やおぶろ vol.2

スキー大好き、やおりのブログ。

カナダ旅記-31

2007-04-30 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。


安全コースから回り込み、岩場を無事に通り抜けたみんなと合流する。

ウエストボウルとベーグルボウルという、二つのボウルで形成される
このエリアは、文字どおり大きなボウル(お椀)型で、見渡す限りの
大斜面。この斜面を一気に滑って、ずっと先に見えるコース案内板を
目指すことにする。が、空間が大きすぎて、距離がよくつかめない。

「そうなんだよね。
 斜面がデカいから、油断するとあり得ないくらい加速しちゃうんだ。
 しっかりスピードコントロールして滑ってね♪」

カオルくんからアドバイスを頂戴し、まずはあたしから滑走スタート。

ノンストップであの看板まで行けるか? いや、足がもたないだろう。
な~んて思ったけど、カオルくんの言ったとおりだった。
自分ではそんなつもりじゃないのに、板がものすごく走る!

大きな斜面に、大きなターンを描きながら加速。
足元のK2パブリックエネミーがしっかり雪面を捉えているのがわかる。
すばらしい安定感。自前の板だったらとっくに飛ばされてるところだ。
雪はいいし、他に滑ってる人もいない。
こんな大斜面を一人占めだなんて、気分がいい!


ノンストップでゴールしたぜ♪ ぜぇ、ぜぇ……。


もんちも
「ひ~! モモが、モモがちぎれるぅ~っ」

と悲鳴をあげながらもノンストップでゴール。
(ま、言うほど疲れちゃいないんだろう。この人は…)

男性陣も力強い滑りで次々とゴール。



……ゴールじゃないね。

まだ山の ど真ん中だ。っていうよりまだ山の中腹より上だ。
仮にゴールと見なしたこの案内板によると、ここはクリークサイドの、
昨冬オープンした新コースの入口ではないか♪

去年は、「クリークサイドの奥の、新しいコースへ行きたい♪」って
サンちゃんとカズキにリクエストしたら、どこでどう間違っちゃった
のか、3時間半の禁止エリア滑走だったのよ……。

○ オーダー)「クリークサイドの奥の、新しいコース」
× 提供商品)「クリークサイドの新しいコースの、奥」

リベンジとして、正しいコースでクリークサイドを目指すことにする。

しかし、滑れども滑れども、クリークサイドベースは見えやしない。
一体どれだけ長いのかこのコースは?
コブあり湿雪あり、それでこれだけの距離となるとさすがにしんどい。
結論:
ここは“締め”の1本としてでなく、元気なうちに滑るべきだ。
2年がかりでようやくわかった。

しかも、
カオルスペシャル + クリークサイド って……、

体力勝負の[特別セット]みたいな組み合わせだったね(疲)



クリークサイドゴンドラを上がり、下山ルートを辿ってビレッジへ。
明日 帰国するはるさんはこれで全滑走日程走破。
やん様、もんち、あたしの3名はこれで先乗り終了、折り返し。
お疲れさまサマ。
6日間、ケガなく無事に滑り切れてよかった、ホントよかった♪
カオルくんもお疲れさま。企画前の、いい準備運動になったかな?


ベースでカオルくんが、あえて怖そうなお兄ちゃんに声をかける。
「すみません、シャッター押してもらえますか?」

その人はムリだろう。
そのゴツさはやばいだろう。
顔なんて普通のおっかなさじゃないし。
どう考えても「うるせーあっち行け」だろう。
スキンヘッドだし(寒くねぇのかよ)

ヒヤヒヤしながら返事を待つと、

「シュア♪ ノ~ゥ プロブレムッ♪」 @満面の笑み。

しかも、

「はいチーズ♪ 念のためもう1枚撮ろうか?」 @心配性(!?)



スキンヘッドで一見怖いけど、笑顔がかわいくて
心配性のお兄ちゃんが2枚撮ってくれたうちの1枚






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カナダ旅記-30

2007-04-30 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。


14:00、ラウンドハウス前、一同再集合。
ウェアの肩や帽子にちょっと雪をまぶして「もちろん今まで滑って
いましたよ」的体裁を繕ったが、カオルくんから「ウソでしょ」と
即ツッコミ。おほほ、やっぱわかる?(笑)

カオル隊はシンフォニーエリアで満足のいく滑りができたみたいだ。
今日はこれで下山するというIさんに、やん様が重ねてお礼を言って
いる。ガイドはやっぱり現地なのか…。

ミエコちゃんも無事にガイド終了時刻を迎え、ここで下山。
お疲れさん。ほんとに今日はお疲れ3。×3。


Iさんとミエコちゃんを見送ると、すぐさまカオルくんが
やる気満々、いたずらっ子みたいな表情で言った。


「さてとっ!

 それじゃあ本番行きましょうかぁ!」



「ピークチェアに乗ろうっ。いいとこあんのよ♪」だって。



おつまみブラックタスク


ピークチェアを降り、ブラックタスクをバックに記念撮影も済ませ、
ウィスラーボウルを少し滑ってトラバース。
険しい岩場、そこにかろうじて通り抜けられる狭~いラインがあり、
これを越えるとウエストボウルへ出ることができる。
名付けてカオルスペシャル

あたし多分、ここ知ってるよ。まだパダワンだった頃のカオルくんに
連れてきてもらったのって、ここじゃないかな?
確かここを滑ったときに、この人って連れてくコースはむちゃくちゃ
だけど、ガイドとしてのケアは上手だなぁと思ったんだよね。

あの時はあたしも、どんなところだって滑ったもんさ。
でも今回はやめときます。結石を抱えた病体は、ここぞという場面
での踏ん張りが足りなかったり、バランスに欠けたり…。
とにかく今回は、あの岩場から落っこちる自分の姿がやけにはっきり
イメージできるだよね~(怖)

カオルくんから安全ルートを教わり、みんなが通り抜ける岩場を仰ぐ
ようにして、下方からウエストボウルへ向かう。

下からカメラを構えて待つと、難所に差しかかったはるさんが大きく
手を振ってくれた。余裕だねぇ…。


はるさん@岩場の難所


ところが はるさん後述して曰く、

「けっこうドキドキだったんだよ~」ってカミングアウト。
「調子よく手を振ってはみたけどね、もう片方の手は壁をガッチリ
 つかんで離せなかったもん!」って、心情激白。

