楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

サンパウロの写真集。

2008-11-29 12:30:51 | Weblog
クリスマス商品が揃いました、という留守番電話があったことを思い出して、髪を切りに行くついでに、いつも立ち寄る店に顔を出した。雨が降っているとはいえ、やはり土曜日の午後だからお客さんの対応に忙しそうな様子を見て、来るタイミングを誤ったなと思いながら、ディスプレイされていたロバート・フランクの写真集を手にとってパラパラとやる。意外な商品だと思いながら、挟んである値札を見ると思っていたよりも随分と高い。どうやらクリスマス仕様になっているらしいが「これは高い」という顔で見知った店員を見ると、無言の笑顔が返ってきた。
パリに行った際、驚くほど混雑していたコレットで2冊の写真集を買った。決して珍しいものではないし、安いという訳でもなかったけれど、手にしてすぐに「ここで買わなければ」とサンプルだった最後の1冊を買い求めた。持ち帰ってから飽きずに何度も繰り返し眺めている。恐らく、帰国後に買ってもこれほど見なかっただろうし、恐らく買ってもいないはずだ。
写真集と古着の軍パン、蚤の市で買ったシングル盤が2枚、パリで買ったのはそれだけだ。自分でも想像以上に物欲が起こらないことに驚く。いつまで物欲が大人しくしているのか、クリスマスディスプレイを眺めながら心配と期待が入り混じる。複雑な気分だけれど、決して嫌いな季節ではない。

五島の糸。

2008-11-27 22:27:23 | Weblog
9月に五島列島を訪れた際、地元で染色と織物をされている方の家にお邪魔した。その少し前の雑誌に載っていたのを見たと伝えてから訪れると、綺麗に片付いた客間に案内された。古い箪笥や籠に染められた糸や織られた布が並んでいる。自分を見て「マラソンを走りに来たのか」と訊く。聞けば、翌日に福江島で『夕焼けマラソン』という大きなマラソン大会があるのだという。大会のことは全く知らなかったと答えると、マラソン大会の来歴を教えてくれた。実は大会の命名者が目で説明をする本人なのだという。意外な話の展開に驚きながら、沢山の糸を手にとって悩む。
服だ、器だと、色々なものを買いながら、素材を選ぶとなると案外難しい。完成したらどこに使おうかということは決めているけれど、糸がどう組み合わさると、どんな色の布になるのか想像もつかない。結局、日々の買い物は結局、買い物でしかないことを思い知らされながら、気に入った二色の糸を購入した。
旅行から帰って、実家に糸を預けて布を織ってもらうように頼み、後日出来上がった布を持ち帰り、想像していた場所に掛けてみたけれど何だか落ち着かない。イメージを形にするのは難しいと気付かされながら、思い通りではない旅の思い出というのも案外悪くないと思い直して、改めて旅のことを思い出した。

新聞の切り抜き。

2008-11-25 00:59:59 | Weblog
以前に上野の芸大美術館で開催されていたバウハウス展で1枚だけ購入したクリアファイルには新聞の切り抜きが入っている。同じバウハウス展の告知用のステッカーを貼った小さいクリアファイルは相方が自作した物だ。こちらにも新聞の切抜きが入っている。通勤の途中で読むにはちょうど良いらしい。
2月に10余年勤めた会社を辞めて以前から興味のあった分野の小さな会社に移った。全く知らない場所に向かうには最後のタイミングだと思ったけれど、世の中は思っていた以上に広いことを思い知らされた。来る日も来る日も早朝から新聞を切り抜く作業は全く想像もしていなかったし、その会社の輪郭が歪んでいることに気付くのもそう時間はかからなかった。そんな陰鬱な空気の中で新聞を切りながら気になった記事を切り抜いて持ち帰るようになった。エッセイに料理の献立に訃報、相方が喜ぶだろうと思う記事を見つけては気付かれぬように切り抜いてサッと懐に入れた。モロッコの民族衣装を着たサンローランを追悼記事で見つけた時の嬉しさは今もはっきりと覚えている。
そんな新聞を切る生活に区切りをつけたのは先日のことだ。新しい会社にはメールで各紙の朝刊から業務に関連した目ぼしい記事の見出しが届いている。今は読む新聞も自分が購読する一紙だけになった。けれども気になる記事を切ってはオレンジ色のファイルに挟むのは変わらない。再編集というと聞こえが良いだろうか、切り抜いた記事が読まれることを思うと、相変わらず面白そうな記事を探してしまう。新聞は自分が思っていた以上に世の中は広いということを教えてくれた。今のところメールで届く見出しに悪い報せは見当たらない。

パリのゲンズブール展。

2008-11-24 20:54:42 | Weblog
「初めてのパリはいかがでしたか」と問われても、ケ・ブランリー美術館の民藝展と柚木沙弥郎の型染の展示を目当てにフランス行きを決めたから、ルーヴルにも行っていないと答えると不思議な顔をされてしまうが、自分にとっては案外悪くない。勿論、他にもいくつかの美術館に立ち寄ったけれど、街を歩いていること自体が楽しかったし、そうした「おのぼりさん」体験こそが今回の旅の収穫かもしれない。
パリに着いて、市内の売店のポスターでゲンズブール展を開催していることを知った。ファンと言えるほどではないけれど、何しろパリでゲンズブールだ。90年代に憧れたパリへやってきた自分のようなおのぼりさんに無視できる訳がない。日程をやり繰りして中心部から少しだけ離れた会場まで地下鉄を乗り換えて向かった。
フランス語は全く分からないけれど、凝った展示は見れば見るほど面白い、やはり来て良かったと思いながら、ふと「ゲンズブールって日本でいうと誰だろう」という話になった。いくつかの名前が挙がるけれど、どうもしっくりこない。やはりゲンズブールは唯一無二か、パリに来てそう思える展覧会に出会えたのも意外な収穫。やはりパリはすごい。

夕方のおやつ。

2008-11-16 16:39:21 | Weblog
蒲郡周辺の素敵な店を巡って、あっという間に帰りの時間になってしまった。昼食もろくにとらなったから車中でと食べ物をいくつか買った。眺めるとつまみばかりだと気付く。これも列車旅の醍醐味としよう。夕食