楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

過去の音楽。

2007-02-25 23:34:57 | 買いもの。
寒い日が続きますね。


増やそうという野心は全くないのだが、部屋にあるレコードが収まらなくなってきたので棚を買うことにした。以前、立ち寄ったレコード屋で見かけたことを思い出していってみたところ、その店のオリジナル商品に変わっていた。寸法を調べると数ミリ違う、これでは困るので結局は買わずに店を出ようと思ったが、折角来たのだからと思い7インチをしまう箱を買った。ひとつ目的を達成した気になって、改めて店をフラフラする。レコードをしまおうと思って来たのだから、レコードを買うなど言語道断だが、一枚のMixCDに目が行く。

『reflections of.....』というタイトルの自主制作のMixCD、DJ Chikaというクレジットはあるが、自分の中のHipHopの知識は随分前に止まっているから最近の事情など知る由もない。正規、非正規を問わず、本当に沢山のMixCDが並んでいるのだけれども、そこに目が行ったのは収録されている21曲の殆どを知っていたからだ。主に96年前後の曲、それも超クラッシックスでもなければ、レア盤でもないところが自分のレコード棚にそっくりだと思ったのだ。新しい音源ではなく、昔の曲、それも自分の知っている物にしか手が伸びなくなっているのだから、自分にとって所謂HipHopという音楽は過去のものになりつつあるのかもしれない。勿論、最近だってHipHopとされている音源を購入することもあるけれども、それらはHipHopとして購入はいないという気がする。とにかく世の中でHipHopとされるものは自分にとって現在進行形ではないと思い始めてきた。

家に帰って早速CDを聴いてみる。とても良いCD。レーベルデザインをBBEの一連のレコードに模していることから予想できるような感じと言ってもわかりにくいかもしれないが、元ネタと巧くエディットしながらディレイをくどくない程度に使うところなどは本当にニヤリとさせられる。機材を多用せずにミックステープを作っていた当時とは違う、さすがに進化しているようだ。案外、自分がHipHopと思い込んでいるものは、自分が思っている方向へ現在進行しているかもしれない。過去のものと勝手に決めつけようとしている自分が一番過去にいるのではないのか、という気になってきた。

うさぎやのどら焼き

2007-02-23 00:13:11 | 食べもの。
今日はどうもありがとう。


以前、日本橋を車で移動している時にビルの1階に小さな間口の和菓子屋が目に入った。「うさぎや」とあるが、永代通りから一本入った裏通りの古いビルの1階にあるというだけで何だか良い感じがする。車の中から目をやるが、一間くらいの入り口の中に並んでいる商品までは見えない。しかし、その佇まいを見れば「きっと良い」と思わせる何かがありそうだ。なにしろ「うさぎや」だ、『鬼平犯科帳』に出てくる木村忠吾の好物が「うさぎ饅頭」だったことをふと思い出す。しかし、仕事先に向かう車中、加えて同行者がいたので「うさぎや」のことを話題にするのも憚れた。じっくりとその店を眺めながらしっかりと頭に入れて前を通り過ぎた。

後日、徒歩で大手町から日本橋まで向かう途中にふと「うさぎや」のことを思い出した。どら焼きが有名らしい、というのはネットで調べていたからだ。上野の「うさぎや」はどら焼きの元祖で、日本橋は上野から分かれた店のようだ。先日買った本(「おもたせ暦」)にも阿佐ヶ谷のうさぎやの話が出ていたから、ずいぶんと有名な店なのだろう。少し早く着いてしまいそうなので寄り道をしてみようと角を曲がった。中央通りに面した店もあることも知ったのだが、やはり自分にとってこの間見た裏通りの「本店」こそ「うさぎや」だ。

静かな店だ。どら焼きだけの店だと思っていたら、いろいろと置いてある。最中とどら焼きの入った詰め合わせも気になる。いろいろと眺めていると次に入ってきた女性が「どらやき一つ、170円で払います」と手馴れた感じで注文した。「お次のお客様は」と言われるが、まだ悩んだままだったので「ちょっと拝見してます」と答えたが、何とも不恰好だ。結局、三個入りの箱とすぐに食べるように一つを別に包んでもらう。「箱は進物用ですか」と訊ねられたので、簡単でよいと答えたが、桃色の紙箱を見てしまうとそちらにすれば良かったと少し悔やむ。いつもそうやって優柔不断だ。

店を出て、包みの消費期限を見ると翌日の日付だ。早速一つつまんでみるとふんわりした外の皮と重くないけれどしっかりとした粒餡が本当で美味しい。消費期限を見たとき「一つで良かったのではなかったのか」と思ったが、すぐに思い直した。今度は三つでよかったのだろうかと思い始めると、桃色の紙箱のことも思い出してきた。どら焼きひとつスマートに買えないのはいかがなものかと思いながら、包み紙はまだ解いていない。

新富町の割烹。

2007-02-18 22:41:42 | 出来事。
手拭も頂いた。


金曜日の夜、取引先から接待に招かれた。場所は新富町の割烹料理屋だという。タクシーに乗って、行き先を告げると「久しぶりに行くなあ」と言う。昭和通りと新大橋通りの間の路地を一方通行に沿って進むとじきに車を止めた。指を指して「あそこですね」と運転手が言う。

