楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

歳相応の杯。

2007-06-30 11:22:00 | 雑記。
独りで夕食をとるのが退屈になった。独りでいるときには感じなかったけれど、生活が変わってそうした機会が減ったからか独り飯が随分と味気なく感じられる。独りで飯を食べるくらいなら酒を飲んだほうが良い。独りの酒は勿論良いけれど、誰かと飲みたいときもある。会社を早めに出ながら近所に住むAIKに電話をかけた。既に帰宅していたのだが豊洲までならば出てくれるというので、「山本」に誘った。先に到着して店内を覗くと満席である。しばらくして出て行った客と入れ替りに店に入り中でAIKを待った。

見回すと一人の男性と目が合う。以前にご一緒させていただいたEYMさんであることに気付く。既に酒が入っているようで大分陽気な様子だが、久しぶりの再会を喜べば更に陽気だ。いつもどおりに枝豆をつまみにホッピーを飲む。いつも会社帰りの酒は空腹なだけに酔いが回るのが早い。しばらくしてAIKがやってきた。EYMさんは、「いい顔立ちをしている」と彼を褒める。以前に私も同じように褒めていただいたことを思い出しながら楽しくなる。我々と同じ歳のEYMさんの連れの男性は落ち着いて酒を飲んでいる。歳相応ということを思いながらいつも酔いに任せて杯を重ねてしまう自分とは大きな違いだ。結局この日も最後の方は確りと覚えていない。覚えているのは晒し鯨を食べながら、最後の一杯に生ビールを頼んだことくらい。口数の少ない印象の店の主人とテレビを見ながら話をしていたことも覚えているが、肝心の話の内容についての記憶は曖昧になっている。

気の置けない人と場所というのは本当にありがたい。どこに行ってもそうした場所を探してフラフラしている。それは楽しみのためというよりは、むしろ甘えるためということにも薄々気付いているけれど、変わらずに飲み続けて何年たったろう。そろそろ歳相応という言葉を毛嫌いし続けるわけにもいかない。さて、何から手をつけようか。

目白のギャラリー。

2007-06-28 21:52:24 | 散歩。
ゴールデンウィークに弘前に行った写真を見せながらJNBと話をしていると「建築が好きですね」と言われた。建築図面を引くことのできる彼の興味は木工に向かっているようで以前ほど建築に執着してはいないというような話をする。建築が好き、というひと括りでまとまるような興味ではないことはお互いに分かっているのだけれども、真剣に木工に取組もうとしている彼と比べて、色々なものに興味を持ちながらも何一つ身についていない我が身を思うとため息が出る。

いつも行く美容院の裏手に建築家の吉村順三の事務所だった建物がある。タイミングが合わずいつも前を通るたびに気になっていた。ちょうど「青山の家」展という展示をやっているのが見えたので500円の会場維持費を払って中に入ると、事務所の職員だったと思しきやや歳を召された説明員と若者のグループが二組。並んでいる模型と写真、図面を眺めるが専門的な知識があるわけではないので、興味だけで眺めて感覚だけで捉えるしかない。何を見るにしても、もう少し知識があればと思うのに結局は怠けてしまう。全く悪い癖だ。

事務所の来客用のスペースで説明員の方が話を始めた。会場にいた皆が応接のソファに座った。名古屋から来たというグループは建築を学んでいる学生らしく、座っている中で全くの門外漢は私だけのようだ。「吉村のどこに惹かれているのですか」という質問に答える姿も賢そうだ。通りかかっただけです、などと答えるのも憚られるなあと思っているうちに話は別の話題に移る。建築の話というよりは、文化の話。名古屋のグループはコルビュジェ展を見に行くという話をすると「見に行かなきゃいけないんだけどなあ」と説明員の方は渋い顔をする。どうやらその展覧会が行われているビルを運営する会社が好きでないようだ。確かに行かなきゃな、という思いながら行っていないのは私も同じだ。しかし足が向かない理由は全く別のところにある、ただの怠け癖。

ヒルフィガーのケリー。

2007-06-26 00:55:06 | 雑記。
宅配ボックスのランプが点灯しているので荷物を見に行く。水曜日と土曜日に来るクリーニングの受渡し以外に宅配ボックスが利用されることはないから、「もしかしたら」という期待を持って宅配ボックスのカードを挿入して指定のボックスから荷物を取り出した。大きな三色の紙袋の口が丁寧にテープで留めてある。「やはり」と思ったのは、その三色がヒルフィガーの例の紺・白・赤だったからだ。嬉々として家に持ち帰ってテープを開けるとエアキャップにくるまれた白い箱が見える。丁寧にくるまれている包みをはがすと今度は白い箱がきっちりと糊で留められている。随分と粘着力の強い糊と格闘すると、紺色の箱が出てきた。「また箱か」と思いながら蓋をとると写真集が出てきた。グレース・ケリーの写真集。書店に出ていてもきっと気にも留めなかっただろうし、どうしても手に入れたい、という物でもなかったけれども、現れた写真集のカヴァーを見たらやはり嬉しくなった。

