朝、家を出ようとしてマフラーを探したが見当たらない。いつも手袋とイヤーマフと一緒に置いているかごの中に見当たらないので思い当たる場所を探すが、結局見つからずに時間に追われるまま、他のマフラーを巻いて出かけた。見つからなかったグレーのマフラーは、相方から先日貰った物なので、そう簡単に「無くした」という訳にはいかない。駅までの寒い朝の中を歩きながら一体どこに行ってしまったのかを思い出す。仕事場を出る時にバッグが嵩張ると思いながらマフラーを入れたから仕事場には無いはずだ。そして帰り道に途中下車した時にバッグを閉め直した時も、やはりマフラーがあったのは記憶にある。そうなると東急ハンズで荷物を整理しようと座ったベンチに置き忘れたような気がしてきた。しかし早朝では連絡の取りようも無いから夕方まで待つしかない。きっと見つかるだろうと言い聞かせながら実は気になってしょうがないから独りでグルグルと思い悩んで一日を過ごした。
会社帰りに東急ハンズがある複合ビルに急いだ。受付らしきものが見当たらないから誰に聞いたら良いのかわからないまま近くにいた駐車場の管理人に尋ねると遺失物の担当は防災センターだと言いながら連絡をしてくれた。ずっとマフラーが見つかることを真剣に願っていた。連絡してくれている間も長く感じられる。マフラーの忘れ物がそれほどたくさんあるのだろうか。連絡を待つ間、ふと「こんなに連絡が長いのは詳細を確かめているのではないか」と自分に都合の良い展開を思い始める。今まで何度と無く落し物をしているけれど多くの場合は手許に戻ってきているのだ。きっと今回もそうなるに違いないと勝手な想像をしていると防災センターに案内しますと管理人が言う。やはり見つかったのだ。防災センターに向かいながら不安や反省はすっかり消えていた。こんな調子だから忘れ物を繰り返すのだ、という声が聞こえたような気もしたが、とにかく無事にマフラーを持ち帰ることだけを考えて地下鉄の入り口へ急いだ。
会社帰りに東急ハンズがある複合ビルに急いだ。受付らしきものが見当たらないから誰に聞いたら良いのかわからないまま近くにいた駐車場の管理人に尋ねると遺失物の担当は防災センターだと言いながら連絡をしてくれた。ずっとマフラーが見つかることを真剣に願っていた。連絡してくれている間も長く感じられる。マフラーの忘れ物がそれほどたくさんあるのだろうか。連絡を待つ間、ふと「こんなに連絡が長いのは詳細を確かめているのではないか」と自分に都合の良い展開を思い始める。今まで何度と無く落し物をしているけれど多くの場合は手許に戻ってきているのだ。きっと今回もそうなるに違いないと勝手な想像をしていると防災センターに案内しますと管理人が言う。やはり見つかったのだ。防災センターに向かいながら不安や反省はすっかり消えていた。こんな調子だから忘れ物を繰り返すのだ、という声が聞こえたような気もしたが、とにかく無事にマフラーを持ち帰ることだけを考えて地下鉄の入り口へ急いだ。