強がったり気取ったりしないのが、はるさんのステキなところなんだ♪




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カナダ旅記-29

2007-04-29 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。


なんと、ランチタイムを、2時間もとってしまいました。

ここはカナダですが、イタリア人を見習ってシエスタです。
欧米か。


12:00、
ラウンドハウス2階、トレーを持って列に並ぶ。
グリル担当、もみあげの長~いお兄ちゃんに、
「チーズバーガーを1つ。トマト抜きで作ってもらえる?」
と、お願いしたら(だってトマトは嫌いだ)


「ノ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ゥ」


って、お兄ちゃん、長いノー。
もみあげと同じくらい、長~い、ノ~。

トマト抜きのささやかな願いは聞き届けられないのか。
ちぇ、ウィスラーで食べる最後のランチがトマト入りの
チーズバーガーだなんて、ツイてないや。

と思ったら、


「プロブレム♪」


って、おまけみたいについてきた。
ノープロブレムかよ、オッケーじゃんかよ。
なんでぇ、気ぃ持たせやがって♪

っていうか「ノ~~~~」が長すぎだ。
「~」記号16個トルツメ(←校正用語)


Mr.もみあげからトマト抜きのチーズバーガーを受け取り、
会計を済ませテーブルに戻る。混雑する館内、4人分の席を確保して
くれていたミエコちゃんにお礼を言い、交替でランチを買いに行って
もらう。4人揃ったところでジュースで乾杯。

のどを潤し、ミエコちゃん「ふぅ~っ」と大きな溜め息。
だいぶ疲れている。これは滑走による身体的な疲労ではなく(午前中
ほとんど滑ってないからね)、明らかに精神的な疲労だな。
元・鬼チーフとの再会で、こんなにもヘトヘトにさせてしまったとは。
我ら悪ふざけが過ぎたかも。ごめんねミエコちゃん(笑)

ランチをパクつきながら、ミエコちゃんからガイドのお仕事のことや
ガイド以前の職業の話、高校時代に弓道をやっていたことなどを聞く。
はるさん、もんちは大学時代に、あたしは高校時代にそれぞれ弓道部。
偶然にも、このテーブルにいる4人全員が弓道経験者だった。

ちなみにミエコちゃんは弓道二級の腕前だという。
弓道の二級というのは、スキーの二級とは“ある意味”別格だ。
取得するのは“ある意味”難しいレベルである。

他にもミエコちゃんは、
上司としてのカオルくんのことについても話して聞かせてくれた。
カオルくんは、とても厳しいチーフだったという。
お客様を大切にせよ、安全を第一に考えよと、叩き込まれたという。


そうなの?

安全を第一に?

カオルくんが?

へぇ……。



バーガーを平らげ、ジュースも飲み干して13:00を迎えても、我らの
トークは弾む一方。滑走続行中のカオル隊との待ち合わせは14:00で、
まだ1時間ある。この1時間、我らは我らで滑ることもできるけれど、
おしゃべりを続けることもできるよね♪
だって、カオルくんが若手ガイド陣に「安全第一」を厳しく仕込んだ
なんて聞いたら、あたしゃ黙っちゃいられないよぅ♪(毒々)


「14:00まで、食後のコーヒーでも飲んじゃおうか?」

と提案したら、

「え~~~~(驚)いいんですかぁ~~~?」

ミエコちゃんの表情が輝いた。その頬や額に
「今日はもう、滑りはいいです」
と書いてあるのがはっきり見える(笑)


それからのトークの、盛り上がったことといったらなかった。

第1回バルディゼール(フランス)
第2回ファーニー(カナダ)
第3回ツェルマット(スイス)
第4回シャモニー(フランス)

過去4回のカオル企画で起きた「あんなこと」や「こんなこと」で
テーブルの興奮は一気にヒートアップ。ひとネタ披露するたびに、

ミエコ「え~(驚)そんなことがあったんですかぁ~~~?」

やおり「あったんだよ~。ホントにあった怖い話だよぉ~♪」

一同 「ぎゃはははははははははははははは……♪」


こんな調子。
コーヒーが空になっても話題は尽きず……って、


いっけな~い、もう時間じゃん。2時間なんてあっという間だね。
ミエコちゃん、いま話して聞かせたことは、カオルくんには内緒だよ。

カオルくんにもメンツってのがあるだろうからね♪


うひひひ。




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カナダ旅記-28

2007-04-29 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。

かなりの時間をやり過ごして、やっと「ハーモニーエクスプレス」が
動き始めた♪ 待っていた人々もあちこちで歓声をあげ、板を脱いで
くつろいでいた人はいそいそと自分の板まで戻る。

 ・根気強い(あるいは気が長い)
 ・スキー(またはスノボー)大好き

今このリフト待ちの列にいる人たちは、年齢も性別も国籍も関係なく、
み~んな共通点あるんだね。なんか楽しいね♪


待っている間は、じれるのがイヤで時計を見なかったけど、どうやら
我ら、このリフト待ちに90分も費やしていたらしい。
どうりで、リフトを降りたら、もうランチタイムだったわけね。早っ。

大して……っていうかほとんど滑ってないのでお腹は減ってないけど、
もう6日目なんだしさ、休憩はきちんと取らなくちゃ、ということで、
はるさん、もんち、ミエコちゃん、あたしの4名はラウンドハウスへ。

カオルくん、Iさん、やん様は「昼メシ抜きで滑る」という。

そりゃそうだよね。
明日から始まる「カオル企画」に向けて、カオルくんは今日のうちに
しっかり足慣らしをしておく必要がある。
これまでとは生活を変えたカオルくん、今冬はただでさえ滑り込めて
いないのに、2本しか滑れなかったこの午前を考えたら、昼メシなんて
食べてる場合じゃないと考えるのもうなずける。
ばっちり足慣らししておいでね。でも無茶とケガはしないでよ。