ゴールデン・ウィークに青森に行った帰りの飛行機で機内誌をパラパラと捲っていると、この写真集が紹介されていた。一見、写真集の紹介のようだけれども、ヒルフィガーのPRであることに気付く。HipHopに夢中だった頃も全く興味を持たなかったこのブランドとグレース・ケリーというイメージが全く結びつかない、というよりも真逆のイメージを持っていたので、写真集の序文をヒルフィガーが買って出たという記事に驚き、続くプレゼントのページの応募先をメモしていた。きっと機内誌の郵送応募でなおかつ写真集のプレゼントなど応募者が少ないだろうから、当たるだろうという魂胆を抱きながら家にあった葉書に住所を書いた。やはり当たったのだから応募者はそう多くなかったのだろう。

分厚い写真集の中身は何とも素敵だったのだから、やはり送った甲斐があった。グレース・ケリーそについてそう多くは知らないけれども、50、60年代を中心にまとめられた写真に写っているその人は単に綺麗というだけでは表現できない何かを備えているように見える。ヒルフィガーがこの写真集に序文を書きたくなる理由もわかる気がすると同時にヒルフィガーというブランドをキチンと理解しているのかという疑問が湧く。きっと今まで偏った印象で見ていたに違いない。同封していただいた序文の和訳に目を通した。「グレース・ケリーは言うなれば最も美しい人でした」という直訳に戸惑う。やはりヒルフィガーを理解するにはもう少し時間が必要かもしれない。

インドの鉄馬。

2007-06-24 00:50:39 | 買いもの。
銀座へ寄ったついでにたくみに寄った。盛岡でロバのような山羊を買ったからというわけではないけれど、階段の踊り場のところに置いてある馬の置物が目に入る。インド製の鉄製の置物。なんともとぼけている。買ったところで何の役にも立たないけれど、ロバのような山羊だって、弘前で買った鳩笛だって何の役にも立たない。そうしたものが家の中に増えているのもどうかとは思いながらも、手にとりながらどうやって買おうかと言い訳を考えている。隣にいる相方も同じことを考えているようだ。結局、包んでもらう。

盛岡の光源社でもそうだったけれど、こうした店に来るとあれも欲しいし、これも欲しい、となって結局は何も買わないということも多い。この日は椅子敷を買いに来た。店の人が出してくれた商品は冬に見たものとは少し感じが違う。静岡で作られている綿製のもので、冬に見たのは倉敷で作られたもののようだ。詳しく聞くと静岡のものは製作者が体調を崩していてオーダーを受けてもいつできるかは分からないらしく、倉敷の方の入荷は不定期のようだ。とりあえずのオーダーは受け付けるというので見本を見せてもらう。いろいろな色の組合せ、柄があり悩み始める。こうなってくるとやはりこの場では決まらない。結局、気になるいくつかのパターンを携帯電話のカメラで撮影させてもらい、再度悩むことにした。

結局、買おうと思っていた椅子敷を買うこともなく、帰り道の手許には馬の置物だけがある。それはそれで良いのだけれど、店を出たところにあった鉄製の大きな鳥かごが目に入った。相方もどうやら気になるらしく「いいねえ」を連呼する。鳥を飼うつもりもなければ、そんなものを置くだけの場所もない。買わなきゃいけないものと買いたいもの、そして欲しいものというのはいつも近いように見えるけれど、それぞれ別々の物のようだ。勿論、鳥かごを包んでもらうようなことはせず、まっすぐ家路についた。

ポスタルコの窓下。

2007-06-22 23:59:59 | 買いもの。
久しぶりにポスタルコに寄った。相方を連れて行くのも久しぶりだ。顔見知りの店の女性に店の什器と新製品を楽しみに来たことを伝える。手作りの什器に感心していると外で大きな音がした。独特の車のブレーキ音とつぶれる鈍い音。窓から皆で顔を出すと、真下の交差点で車が標識を倒し、真横になって道を塞いでいた。運転席から苦しげに男が出てくると、路上に寝転んだ。苦しげな男には同情しながらも、近くの工事現場の交通整理がすかさずカラーコーンを事故車の前に並べると、即席で通行止めの表示が出来上がった。その手際のよさに思わず店員の女性も笑う。

路上に寝転んだ男は苦しみながらも、携帯電話をかけ、かかってきた携帯電話に応答し、路地から飛び出してきたと思われるタクシーの運転手に悪態をついた。きっと苦しんでいるのだろうけれど、徐々に同情も薄れてきた。きっとたちの悪い男かもしれないと思い、少し反省する。「ここよく事故が起こるんですよ、2ヶ月に1回は起こっているはず」と店の女性は言う。きっとその都度、店の窓から外を眺めているのだろうな、と思いながら、同じように首を窓の外に出して下を眺める。ほぼ真下に男はいた。目が合っては困ると思い、早々に首を引っ込めた。

もう一つの楽しみだった新製品はもう少しだけ時間がかかるらしい。製品にちょっとした工夫をしたのだけれど、手間がかかりすぎて思ったような値段で出せないのだという。もしそれがあったとしても買うかどうかわからないのにそんなことを聞くのもどうかとは思いながら、以前から欲しかったライブラリーシリーズの『AtWork』を買う。43枚のカードをリングで留めたもの。以前、スパイラルで催しをやった時に作ったものだという。その時は自由にカードを取ってリングで留めるようにしたのだけれど、数字の入っているカードがなぜか人気だったらしい。何か意味を見出したがるんですかね、と店の女性は言いながら、綺麗な水色の包装をかけてくれた。外は快晴だ、事故の男も空の青を見ているのだろうか、そんなはずもない。