僕んちの地方では年々降雪の機会が少なくなっているような気がする。地球温暖化も手伝っているのだろう。ホワイトクリスマスにはなりそうにない。
ところで、雪の結晶が六角形をしていることはよく知られている。昔、ジャジャウマやクモガクレの為に買った子供向けの『科学のアルバム』をめくっていたら、相当高度なことが書いてあった。
2千年以上前の中国で、雪の結晶は六角形だと知られていたそうな。ヨーロッパでは13世紀ごろに、星型だと書かれていたそうな。17世紀にはケプラーが六角形であることに気づいていたそうな。日本では江戸時代に下総の国古河(今の茨城県古河市)の土井利位という殿様が、顕微鏡で見たスケッチ『雪華図説』という本を残しているそうな。
雪の結晶の科学的な研究が本格的に始められたのは、中谷宇吉郎によってである。人工的に雪の結晶をつくる実験によって、自然の雪の結晶と同じ形のものをつくることに成功した。それだけではなく、決まった温度や湿度の時には、決まった形の結晶が出来ることを明らかにした。そこで、雪の結晶の形を調べれば、その結晶が出来た上空の気象も分かるというわけだ。このことを宇吉郎先生は「雪は天から送られた手紙」と呼んだ。しかし、実際に地上で観察される雪の結晶は、落ちてくるまでの間に風に流されてくるから、その結晶の形が、即座に上空の気象を表しているとは言えない。天からの手紙は、旅をしながら落ちてくる間に書き綴られたものだと言える。
ところで、僕が思うに、なぜ六角形なのか?ということだ。この問いにはまだ答えが出ていないのではないか?結晶構造の多くが六角形をしているのは何故だろう。僕に分かるはずがないが、専門家が究明すれば、ひょっとしたらミクロの世界の謎が一つ解けるかもしれない。