自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

漂泊者もしくは命について (改稿)

2010年09月01日 | Weblog
  年たけて
  また越ゆべしと
  思ひきや
  命なりけり
  さやの中山
と西行は詠んだ。「命なりけり」とは「命あってこそのことだ」の意味。ここには老いへの感慨があり、同時に自分の命をいとおしむ心境が詠われている。
 芭蕉は、おそらくこの西行の詩を思いやり、
   あかあかと日は難面(つれなく)もあきの風
   此道や行人(ゆくひと)なしに秋の暮
と詠んだ。芭蕉にとって命とは、燃え盛るものであるとともに、沈潜するものであったようだ。芭蕉の「命」には西行の「命」が受け継がれているように思われる。漂泊者の命を思慕していたのであろう。
 僕らは誰だって漂泊者という命運を逃れ得ない。そのことを自覚するか否かは別の問題なのだが。あるいは自覚する時期がいつなのかは別の問題なのだが。

  命こうささやかなるに秋をまつ (理方、記録的猛暑の砌)
なんちゃって。

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