楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

髪を切る場所。

2006-11-26 16:42:47 | Weblog
本格的に冬ですね。寒い。


髪を切った。いつものとおりに目白駅で降りて下落合へ向かう。月に一度必ず来ているがそれ以外で目白に来る用事などまずない。髪を切るためだけに山手線を挟んで反対の場所まで行くというのは決して合理的ではないだろう。通い始めたきっかけは、むかし目白の駅のそばにあったカフェのクリスマスパーティーで話をした方が近所で美容院を開業しているという話になったからだ。何年前だったかもわからない、もうずいぶんと前の話だ。

それより前は自宅から徒歩で1分くらいの所にあるおばさんが一人でやっている床屋。通うには良かったのだけれど、就職時に髪を伸ばすという暗黙のルールにとりつかれて訳も分からずに髪を伸ばしたところ、アタマ全体がこんもりとふくらんで何とも形容しがたい形になるのがどうにも耐えられなかった。今もその頃の写真を見せると皆がおかしいと指摘して笑う。そんなこともあって今の美容院に通い始めたのだけれど、髪を切りにいくためだけにわざわざ目白まで出かけるというのは案外悪くない。

美容院の椅子に腰掛けると「先月のはいかがでしたか」と尋ねられた。先月髪を切った際、いつもとは少し違う感じに仕上げられたのだけれども、ひと月も経つとすっかり忘れてしまっていた。すぐに思い出せずにいると「少し違っていたけれどどうでしたか」と続ける。あいまいな返事をしながら先月の髪型のことだとわかったので「いつもと違う感じでたまにはよいですね」と答えると、それは私の感想か周囲の感想かと続けて尋ねられたのでそれもまたあいまいに答えた。きっと今月も先月と同じ少し違ったアタマになるのだろうと思いながら鏡を眺めた。

数十分後、気づけば元のアタマに仕上がっていた。いつもよりちょっと短めだけれども慣れ親しんだいつもの髪型だ。やはり長い間通っていると通じるものだなと思いながら、初めの質問に気の効いた答えが出来なかったことを反省した。気負わずに計算することもなく相手の想いを上手に汲み取って適切な答えができるようになるにはまだまだ経験が必要のようだ。お金を払って外に出るとすっかり日が暮れていた。短くなったアタマには少し寒い。家に戻ったら毎年被っている茶色のニットキャップを探そうと思いながら家へ向かう電車に乗った。