四人には大きすぎるくらいの広間に案内される。料理も酒もそこそこに進んでしまったところに歳を召された大女将が現れた。豊国の錦絵と大きなカラーコピーを持って店の説明を始めるが、話は店だけに止まらない、開国直後の明石町居留地と今は上野に移ってしまった精養軒をはじめとした明治初期の割烹料理店の話、そこには吉原の八百膳や神田のいせ源といった名前も出てくる。そうした名前を聞いていたら子母澤寛の『味覚極楽』を思い出した。木挽町は東銀座という町名に変更になってしまったけれども、新富町も南銀座というように変更されるところを住民の反対によって中止になったこと、その新富町という名前の由来についても随分と丁寧に説明してくれた。〆の蕎麦をつまんでいる箸の動きが止まると「のびるから聞きながら食べなさい」と言われるが、きちんと聞いておきたい話ばかりだ。

この辺りは自宅から銀座へ自転車で抜けるときにいつも通っていると言うと「じゃあ、今度是非寄ってください。うちにはスタンドもありますから」と名刺を頂いた。きっとカウンターなのだろうと思いながらもスタンド、と言ってしまう感覚が素敵だ。繰り返し「スタンドもあるから是非」と言われる。私などは広間を使うにはまだまだ器が小さく映ったようだ。

空色のクッキー缶。

2007-02-15 23:16:18 | 食べもの。
水曜日に有休。


平日に休みを取るたびに半蔵門へ行く。出口を出て目の前にあるローザー洋菓子店にクッキーを買いに行くのだけれど、買えたためしがない。ある時は閉店間近に行ったためにショウケースは空っぽだったし、ある時はお遣物のシーズンで店頭に並べるものがないという理由でやはり手ぶらで店をあとにした。クッキーを買いに来る以外の目的で半蔵門という場所に来ることもないので、結局、東條会館の上にあるカフェに寄り道をしたり、皇居をぐるりと歩いて近代美術館のカフェで一服ということになる。そうしてお茶を飲んだり、昼から酒を飲んでいても、何度も写真で見ているあの空色の缶とその中のクッキーの味はどんなものなのだろうかと思い出される。何度足を運んでも手に入らないのだから、さぞかし美味しいに違いないと思うと、また半蔵門へ足を運んでしまうけれども、やはり手に入らない時には手に入らない。

そのローザーの缶入りクッキーをいただいた。早速、家に帰ってからお茶を沸かして丁寧に包装された包みを解くと例の空色のクッキー缶が現れた。やっぱり可愛い。缶の回りにはしっかりとテープで封がしてあり、添えられた注意書きには「なるべく早く召し上がってください」とある。すぐにでも缶を開けて食べてしまいたいという気持ちなのだけれども、開けてから独りで「早く召し上がる」ことができるのだろうかと思う。すぐに食べ終えてしまったら、次に食べられるのはいつになるかわからないし、かといって缶を開けなければ、賞味期限が近づいてしまう。悩みながら、結局この間の週末に買ってきたピカソルのチョコバナナクッキーとオーバカナルのラスクが開けたままになっていたことに気付いたのでそっちを先に食べてしまうことにした。とりあえず、今日は空色の缶を確認できたことでよしとしよう。

バレンタインデーの準備。

2007-02-12 23:06:19 | 散歩。
勿論、甘い物も大好きです。


朝、ラジオをつけるとバレンタインデー特番が流れてきた。他人の恋愛話は共感がない限りどうでも良いもののように思う。そんなことをテーマに9時間も番組ができてしまうのもラジオだからからだろうか、とはいえ朝食をとりながら「くだらない」と思いつつもラジオのチューニングを替えずにスイッチも消さないでいたのは、共感していたからだろうか。決してそんな風には思いたくない。

天気が良いので今日も自転車を走らせる。銀座通りを通り抜けて西五番街に向かう。以前紹介されていた昭和天皇も飲んだというほうじ茶を買いに行こうと思ったのだ。洒落た酒屋に入ると目当てのお茶はすぐに見つかったが、店をふらふらしていると試飲を薦められるままに飲む。搾りたての原酒とチョコレートのリキュール、やはりここでもチョコレートだ。隣のピエール・マルコリーニには大行列ができている。もらったチョコレートで値踏みをする男というのはどういうものだろうかとも思うが、これだけ苦労して手に入れた高級チョコレートの味をわかる男もまた少ないだろう。この行列では評判のチョコアイスを食べようと思っても容易に近づけない。

代官山で昼食に付き合う。既に出かける前に軽い昼飯を食べてしまったので、付き合いにビールでも飲もうと思い、つまめるものを探すがメニューにはランチだけしか載っていない。ランチメニューのトッピングに鶏の唐揚げとポテトサラダを見つけ、それを頼んでもらう。まさか相方が一人でそれを食べるとでも思ったのか、箸が一膳だけしか来ない。もう一膳頼むが何だか少々肩身が狭い。しかしビールを飲みながら窮屈そうな高級チョコレートよりも美味しいつまみを分けてもらいながら、ビールを飲む方が幸せに思えてきた。そんなことを思っているうちは決してバレンタインデーの特番に共感を覚えることもないはずだろうが、今もこれから先もそれで良い。