Iさんは、久々にカオルくんと滑ることができて嬉しそう。
まだ新しいシンフォニーエリアは、カオルくんよりもむしろIさんの
ほうが詳しいらしく、行こう行こう! とノリノリだ。

やん様は、かなり「ガツ男」化が進んでいる。
メシ抜きでガンガン滑ろうというカオルくんの提案に、一もニもなく
同意だ。滑走6日目だってのに、へんにスッキリした顔をして。
きっと昨晩の「激辛ラー油炒め@モンゴリグリル」のおかげで、汗と
一緒に風邪が抜けたんだな。

やん様のような激馬……じゃなかった、激ウマのスキーヤーが本来の
元気を取り戻したとなると、これはもうカオルくんレベルの滑り手が
バディじゃないと満足しないでしょう。
ばっちり楽しんできなね。でも無茶とケガはしちゃダメだよ。


12:00、隊はハーモニー降り場でふた手に分かれ、
「ラウンドハウス前に14:00 待ち合わせ」を確認して一旦ばいばい。


さぁさぁ行こうよ昼休憩♪
今日はチーズバーガーとポテトとコーラにしよう♪
バーガーはもちろんトマト抜き♪(だってトマトは嫌いだ)


「ほとんど滑っていないのでお腹は減ってない」などと言っておき
ながら、ラウンドハウスが近づくにつれて気持ちがすっかりチーズ
バーガーに向かうやおり。
舌の根の乾かぬうちに……ってヤツだな。





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カナダ旅記-27

2007-04-28 | Canada 2007
2月15日/滑走6日目。

声のデカいパトロールのおじちゃんを乗せたスノーモービルを見送り、
晴れてバックボウルを滑る♪
先遣隊として調子よくスタートしたミエコちゃんがいきなりコケて
みんなの笑いをとる。おいしいぞ、ミエコ(笑)

コースの大回りのラインを選ぶと、まだパネルはクローズのまま。
山の上方へ目をやると、パトロールが一つ一つのパネルを手作業で
オープンに変更していた。1人で。
1人で一つ一つ手作業だなんて……。すべてのパネルを変える前に
日が暮れちゃいそうだけど、多分こういうところがカナダなんだな。


コースの CLOSE / OPEN を示すパネル。二重の部分を手で
上げ下げして表示を変える(イラストはイメージです)



次は「ハーモニーエクスプレス」の乗り場で集合! を確認し合い、
みんな自分のペースで、滑りたいラインを、思い思いに滑る。

雪は軽い。
オープンスロープは見晴しがよくて快適だし、林間には、もちろん
柔らかい雪が残っている♪

超ロングな板を操るやん様が林間をガンガン攻める姿が楽しげで、
あたしも林間の狭いほう、狭いほうへとチャレンジしに行ったが、
行き過ぎた。
木の間隔がどんどん狭くなり、腰をかがめたり、急停止したり…。
おたおたしていたら、枝にローキックとデコピンをくらった(痛)

唾石を抱えた我が身、あごパンチをくらってはシャレにならいので
コースへ戻ることにする。

枝には負けたけど、思い思いに滑ったこの1本は楽しかった。
みんなお互いを確認し合いながらも、自分のペースで好きに滑って、
自分の滑りを楽しんで……。いい1本だったよ♪



「ハーモニーエクスプレス」は、まだ運転を開始していなかった。
今日は天気もいいし、じきに動くだろうと踏んで待つことにする。


おしゃべりをして待つ。
こんな時間もミエコちゃんとカオルくんはある一定の距離を保つ。
ミエコちゃん、そんなに元・鬼チーフと滑るのはツラいかい?
面白がって連れて来たけど、なんか悪いことしちゃったかな~。

ハーモニーはまだ動かない。

おしゃべりをして待つ。
ウイスキージャック(鳥)にエサをあげて待つ。

……ハーモニーは動かない。

おしゃべりをして待つ。
チョコをつまんで待つ。

……ハーモニーは動かない。

おしゃべりをして待つ。
板を脱いで待つ。

……ハーモニーは動かない。

おしゃべりをして待つ。
しりとりをして待つ。

……ハーモニーは動かない。

おしゃべりをして待つ。
世良公則の歌マネをして待つ。
「あんたにぃぃ、あげぇ~~~~たぁ~~~~~♪」


ちなみにミエコちゃんは 世良公則 を知らないという。
では何だったらわかる?と尋ねたら、ミエコちゃんはじっと考えを
廻らせて、

「いじわるバァさん…」と答えた。



なんで。




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祝いの集い。

2007-04-23 | notes(雑録)
この土日で、大阪に行ってきました。

我ら「スキー家族」の主要構成員で、カナダ旅記でも登場しているやん様と、
ゆきねぇの結婚を祝して華々しく開催された“スキー家族で勝手に祝う会”に
出席するためです。


会場入口にはこのような案内が(笑)


とっても明るくて、楽しくて、あったかい祝宴になりました。
特に、やん様と同学年の皆さんがサルタイツで歌い踊った
「ポップスター」by平井 堅……。


サルタイツで歌い踊る皆さん

北海道、東京、大阪、福岡と、全国から駆けつけ猛練習を積んだ
という皆さんの一糸乱れぬダンスは、それはもう感動的で、
シャッターを押す手が思わず震えてしまいました。



翌日は、自分たちで焼けるタコ焼き屋さんへ、
20名を超える大所帯で乗り込みました。


チーズ入りタコ焼き



素敵な週末でした。
いつもながら、みんなのフットワークと、仲間思いなところに感動。
素敵な週末でした。

やん様、ゆきちゃん、おめでとう。




さて、これから久々に仕事に行って来ます。

旅記の更新は、これからガクンとペースダウンしますがご了承を……。

カナダ旅記-26

2007-04-22 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。

PIKA'S トラバース。
左手、バックボウルは雪が積もって楽しそうなことになってるね♪
ここらへんでいいだろう。そろそろ板を履こうかと話していたら、
さっき我らを追い越していったスノーモービルが引き返して来て、
操縦していたゴツいおっさん……じゃなくてパトロールが大声で
怒り出した。以下超訳。


「コラァお前たちっ! クローズのサインを無視しちゃいか~ん!」


え? クローズのサイン? あったっけ?
ロープは張られていなかったと思うんですけど?


