原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

コマイ釣りも、暖冬効果!

2009年02月20日 06時37分53秒 | 地域/北海道
ラッコのクーちゃんフィーバーが続く釧路河口で、それほど目立たないけれども、釣り人の注目を集めているものがあった。コマイ釣りである。釣れだすとどんどん釣れる。どうやら群れで河口に集まっているらしい。コマイの中にはオオマイもちらほら。この釧路河口のコマイ釣りも、なんと暖冬のおかげだという。地球温暖化による天候不順は不安を募らせるが、意外な効果も与えているのである。

「コマイ」の名前は小魚を意味する東北・北陸の方言から生まれたとか。小型のタラであるところから付けられたらしい。北海道では「カンカイ」とも言う。これはオホーツク系のアイヌ、ニヴフ語が変化したもの。昔から北国のなじみの魚である。漢字では氷下魚と書く。1月から3月にかけて氷の下の浅場に移動して産卵するところからこう書かれるようになった。

(大きいのがオオマイ、小さいのがコマイ)

このコマイは関東地方ではほとんど干物としてしか認識されていない。カチカチに固い干物として知られ、金槌で砕いて食べる。一度水で戻して料理することもある。食べにくいこともあって、最近は柔らかな干物が登場している。マヨネーズに七味を加えて食すれば酒の肴に最適である。北海道の新鮮なコマイは、煮物でも塩焼きでも、鍋物の具として幅広く使われる。体長40センチにもなる「オオマイ」はタラ同様に食することができる。特に卵巣の煮付けは評価されている。

(餌は塩漬けしたイソメとか)

このコマイ釣りと暖冬がどう関係するかというと、河口の状況にある。通年、2月の釧路河口は氷に覆われる。そうなると、岸部から釣竿を垂らすということができない。コマイはその氷の下に集結している。たまたま今年の暖冬は河口に氷を造らせなかった。海の深場から河口の浅瀬を目指すコマイを岸壁から釣り上げることが可能となったのである。もちろん、ここには漁業料などない。自由に釣ることができる。釣りたての新鮮なコマイ料理を釧路の人は存分に楽しむことができる。


一万年前の釧路湿原は海の中であった。海が干上がって湿原登場したのである。道東が海の時代の北海道は実は現在よりはるかに温暖であった。現在の仙台くらいの気温であったという。つまり、何千年に及ぶサイクルで見れば、地球の温暖化は自然の気象変動の一つであることが分かる。地球の生物はそのサイクルの中で生きているのである。しかし、CO2や排気ガスを無制限に垂れ流していいわけではない。それはそれとしてセーヴしなければならないが、地球の温暖化は自然の呼吸の一部としてとらえる感性も必要であろう。自然の行いには、おもわぬ恩恵もあるということなのである。温暖化も悪いことばかりではない。


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