ポケットの中で映画を温めて

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『アンジェリカの微笑み』〜キネ旬ベスト・テン3位を疑問に思う

2016年01月12日 | 2010年代映画(外国)
ミニシアターで、正月映画の『アンジェリカの微笑み』(マノエル・ド・オリヴェイラ監督、2010年)をまだやっていたので観て来た。

ポルトガル、ドウロ河流域の小さな町。
雨の降る夜、写真が趣味の青年イザクの元に、一人の執事がやってくる。
執事は、若くして死んだ館の娘アンジェリカの最後の写真を撮ってほしいと依頼する。
依頼を引き受けたイザクは、下宿先を出て富豪の邸宅に向かった。
親類縁者が集まる中、白の死に装束に包まれたアンジェリカに、イザクはカメラを向ける。
ところが、死んでいるはずのアンジェリカが瞼を開けて、ファインダー越しに彼に微笑みかけてきた。
イザクは衝撃を受け、目を疑いながらもその瞬間に一目ぼれして・・・・

正直いって、どうと言うこともない作品だった。
幽霊というか、アンジェリカの幻影とイザクが夜空を飛びたって行っても、なぜか、なんのイマジネーションも湧かない。
ああ、そうですかと思うぐらい。内容に普遍性がないためかな。
駄作とは言わないけれど、印象が薄い感じは否めない。
それに室内場面が、靄がかかったみたいな映像で頂けなかったのも原因かもしれない。

これが2015年度のキネマ旬報のベスト・テン3位の作品である。
なにも、キネ旬を絶対視しているわけではないけれど、見落とした作品の参考にはしている。
これは、相当昔からの私の映画の鑑賞方法である。
だから、ベスト・テンを掲載している決算特別号(現在はベスト・テン発表特別号)は、1968年度から毎年欠かさず購読している。
因みに、外国映画の場合の選考委員は、1968年度が41名(読者含む)、昨年2014年になると62名となっている。
このキネ旬のベスト・テンは1924年からであるから、やはり伝統だと思う。
しかし最近、良い作品を探す指標として、次世代にも引き継いでいく作品を選ぶべきはずの投票が、どうも個人レベルの趣味だけに陥っている選者がいたりする。
それも、一部の人しか知られていない優れた作品を世の中に広める目的があればいいが、独りよがりで喜んでいる選者がいる。
そんな人は、自分のブログだけで大いに騒いでいてくれればいいのにと思う。

というわけで、今回の『アンジェリカの微笑み』。
ポルトガルのオリヴェイラ、101歳の作品。
現役最高齢の劇映画監督で昨年4月、106歳で永眠。
劇場公開が12月。まだ印象が鮮明。
これらの肩書、キャッチフレーズを剃り落として作品のみを鑑賞した時、果たして本当にその評価なのか、疑問に思う。
そんなに優れた作品なら、どのような所がそうなのか、正直に教えてほしいものである。
2月5日発売の2015年ベスト・テン発表特別号の、この作品を評価した委員の講評が楽しみである。
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