「ロープじゃなくパネルだぁ! 注意して見なきゃダメだろ~!」


え~、ちっとも気付かなかったよごめんなさい。
じゃあ私たち、引き返したほうがいいですか?



「いや構わんよ」



は?


「今からオープンにするから滑っていいよ。
 いやいやだけど、サインを見落としちゃいかんのだぞ!
 ルールを破るのはいけないことなんだぞ分かったかぁ!」



与えたいだけの注意をありったけの大声で浴びせて、おっさんは
去って行った。あ~ びっくりした。すごい剣幕なんだもん。

アバランチコントロールが解けてなくて、サインが「CLOSE」の
ままだったんだ。あたし下向いて歩いてて、完全に見落としてた。
やん様は気付いてたって。それでさっき立ち止まってたのか。

「みんなCLOSE無視してずんずん行くからいいのかと思って…」

やん様、そういうことは言ってくれなくちゃイヤよ。


それにしたって、今からオープンなら、あんなに怒らなくても。
「入っちゃダメ」だけど「もういいよ」って…(笑)


なんにせよ、パトロールの許可は出た。
目指すは「ハーモニーエクスプレス」。
パウダー探して遊ぼうぜぃ♪




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カナダ旅記-25

2007-04-20 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。

ウィスラーゴンドラを降り、ラウンドハウス前で一旦スキーを置く。
カオルくんはもう滑ってるかな? キョロキョロ見渡していたら、
カオルくんはラウンドハウスから現れた。おちっこしてたんだって。

「カオルくん、今日のガイドはミエコちゃんだったよ。
 ほらミエコちゃん、こちらが本日のスペシャルゲストよ♪」

ワクワクしながら2人を引き会わせたけど、
ミ「ご、ごぶさたしています…」
カ「久しぶりだね」
短く言葉を交す程度で、なんとも言えない不思議な空気が漂った。
カオルくんは「現役ガイドと一緒じゃあ“ワンパクなコース”に
行けないじゃん」なんて笑っているけど、ミエコちゃんのほうは
すっかりやつれちゃってる。ゴンドラに乗ってる間に4kgくらい
痩せちゃったんじゃないか?

まぁまぁ、今日も楽しくガイドしてちょうだいよ!
パンパンと肩を叩いたら、ミエコちゃんが弾みで力なくよろけた。


「わたしは最後尾をそっと滑らせていただきます…」

細い声でつぶやくミエコちゃんを叱咤激励し、先頭に立たせて滑走
開始。まずは「エメラルドエクスプレス」を目指すオープンバーン。
きれいに圧雪がかかって滑りやすい。

ばびゅ~ん! と気分よく飛ばしてリフト乗り場を目指すが、なんせ
長いんでね。ノンストップってわけにもいかず、呼吸を整えるために
一旦停止。さすが滑走6日目、朝の1本目なのにすぐに疲れる。
さすがのもんちも「ひ~! モモパン、モモパン~」と悲鳴をあげる。
註)モモパン=モモがパンパン


振り返るとカオルくんがいない。
「リフトをはさんで反対側のコースを滑ってった」とやん様。
なるほど、ガイド・ミエコにいらぬプレッシャーをかけまいとして
コースをちょっと変えたりして、元上司の思いやりか?


今日のあたしは昨日より5cm 長いK2パブリックエネミー164cm。
わずか5cm 違うだけなのに、さすがに大回りでは安定感がある。
脚の力で回そうとするのでなく、板に身体を預けるようにすると、
板がターン弧いっぱいにカーブしてくれる。楽しい板だ。
林間で回そうとすると、昨日と比べてちょっと引っ掛かるところも
あるけど、うん、悪くないね♪(言うほど分かっちゃいない)


K2パブリックエネミー164cm。楽しい♪


「エメラルド」乗り場で再び全員集合し、乗線。
懇意のワンゲルさんが無期限でカオルくんに貸与してくれたという
アトミックのスヌープダディ(そんな羨ましい話があっていいのか)、
滑る前には「俺にはちょっと長いんだよね。ちゃんと扱えるかなぁ」
なんて心配していたけど、カオルくん、かなりご満悦の様子だね♪

昨日は暴風メインのストームに疲労困憊の一日だったが、山の上は
夜のうちに降ったらしく、いい雪が積もっている。というわけで
リフトを降り、板を外してPIKA'S トラバース。今日も登りか…。

カオルくんと世間話をしながら歩くが、案の定すぐに息があがる。
今回のあたしは病体であり、普段から苦手な登りをことさらキツく
感じていることは、カオルくんには申告済み。酸欠を回避するため
「やおりはこれより黙ります」
と申し送ると、
「あはははは♪」って、軽~く笑われた。笑うな。

呼吸を乱さぬよう、ゆっくり歩く。
でもやっぱりキツいので、顔がだんだん下を向いてしまう。
ずっと先を歩いていたやん様が、立ち止まってこちらを見ている。
待たせてごめん。今いきます。

やん様に追いつき、さらに歩く。
スノーモービルが1台、ドド~ッと我らを追い越して行った。




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カナダ旅記-24

2007-04-20 | Canada 2007
2月16日/滑走6日目。

8:30、Sprit of North 前。

金曜の朝、我らのほかにF社のお客らしき人の姿はない。

パッケージタイプのツアーは9日、8日、7日と旅程もさまざまで、
全日程びっちり滑り倒す人(我ら)もいれば、ウィスラー滞在後に
バンク-バーに移動して観光やショッピングを楽しむ人もいる。
すでに帰国した人もいるだろう。
それに金曜日ともなれば、たとえ滑るにしてもガイドにはつかず、
自分たちのペースで気兼ねなく滑りたいと考えるかもしれない。


曇天のビレッジも、今朝はどことなく静か。
きたる週末の賑わいに向けて、街全体が体力温存しているような。
ともかく我らのほかに日本人の姿は見当たらない。



そこへ、

今日の餌食がやって来た。

違った。

今日のガイドがやって来た。


「おはようございま~~す♪」

ミエコちゃんだ。

お客が少なきゃガイドも少ない。
ミエコちゃんは単身で登場。ほかのガイドは現れない。
かめさんチームも、ねずみさんチームも、今日は発足しないのだ。


おはようミエコちゃん。今日のうさぎさんチームは我らだけ?

