久しぶりに訪れたイタリア料理店で何を飲もうかと迷っていると新酒を薦められた。カンティーナ・アルデーノ社のテロルデゴ・ノヴェッロの2009年、とこうして書いてはいるけれど、持ち帰った手許のコルク栓を見ながら書いているから特段ワインに詳しいというわけではない。グラスに注がれた赤ワインの香りを確かめながら口に含むと想像していた味とは全く違う、若さというより新鮮といったほうが相応しい味に驚いた。酒というよりも葡萄のジュースのような感覚ですいすいと喉を通り抜けていく。追加した瓶も気付けば空になっていた。知識が必要と思いこんで敬遠していたワインという飲み物に少しだけ興味が湧いた気がしたけれど、同時にそんな思いつきも楽しい時間と酒に流されてしまうのだろうと、中身が減ったグラスを見ながら思った。
次の日、見ようとしていた映画の時間を間違えて時間が中途半端に余ってしまった。遅い昼食を食べようと店を探したけれど、日曜日の外食というのは難しい。知っている店の多くは日祝日は閉まっているし、入ってみようと思わせる店はなかなか見つけらない。その日もなかなか見つからずに同じ場所を何度も行ったり来たりして諦めかけているとイタリア国旗を掲げた小さな店があったから昼はイタリア料理に決めた。目立たない入口も好ましい。テーブルについてから前日の晩にイタリア料理を食べたことを思い出した。気が急いているとろくなことはないと思いながらパスタとデザートのセットを注文する。改めて店内を見回すと、「沢山の働き者がいる小さな店」という自分の理想のタイプの店であることに気付いた。そして想像したとおりやってきた料理も美味しかったから、思わぬ発見にひとり喜ぶ。これなら映画の時間をもう一度間違えても良い。店を出てからも清々しい気分で、映画館へ向かう足取りも軽い。思わぬ美味しい昼食のせいかしらと思い返すと、酒を注文しなかったことに気付いた。酒を頼まないという選択のお陰かと一瞬ひらめきいたが、あの店で飲む酒の味を想像して、次は注文を忘れてはいけないと思い直して映画館に急いだ。
次の日、見ようとしていた映画の時間を間違えて時間が中途半端に余ってしまった。遅い昼食を食べようと店を探したけれど、日曜日の外食というのは難しい。知っている店の多くは日祝日は閉まっているし、入ってみようと思わせる店はなかなか見つけらない。その日もなかなか見つからずに同じ場所を何度も行ったり来たりして諦めかけているとイタリア国旗を掲げた小さな店があったから昼はイタリア料理に決めた。目立たない入口も好ましい。テーブルについてから前日の晩にイタリア料理を食べたことを思い出した。気が急いているとろくなことはないと思いながらパスタとデザートのセットを注文する。改めて店内を見回すと、「沢山の働き者がいる小さな店」という自分の理想のタイプの店であることに気付いた。そして想像したとおりやってきた料理も美味しかったから、思わぬ発見にひとり喜ぶ。これなら映画の時間をもう一度間違えても良い。店を出てからも清々しい気分で、映画館へ向かう足取りも軽い。思わぬ美味しい昼食のせいかしらと思い返すと、酒を注文しなかったことに気付いた。酒を頼まないという選択のお陰かと一瞬ひらめきいたが、あの店で飲む酒の味を想像して、次は注文を忘れてはいけないと思い直して映画館に急いだ。