清澄にあるババグーリに行った帰り、門前仲町の交差点に近いガソリンスタンドのある角でだるまの方に目をやると、手前にある大坂屋の看板が見えた。丁度日が暮れてきた時間帯、夕食には早いが、お八つということならいいだろうと勝手に言い訳をつけて、ちょっと寄っていこうと相方に声を掛けた。煮込みと酒がお八つになるのかどうかわからないが、軽く一杯ならばこの後の予定にも支障は無いはずだと思い込むことにして、小ぢんまりとした店構えの引き戸を開けた。想像していたよりも小さい店内。目の前の白木のカウンターには煮込みの串が入った大鍋がぐらぐらと煮えている。カウンターに5席、左手の壁際のカウンターにも同じくらいの席があるのだろうか。カウンターの向こうには店主らしき女性が腰掛けている。奥に見える小上がりに掛けられた液晶テレビでは大相撲中継が流れている。他に客がいないのがかえって有難い。肴は煮込みのほか数点、酒は日本酒と焼酎とビールだけという品書きは潔く気持ちがいい。置いてある酒を自慢するように酒が並ぶ店よりも自分のような者には安心できる。
席に着くと、落着いたタイミングで器と綺麗にたたまれた手ぬぐいが置かれた。小気味よく刻まれた大根の漬物が置かれたタイミングで燗酒を頼むと、ゆっくりと燗酒器に銚子をつけ始めた。古いけれども手入れが行き届いた清潔な店内、無駄なものがないのは品書きと同じだ。煮込みを二本頼むと串に刺さったシロが出てきた。煮汁も旨い。すぐに平らげて追加を頼むと串は三種類あるという。シロにハイゾウ、軟骨があるというのでとりあえず全て頼むことにする。やはり旨い。気付けばお銚子は空になっていた。他に客もいないがおしゃべりするでもなく、気まずくならない程度に言葉を交わす。相撲はそれほど好きではないと言いながら、取り組みが変わるたびに一言二言話し掛けてくる。そうしているうちに他の客が入ってきて隣に座った。串を四本と焼酎を注文するのを横目で眺めていると、生の焼酎にシロップを入れた「梅割り」が出てきた。次はあれを頼もうかと思ったが、次の予定のために切り上げて席を立つと、少し不思議そうな表情をする。ちょうど話題の横綱の取り組みが始まろうというところなのにということなのか、それとも卵入りスープをなぜ注文しないのかということなのかはわからないがどうしてこのタイミングでというような表情だ。長居しない方が心地よいと思いながら長居してしまうような店。その雰囲気に負けてしまったからか写真をとるのも忘れてしまった。けれども、もしかしたら近いうちにもう一度行くための理由を無意識に作ろうとしていたのかもしれない。
席に着くと、落着いたタイミングで器と綺麗にたたまれた手ぬぐいが置かれた。小気味よく刻まれた大根の漬物が置かれたタイミングで燗酒を頼むと、ゆっくりと燗酒器に銚子をつけ始めた。古いけれども手入れが行き届いた清潔な店内、無駄なものがないのは品書きと同じだ。煮込みを二本頼むと串に刺さったシロが出てきた。煮汁も旨い。すぐに平らげて追加を頼むと串は三種類あるという。シロにハイゾウ、軟骨があるというのでとりあえず全て頼むことにする。やはり旨い。気付けばお銚子は空になっていた。他に客もいないがおしゃべりするでもなく、気まずくならない程度に言葉を交わす。相撲はそれほど好きではないと言いながら、取り組みが変わるたびに一言二言話し掛けてくる。そうしているうちに他の客が入ってきて隣に座った。串を四本と焼酎を注文するのを横目で眺めていると、生の焼酎にシロップを入れた「梅割り」が出てきた。次はあれを頼もうかと思ったが、次の予定のために切り上げて席を立つと、少し不思議そうな表情をする。ちょうど話題の横綱の取り組みが始まろうというところなのにということなのか、それとも卵入りスープをなぜ注文しないのかということなのかはわからないがどうしてこのタイミングでというような表情だ。長居しない方が心地よいと思いながら長居してしまうような店。その雰囲気に負けてしまったからか写真をとるのも忘れてしまった。けれども、もしかしたら近いうちにもう一度行くための理由を無意識に作ろうとしていたのかもしれない。