「そうなんです♪ あと、Iさんが付かず離れずでご一緒します」


F社のスーパーリピーター、ウィスラーの仙人と謳われるIさんも、
ミエコちゃんのすぐあとからやって来た。
Iさんはガイド以上にウィスラーの隅々まで知り尽くした人だから、
ガイドなしだって十分に滑れる人だけど、今日は人数も少ないので
“付かず離れず”で滑るという。
年齢不詳、雰囲気独特、存在感抜群、滑走技術圧巻、そんなIさん。


なるほどね。
それじゃあIさんがいらっしゃるとは言っても、基本的には今日も、
ガイドにつくお客は我ら4人だけなんだね。
むふふふ……♪

あのねミエコちゃん、実は今日はね、スペシャルゲストが来てるのよ。
だからぜひとも気合の入ったガイドをお願いね♪
すでに山に上がっているゲストも、そりゃあ楽しみにしておられるわ♪
むふふふ♪♪♪


ここまで言ったところで、ミエコちゃんの顔がサァッと青ざめた。



素直にビビるミエコちゃん。頬がひきつっている


「え、えっ? だ、誰ですか? えっ、まさか……!?!?!」


実は数日前のツアーデスクで、
「週末、カオルくんが来るってよ」という話は、ちょっとしたんだ。
だけど若手ガイド陣はみんな忙しくしていたから、話半分で聞いてて
そんなの覚えてないと思ってた。
でもさすがミエコちゃん、記憶もいいし察しもいいね(誉)


「誰って…、それは上に着いてからのお楽しみだよぅ♪」

答えをはぐらかす我らのニヤケぶりから、ミエコちゃんはスペシャル
ゲストの正体を確信したようだった。


「あの、あのっ! わたし帰ってもいいでしょうか~~(泣)」

本気で後ずさるミエコちゃんの腕を、もんちがガッチリつかまえる。
「捕らえられた宇宙人」みたいにぐったりしてしまうミエコちゃん。
動揺のあまり視線が定まらないが、その眼差しはすでにうつろだ。

職務を離れてなお、元部下をここまでビビらせるカオルくんって…。



全身が黄色に発光する宇宙人ミエコ。
すっかり脱力したその小さな身体をみんなでズルズルと引きずって、
ウィスラーゴンドラへ向かう。


ほんとは、集合してみて我ら以外にうさぎさんメンバーがいたら、
我らはガイドを断ってフリー滑走にし、カオルくんと5人で滑れば
いいね、という考えもあった。

しかしお客が我らだけとなると、せっかく支度を整えて来てくれた
ガイドさんに「やっぱ今日はいいや」なんて言うの悪いじゃない?

それに、ミエコちゃんの動揺ぶりはあまりに面白すぎた。
こんなにビビリまくる姿を見たら、これはもう連れて行かないワケ
にはいかない。悪ノリ4人の、いたずらのムシが騒ぐ。

さ、行こうミエコちゃん。

今日も楽しい一日になるよ、きっと♪




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カナダ旅記-23

2007-04-19 | Canada 2007
大好評連載中(?)の「カナダ旅記」は、第23話でようやくウィスラー
滑走最終日の2月16日を迎えます。旅もそろそろ折り返しです。
この日は、カオルくんもウィスラー入りして足慣らし。
『カオル企画本編』ももう間もなく! というところです。
そこで、ここから先のやおりの旅記は、
ぜひカオルブログ孤高のハダカの王様と併せてご覧くださいまし。

一緒に過ごした旅の思い出を、ガイド(カオルくん)と参加者(あたし)
それぞれの視点から書き起こし、ほぼ同時、くらいのタイミングでアップ
していこうという、ちょっとした“コラボ”にチャレンジしています。

まぁ「ほぼ同時」程度のユルさですから、更新のペースも、書きつける
エピソードや言い分も、必ずしも一致しないかも知れませんが、それは
それでご愛嬌かと……。

それでは「カナダ旅記-23」滑走6日目 ↓ スタート♪

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2月16日/滑走6日目。

カオルくんがやって来た。
7:40くらいだったかな。朝食を済ませた頃に部屋の電話が鳴った。

「おっはよう。着いたよ~♪
 いまビレッジインのフロントからかけてるんだ。
 これからみんなの部屋に上がってってもいい?」

いいよ。上がっといで♪
ドアは半開きにしとくから、構わず入ってきてね。

待つことしばし、
我らそれぞれに身支度を整えていると、カオルくんがやって来た。
今日はよろしくね。これから1週間よろしくね。挨拶を交しながら、
カオルくんも手早く身支度を整える。

実は今日、我らはガイド申し込みをしちゃってるんだけど、カオル
くんはどうする? なんならガイドは断って、カオルくんと我らの
5人で滑ることにしてもいいけど。
それとも、後輩にゲレンデガイドしてもらって、一緒に滑る?

冗談のつもりで言ったら、カオルくんったら、

「おっ♪ それ面白いね。
 ウィスラー滑るの久しぶりだから、迷子になったら困るもんね。
 よし、俺もガイドしてもらおう♪ 今日のガイドは誰だろう?」

とかなんとか…。
鬼チーフと恐れられた元上司が、悪ノリもいいところだ。


さて、準備を整えホテルを出る。
我らは時間どおりに Sprit of North 前へ向かうが、カオルくんは
リフトパスを買う必要があるため、一足先にゴンドラステーションへ。
パスを買ったらその足でゴンドラに乗って、何本か足慣らしするって。
今までずっとシーズンパスでこの山を滑ってきたこの人が「リフト券
買わなきゃ」なんて言っているのを聞くのは新鮮だ。

今日はウィスラーマウンテンを滑る。
9:00ちょい過ぎを目安にラウンドハウス前で合流することにした。


「ガイドには、上でスペシャルゲストが待ってるって言おうか?」

「いや、何も知らせないで、そ~っと合流するってのはどう?」

「いつの間にか最後尾について滑ってたり?」

「気付いたら1人増えてんの? あははっ♪ 座敷童子かよっ」


我らの悪ノリも相当だ。
今日の餌食、じゃなかった、ガイドは誰だろう。
気の毒だな……(笑)



