。ただ、僕は作り笑いはしないのではないかと密かに思つている。世の中には作り笑いの得意な人もいる。牛肉の産地偽装を暴かれた社長が謝罪会見で作り笑いをしていた。
 しかし、そんな現状も、訳者の神谷美恵子のライ病患者への献身を思うと、たいした事ではないのではないかという気がする。『自省録』の句と神谷美恵子の生きざまとが重なり、僕に迫り来るが、いかんせん、恥ずかしくなるだけである。

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