楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

カウンター三景

2010-04-18 23:59:59 | Weblog

よく立ち寄る近所の酒場はL字型のカウンターと4人掛けのテーブルが2つ。Lの字の底辺の席に座ると、その日のお薦めが見えない代りに魚をおろす様子やら、冷蔵庫へ行ったり来たりする様子が見える。前回立ち寄った時も空いていたのが一番入口に近い、L字の底辺(と書くと非常に感じが悪いが決してそんなことはない)の席に座り、鯵とアオヤギ、地ダコの刺身とソラマメを注文した。下ろされた鯵が盛りつけられているのを眺めながら、ビールを飲んだ。暖かい夜だったからだろうか、春を実感しながら、瓶ビールがあっという間に空になった。
翌日、仕事の外出の帰りに寄り道をした。初めて入ったその店は直線のカウンターにスツールが幾つか並んでいた。一番入口に近い席に空きを見つけて腰をかけた。カウンターの中で調理をしたり、ワインの栓が抜かれていくのも楽しい。掲げられた品書きを見ながら悩む。何品も注文できないのが一人の辛いところだけれども、その代わりに他の客が注文した料理が作られていく様子を観察しているうちにワインのグラスは空になった。
その週の土曜日の午後、少し前にオープンしたコーヒーショップを訪ねた。小さな店を改装した店でドリップコーヒーとコーヒークリームパンを頼んで暫く待つ。交差点に面した大きな窓に直線のカウンターだけの店、椅子はない。その日のカウンターからは作業の様子が見えない代りに、目の前の交差点の赤い郵便ポストが見える。ポストを眺めたり、たまに交差点を過ぎる人たちを眺めているうちに何だか旅先にいるような気分になってきた。このカウンターで短い手紙を書いて、出掛けに投函して、と勝手な想像をしている内にコーヒーは空になった。
素材も長さも異なるカウンターから見えるのは異なった景色。おいしい物がある場所ならば、良い景色が見えるようだ。勿論、長居と飲みすぎを気をつけるようにしなければいけないけれど、なかなか難しい。

花と団子

2010-04-09 23:59:59 | Weblog
髪を切ってから明日館の桜を見ようと思い、美容院に行く手前にある高砂屋に立ち寄ってショーケースを覗く。みたらし団子が1本といなりずしが数個、山菜ごはんと赤飯のパックが残っているだけ。ちょっと気分ではないと思いながら、最後のみたらし団子といなりずしを包んでもらった。予約の時間には少し早かったから徳川コンパウンドの桜を眺めながら団子を頬張る。あっという間に串に刺さっていた大ぶりの団子が消えた。
髪を切り終えてから明日館へ向かった。ポツリポツリと雨が当たったと思ったら、雲が立ち込めて大粒の雨が降り始めた。傘を持たずに出かけたから、そのままパーカのフードを被って歩き続けた。やっと到着した明日館の向かいにある音楽堂の軒先に駆け込んだときにはどしゃ降りになっていた。先客は赤ワインの瓶を開けている。急いで来たのと、寒くなっていたので酒も買わずに急いできてしまったことを悔いた。手元にはいなりずしのパックがあるけれど、飲み物もなしにつまむ気分にもならない。雨風がさらに強くなって、気温はさらに下がってきたようだ。
雨が弱くなってきたので、駅に向かおうと歩き始めて、館内が桜観賞で解放されていることを知った。早く気付くべきだったと悔やみながら、お酒とセットになった入場券を購入して館内に入った。冷え切った体に空調が暖かい。チェリービールとロゼシャンパンを選べというのでシャンパンをもらって桜の見える場所に陣取った。ようやく落ち着いて桜を眺める。ライトアップされて浮かびあがっている桜を見ながら、バッグにいなりずしがあることを思い出した。持ち込みはきっと許されないだろう、トートバッグの中に入れたまま、気付かれないようにサッと口に運び、パクリと食べて何事もなかったかのように窓の外を眺めた。雨も上がってきたようだ。そろそろ相方の仕事が終わるころだろう、目黒川の桜を眺めに中目黒まで行ってみようか、と思い席を立った。

two-days pass

2010-04-06 23:15:47 | Weblog
「ツーデーパス」という切符を利用できる範囲のギリギリまで電車に乗って出かけた。2日も続けて電車に乗るつもりではなかったのだけれど、目的地の上田を往復する乗車券よりも件の乗車券を買う方が安かったのだ。結局、翌日も何だか勿体なくなってしまって近所に住むAIKを誘って会津まで出かけた。
土曜日は10時の長野新幹線で、日曜日もやはり10時の東北新幹線で東京駅を発った。上田には11時半に、会津若松には13時に到着した。帰りは、それぞれ19時と18時頃だったような気がする。いずれも半日の滞在だったけれども、街の様子が対照的に映ったのは、下調べの有無なのか、それとも気温と天候のせいだったのか。どちらも楽しい日帰り旅行だったけれども、楽しさはそれぞれに違う。
新幹線で過ごしていると眠気が襲う。決して退屈ではないのだけれど、どうして眠くなるのだろう。日曜日、郡山から乗換えた磐越西線での1時間少々が楽しかったのは、持参した紙コップで酌み交わした日本酒と、つまみに買った小鯛の昆布締めが思いの外美味かったからではないはず。目的地とその道中、両方を満たす場所を探すのはなかなか難しい。