Sprit of North 前で餌食……もとい、ガイドを待つ

カナダ旅記-22

2007-04-18 | Canada 2007
2月15日/滑走5日目・夕刻。


やおりを探せ! photo by はるさん

暴風にコテンパンにやっつけられて終わった5日目。
註)やっつけられたのはあたしだけ、か。

もんちは部屋に戻る前からソワソワしている。
っていうかすでに目がハートになっている。無理もない。だって今日は
この327号室に、もんちの大好きなウト先生が往診に来てくださるのだ。
イチロー似のオトコマエ。静かな物腰と確かな腕に、もんちメロメロ。

もんちだけでなく、やん様も、はるさんも診ていただくんだって。
身体ケアは大事だもんね。
あたしもお願いしたかったが(去年は膝や腰を診てもらい、滑走中の
正しい姿勢についてアドバイスをいただいた)、何かの拍子に結石が
ズレても怖い。今回はみんなの様子を眺めるにとどめる。

先生の到着を待つ間、はるさんとあたしはレンタル屋へ。
雨でびしょ濡れのコースを滑ったために、すっかりワックスがはげて
しまったパブエネを交換してもらう。
あたしはターンの安定を求めて159 →164cm にサイズアップ。
はるさんは、さばきやすさを求めて174 →169cmにサイズダウン。


部屋に戻るとウト先生の往診が始まっていた。



ウト先生のゴッドハンドにもんちメロメロ


そこへ、部屋の電話が鳴る。
カオルくんだ。

「明日は予定どおりそっちへ行くよ。一緒に滑ろうね♪
 朝5時にこっち(バンクーバー)を出るバスを予約できたから、
 ウィスラーには7:30くらいに着くはずなんだ。
 着いたらホテルに寄るからさ、みんなの部屋に荷物置かせてよ。
 それから明日の夕飯は美味しい手料理を期待してるからね♪」

要は、荷物置き場の確保と夕飯のおよばれ催促が主題の電話である。
荷物置き場の提供は可能だが、夕飯は不可。だって“トラットリア
327”は、昨日をもって惜しまれつつ閉店しちゃったんだもの。
冷蔵庫にはもう食材はない。ビールしかない。

「じゃあ外食か買いメシだね。とにかく明日ね~♪」
言葉を交して電話を終える。
やがて施術も終了。3人のカラダバランスも整ったところで、夕食に
出かけることにする。
行き先は、モンゴリグリル(Mongolie Grill)と決めていた。

去年の『家族でウィスラー』で、遅刻到着のふっしーのウェルカム
ディナー会場となったレストラン。建物の2階にあるし、けっこう
歩き回るスタイルの店なので、脚を負傷していたもんちとやん様は
去年は行くのを控えたんだよね。リベンジ2007。

モンゴリは、肉、魚介、野菜など、思い思いの食材をボウルに入れ、
好みのタレをかけて計量すると重さで料金が決まる。このボウルを
店員さんに渡すと、鉄板でジュージュー焼いてくれる。
出来上がりを皿に盛ってもらってテーブルに持ち帰り、そこでやっと
夕飯がスタートするという寸法だ。

やん様の皿は、「激辛ラー油炒め」だった。
ラー油ってさ、どんな料理だって数滴たらせば十分でしょ。それを
やん様ときたら、普通のソースだってそんなにいらねぇだろ、って
くらい大量に回しかけるんだもんね。アホやで。
食べながら、汗がジャージャー流れてたな。おデコや首筋だけじゃ
なく、顔全体で発汗してた。Tシャツもびしょびしょになってた。
でもここで大汗をかいたおかげで、風邪が抜けたみたいだった。


満腹で部屋に戻り iPod で『世良公則 & ツイスト』を流してみる。
名曲『宿無し』、気合十分の「Want You ! 」に昭和を感じる。

持ってくるのを忘れたと思ってたあたしのワックスも出てきた。
はるさんのスーツケースに、いつの間にか大事にしまわれていた。
博多にお持ち帰りにならなくてよかったよ。


明日はいよいよウィスラー滑走最終日だ。
カオルくんもやって来る。


カオルくんは明日の晩、ウチの部屋に泊まっていくという。それで
翌日早朝のバスでバンクーバーの自宅に戻り、すでにパッキングを
済ませてある「カオル企画」用の荷物を持って空港へ向かうそうだ。


それにしてもウチの部屋にお泊まりか。楽しくなりそうだね♪

でも待てよ。
その場合、彼は誰に宿泊費を払うんだ?

F社に払うのか?
ホテルに払うのか?

……? 

払わないのか?


明日はいよいよウィスラー滑走最終日だ。

カナダ旅記-21

2007-04-18 | Canada 2007
2月15日/滑走5日目・その2。

ブラッコム。

ウィスラーのボウルがダメなら、ブラッコムの林間がある!
なんて言ってこっちに来たのに、やん様ったら、
「今日もスパンキーズ・ラダー行っちゃう?」
だって。
「雪がついてるはずだから、登りも一昨日よりきっとラクだよ」
だって。


あたし一昨日、けっこうヒヤヒヤだったんだけどな…。
ここ数日、やん様は風邪の症状が進んでいて、部屋に戻るとえらく
ヘロヘロなのに、どうしてゲレンデに出るとそんなに元気なの?

「お、いいね♪ 行こう行こう♪」
もんちもノリノリだ。
もんちはね、実はカナダ入りする前のニセコで脚を痛めている。
それもあってウト先生の整体をまめに受けてるってのに、やっぱり
ゲレンデに出ると、ものすごい元気なんだよね…。

「一昨日より登りやすいといいね。向こう側も雪ありそうだし」
はるさんもノリ気かぁ……。


「よ……、よし。行こう」
ビビりつつも、やおり同意。
こう見えても(?)あたしはこのメンバーでは最年少。隊の和を乱す
わけにはいかない。も~、こうなりゃ俺もオトコだっ!(オンナです)

「グレイシャーエクスプレス」を降り、スパンキー入口へ急行する。
今日もやん様を先頭に、登はんスタートだ。


おっ♪
確かに足場は、一昨日より雪がついていて登りやすい。
それでも最後の数歩は角度的によじ登る感じになるから、今日も
先頭のやん様にストックを託し、スキーを支えに歩を進めていく。

進めていくが……



ドゴゴーーーーーー!!!



