ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ジャック・ベッケル・3~『現金に手を出すな』

2019年09月14日 | 1950年代映画(外国)
十代の時に『現金に手を出すな』(ジャック・ベッケル監督、1954年)をテレビで観たと記憶していても、再度鑑賞してみると、その内容は初めて観た感覚と同じだった。

ギャングのマックスとリトンは若い頃からの相棒であったが、初老にさしかかり、共にやくざ稼業からの引退を考えていた。
最後の大仕事と、オルリー空港で5千万フランの金塊強奪に成功、ほとぼりが冷めるまでマックスが隠し持っていずれ換金する計画であった。
静かな隠退生活を待ちながら素知らぬ顔で日々を送るマックスだったが、金塊をせしめた秘密を、日頃から不注意なリトンは自分の入れ込んでいたナイトクラブの若い踊り子・ジョジィに漏らしてしまう。
実はジョジィは、売り出し中の麻薬密売組織のボス・アンジェロの情婦であり、マックスとリトンはアンジェロから付け狙われる事になる。

アンジェロの手の者から危うく難を逃れたマックスは、自身の隠れ家にリトンを匿い、彼の甘さと自分たちはもう若くはないという現実を諭すが、リトンは独断でアンジェロと対決し、拉致されてしまう。
リトンの愚かさに苛立ちつつ、二人の腐れ縁を追想し、マックスは忸怩たる感慨に耽る。
ほどなくアンジェロから、リトンと金塊の交換が持ちかけられてきた。
これは罠に違いない、と悟ったマックスは、仁義なき振る舞いに及んだアンジェロを倒してリトンを救うため、旧友・ピエロらと共に、隠匿していたサブマシンガンと虎の子の金塊を携え、取引の場へ赴く・・・
(Wikipediaより)

この作品は、フレンチ・フィルム・ノワールのはしりだとしても、内容は、そろそろギャングの世界から足を洗おうとしているマックスと、その親友リトンの友情関係がメインと考えられる。

まず出足あたりの、カフェでジャン・ギャバン扮するマックスが好きな曲だと、ジュークボックスに掛ける「グリスビーのブルース」に痺れる。
そのマックスがラスト近くで、再度この曲を掛ける時の顔の表情。
寡黙のままで、それでいて親友リトンを深く想うジャン・ギャバンの表情が、凄いという言葉だけでは表せられない。

Touchez Pas Au Grisbi (YouTubeより)


ジャン・ギャバンとリノ・ヴァンチュラ、そしてジャンヌ・モロー。
リノ・ヴァンチュラはこの作品が映画初。
その他、魅力ある俳優が沢山出てくるが、ひとまず私が知っているのはこの三人。

今回は、内容についての云々より、曲「グリスビーのブルース」を優先。
勿論、作品自体も満足したうえでの話。

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1 コメント

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『義理』 (rumichan)
2019-12-11 14:53:07
『義理』の兄弟.ギャングの二人の関係はこんな関係だった.

裏社会の人間が集くレストラン.そこへ表社会のお客さんがやって来た.
「感じの悪い客ね」
「皆さんが迷惑するから」と言って、女店主は客を追い返して、入り口を閉めてしまった.

.....表社会の人は、これ以上観るな
.....とまでは言わないけれど、以降は裏社会の価値観で描かれるので、そのつもりで観てくださいな.

一山当てたら足を洗おう、皆そう考えるものだけど.でも、そんなことを言ってる内に歳をとっていってしまう.
女に裏切られるようになってはもう駄目.女にもてるうちが花、早く足を洗いなさいな.

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