夏に鎌倉へ見に行った岡本さんと岡尾さんによる「ポライバル展」が、代官山で再び開催されるというので見に行くことにした。会期中に開かれるトークショウの整理券を、仕事場が会場に近い相方が仕事の合間にもらってきてくれた。整理番号は1番、なんとも気恥ずかしさを感じてしまうのだけれども、素直に嬉しい。日が暮れる少し前に代官山に向かって、駅から程近い会場になっている古いマンションの一室に入ると意外と人が多い。そうした人たちと並んで対になっている沢山のポラロイドを見ていると、仕事の休憩時間になった相方もやってきた。簡単に岡本さんへ挨拶を済ませ、再び写真を眺めているうちに相方は仕事場に戻り、机が片付けられた会場の床にずらっと座布団が並べられた。窮屈な格好で腰をかけながらトークショウが始まった。司会は写真家のホンマタカシ氏。予想通りのマイペースな展開のトークの最中、ふと岡本さんがホンマさんを見て「何をやっているの」と尋ねた。司会をしているはずのホンマさんは会場の最前列の人の似顔絵を書いているのだという。指を指した先には、私がいた。
トークショウが終わって、サインを求める列の最後尾に並んでみた。「ファンなんです」という感じはどうも照れくさいのだけれども、折角だからと心の中で言い訳をしながらペンを渡した。「相方は帰っちゃったの」と尋ねられたので、仕事である旨を伝えながら、手短に話をした。チェンマイに言ったことを伝えて、今ではバッグ屋になってしまったサウンドアバウトという名のCDショップにも立ち寄ったことも話すと、閃いたように今日のBGMのファイルをCD-Rに焼いて届けてくれるという。恐縮しながらもお願いして私の名刺の裏に相方の名前を書いて渡した。思いがけない申し出に驚き、そして嬉しくなった。そしてホンマさんの描いた似顔絵を「もらったほうがいいよ」と声をかけてくださった。全くありがたい。そうして頂いた似顔絵を手帳にはさんで会場を出た。その後、仕事を終えた相方と食事をとろうと目黒川沿いの「いろは寿司」に入ると、見覚えのある顔が手を上げている。岡本さん夫妻と岡尾さんたちだ。さすがに離れた席に座り、熱燗を頼む。何やら不思議な縁がありそうな気がしてきた。