突如吹き荒れ始めた強風が、岩壁に貼りつく我らをたたくっ。
脚を一歩引き上げるたびに、風でバランスを崩してしまうほどだ。
負けるな自分。隊の和を乱すわけにはいかないのだっ。
でも……
こえ~~~!(泣)


前を行くもんちも、
「うぉ~! よろけるぅ~!」

と、あまりの風に手こずっている。
だけど正確に描写すると、

「うぉ~♪ よろけるぅ~♪」

のほうがより近い。
もんち、楽しいんだね(泣)


どうにかこうにか岩壁を登りきり、トップの平地に辿り着いたが、
風はなおも勢いを増し、容赦なく我らに襲いかかる。
ここは山の稜線。さえぎるものが何もない、風の抜け道なのだ。

強風をはらんでウェアが膨らみ、ライフジャケットみたいに見える。
あるいはお相撲さんの着ぐるみみたいにも見える。胴体でけぇ。
パブエネを支えに踏ん張ってみるが、この板の太さがアダになった。
板がちょうど船の帆のように風を受けて、決して軽くはないはずの
我が身が、板もろともあらぬ方向にトトトッと歩かされてしまう。
これはきっと、あたしが生涯で吹かれたなかで最強の暴風だ。
た~~すけてぇ~~~~~~(泣)

「しゃがんで、しゃがんで!」

吹きすさぶ風の中、やん様の指示に従い、みんなで身をかがめる。
っていうか、もはや立っていられない。
しゃがんでいたのはほんの10秒くらいだったと思うけど、終わりの
見えない時間は実際より長く感じるものだ。
一体いつまで吹きつけるのか?
この風がずっとやまなかったらどうすりゃいいのか?
などと本気で考えるビビりのやおり。


これが、待ち焦がれていた今日のストームの正体だったとは……。



タイミングを見計らって立ち上がり、できるだけ素早く板を履いて
滑り出す。ルビーボウルを行こうとしたがいたるところに岩が出て
危険と判断し、ガーネットボウルからダイヤモンドボウルを下りた。
その後はランチタイムをはさんで当初予定されていた林間へ。
ラプターズライドとか、ストーカーバンプスとか……。

ランチタイムにもんちが「去年、みんなで富士山滑走をしたときも
すごい風で、さっきみたいにしゃがんでこらえたんだよ」と教えて
くれた。
そっか。はるさん・もんち・やん様は富士山で経験済みだったのか。


だけどもう、

やおりはスパンキーでくらった暴風で腰が抜けました。

午後は使い物になりませんでした。


やおり腰くだけ。滑走面と股間しか写っていない

カナダ旅記-20

2007-04-17 | Canada 2007
2月15日/滑走5日目。

今日はガイドは頼まずフリー滑走。
フレトラ目指してウィスラーゴンドラに並ぶ。わりと先頭。
今朝はビレッジにも雪がしんしんと降っている。上はどんな具合?
できれば夕べのうちにどばーっと降って、日中はキラキラと晴れて
くれたらいいのに。
こういう都合のいいことは、たつ兄がいたら絶対言いそうだ。

だが、もちろん自然はそんなに甘くない。


確かにストームは来ていた。
ただし、


雪よりも、


風メインのやつね。



朝はそうでもなかったんだ。風もさほどじゃなかった。
バッフェを済ませて滑り出すと、夜のうちに積もった柔らかい雪が
我らを出迎えてくれて、かなりテンションの上がる状態だった。
K2パブリックエネミーも走る走る♪

斜度の甘い、柔らかい雪をかぶったコブ斜面なんて楽しかったな。
板の幅と重さのバランスがいいのか、コブにぴたりと貼りついて、
なめるように走ってくれるんだよね。いいね、パブエネ。

だけどこの日も、思ったよりも冷え込みが弱くて、雪はだんだんと
湿り気を帯びてきた。早朝には雪だったボトムエリアも、午前中の
うちに雨に変わってしまった。
板の感覚を確かめようと大回りのターンを繰り返しながら走るが、
コースはすでに雨でびしょびしょ。ワックスがはげる~。

中間駅からゴンドラに乗り、雨をしのいで再び山の上を目指す。
2日目にミエコちゃんと滑ったバックボウルあたりなら、いい雪が
残ってんじゃん? と踏んで、PIKA'Sトラバースを担ぎ上げ。
なんだかんだ言って、けっこう毎日担ぎ上げる旅だな(疲)

雪は小やみ。
今回、撮影枚数が伸び悩んでいることを反省し、みんなの滑りを
収めることにする。連続写真で一気にカウントアップを狙う。


やん様が雪を蹴散らす!


はるさんが攻めの滑りを見せる!


もんちがはしゃぐ♪


う~~ん、でもなぁ……。重くはないが軽くもない。そんな雪。
いいパウダーの味を知ってしまうと、贅沢になっていけないね。
まぁ、
ウィスラーのボウルがダメなら、ブラッコムの林間があるさ!
たぶんこんな日は、林間のほうが雪も視界もいいはずなんだ。
少数部隊の身軽さで、今日も両山制覇といこうじゃないか♪

風メインのストーム、その脅威がブラッコムで牙を剥こうとは
このときはまだ知るよしもない。

ということで、昼を待たずに一気に下山。
ワックスがはげる~。

カナダ旅記-19

2007-04-17 | Canada 2007
2月14日/滑走4日目・夕刻。

午後2:00、ガイド終了時刻となり、カズキとばいばい。
その後も滑り続けた我らも、あと1本という気持ちを残して下山。

天気が冴えなかったことを理由に、まるで写真を撮らない日だった。
1枚もないのは寂しいので、せめて集合写真を撮ることにし、そばに
いたイカツい兄ちゃんに、恐る恐るシャッターを頼んでみる。
うるせーあっち行け、と断られると思ったら、満面の笑顔で応じて
くれたよ。写真の構図まで気にしてくれて、

