いよいよ秋が深まり行くと、日の暮れるのもどんどん早くなる。最も日の長い夏至の日没は、だいたい七時。九月二十三日頃の秋分の日の日没は、だいたい五時四十分。九十日間に一時間二十分も早くなる。
また「秋の日のつるべ落とし」で、陽が没してから暗くなるまでの時間も短くなる。短くなるのは、太陽が地平線下に没してもなお地上に明るさが残るトワイライト現象が、水蒸気や塵が少ないために弱いからである。
深まり行く秋はなにかと気ぜわしく、時間が駆け足で去っていくようだ。人の世の寂しさ、哀しみをしみじみと感じさせる季語の代表が「秋の暮」だと言われる。そうかも知れないが、僕にとっては一番気分が安らぐ季節ではある。