「背景にブラッコムゴンドラのロゴが入るようにしといたよ♪」

だってさ♪ ナイスガイ、サンクス ア ロット。


低解像度にて掲載中。ピンボケじゃありません


ビレッジに戻り、今日もはるさんと外出。
あちこち探し歩いて見つけられなかったK2パブリックエネミーを、
ホテルの隣のブロックにあるショップ「FANATYKYO SKI」で発見。
「灯台もと暗し」ってヤツね。
はるさんは174cmを、あたしは159cmをそれぞれゲッツ。
K2パブエネ(118/85/109)も、明日のストームも、楽しみだ。



ところで、カズキのこと。

去年はゲレンデエリア外のあの林間で露骨にイラついて見せるなど、
まだまだじゃのぉ~と思ったもんだけど、今年、印象は好転したよ。

この人、こんなに上手なガイドができる人だったんだ。って。
(去年はホントにわからなかったからなぁ…)

かつて、
まだ血気盛んなパダワン(スターウォーズ用語)だったカオルくんの
ガイドでこの山を滑って、同じように感心したことがある。
お客の足並みの見極めや、コースや地形がこの先どうなっているかと
いったインフォメーションを提供するタイミング、それから、お客の
様子を気遣うタイミング。
カオルくんの、そういう“押さえどころ”の間合いのよさに、好感を
持ったんだ。あれは00年? 01年だったかな。
いいガイドと滑るのって楽しいものなのね~。と、知った日だった。

今回のカズキのガイドぶりには、かつてのカオルくんの姿を思い起こ
させる間合いのよさがたびたび見受けられて、好感が持てた。

こんなこと書くと、
「あら~、カーくんすっかり立派になっちゃって!」とか、甥っこの
成長に目を細める親戚のおばちゃんみたいだな。

それにちょっと、カオルくんを誉めすぎた。反省。





今夜は
・ざるうどん どっさり
・アルバータ牛のひとくちステーキ
・コカニー♪

わずか4日間の営業ながら人気を博した“トラットリア327”は、
一部ファンに惜しまれつつこれにて閉店。

カナダ旅記-18

2007-04-16 | Canada 2007
2月14日/滑走4日目・午後の部。

ランチを済ませ、午後は「ピークチェア」に乗線。
ウィスラーボウルへ入るが、視界は悪く、ホワイトアウト状態だ。
ここは斜度のキツいコブ斜面なのだが、あたり一面真っ白で、自分の
足元がどうなっているかも見えない。
っていうかどこが斜面なのか見えない。

先頭を行くカズキも、入口のコブにバランスを崩してペタンと尻餅。
その姿が、バスタブに浸かっているみたいに見える。


ボーダーカズキ、リラックスバスタイム
(イラストはイメージです)



「言うまでもないと思いますが、ここコブですよ」

すました調子で我らを振り返るカズキ。
的確なガイド、みごとだわ(笑)

かくいうあたしも人のことは笑えない。
ボウルの中腹でコブに弾かれスコーンと転倒。板を1本外して斜面を
転げ落ちてしまった。
後方のはるさんに板を集荷・配達していただくなどご面倒をおかけし、
先方のもんちたちには「大丈夫か? 唾石はズレていないか!?」などの
ご心配をいただきつつ滑走を続ける。諸々大丈夫です。

それにしても、
斜面も視界もすべてが単一の白さに見えるガスや濃霧、曇天の中を
滑っていると、平衡感覚が乱れて気分が悪くなる。
目眩か、乗り物酔いみたいな感じ。…うぅ、きぼぢわるいぃ…。
ランチを軽めにしといてよかった。

白一色のウィスラーボウルを、それでも2本続けて滑る。
みずからの三半規管を痛めつけるM度の高い2本だ。


2本目のウィスラーボウルを抜けた頃、ガスを抜けた。
弱いながらも一瞬の陽射しが戻り、行く手の見通しもいい♪
林間に飛び込むカズキについていくと「おぉ~、まだあるじゃん」
とニヤけてしまうほど上質のノートラックが残っていた。
木の間隔もほどほどで滑りやすい。カズキ、ナイスガイド!

夢中で林間を遊び、少し斜面が開けたところでひと休みする。
我らの他に人はいない。
静かだし、雪はいいし、なんていいコースなのかしら♪
でも待てよ。この静けさ、去年もあったような…。
まさかと思うが念のため、メイ アイ アスク ア クエスチョン。

「ねぇねぇカズキくん、ここってゲレンデエリア内だよね?」

「すみません、ついさっき禁止エリアに出ました(笑)」


グーでぶつよ。

もちろん本当はちゃんとエリア内。「グランドフィナーレ」という
コースだ。
なんでグランドフィナーレ? 我らはまだ先の旅程のある身なので
ここでフィナーレは迎えたくないが、この山のコース名って面白い。
それぞれの由来がわかればいいのに。

グランドフィナーレから、やはり個性的な名の“ハイウェイ86”と
いうコースに合流し「ビッグレッドエクスプレス」に乗線する。
リフト待ちの列で、日本人の気さくなおじさんと一緒になった。

カズキ曰く“スーパーリピーターのタナカさん”だという。
タナカさんは、
ウィスラーが好きで、滑りも滞在もマイペースで楽んでいるという
元気なおじさん。1本一緒に滑ったが、すばらしい脚前だった。
あれだけ上手くて、好きなときに好きなだけ海外で滑れるだなんて
羨ましいね、何やってる人なんだろうね?

何やってる人も何も、F社の社長さんだった(あとになって判明)

社長が来てるとなるといろいろ面倒があるのか、身分を明かさず、
スーパーリピーターということにして滞在してるんだって。

そうだったのか…。
社長さんと存じあげていれば、毎シーズンのように楽しい旅を提供
してもらっていること、あるいは、すでに退社した元ガイドの名を
冠した企画旅行を、今年も変わらず催行してくれる懐の深さなど、
あれこれお礼の気持ちを伝えたいところだったのに。
あぁ、あと、パンフレットがデカすぎることも、ぜひ伝えたかった。