楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

散髪の前の朝食。

2006-12-24 23:33:15 | 食べもの。
今年のトナカイはダーラへストでした。メリークリスマス。


髪を切ろうと思って予約の電話を入れると毎年この時期になると予約が殺到するのだと言われる。新年を清清しい気持ちで迎えるために髪を切るのか、髪を清清しくすると良い年がくるのかもわからないが、私もそうした一人であるようだ。少々の無理をお願いすると開店を早めてくれるという、ありがたいことだ。当日は無理を言っただけに遅刻するわけには行かない、当日の朝は朝食もとらずに家を出た。

お願いしていた時間には間に合ったのだけれど、店のシャッターは下りたままだ。少し早かったようだ。店主は近くに住んでいるということを以前に聞いていたのでじきに来るだろうと思っていると急に腹が減った。朝食を食べに行っている間に店主が来てしまったら約束の時間にキチンと来ていたことなどわからないだろうし、お願いしたのにもかかわらず遅刻してきたように映ってしまう。しかし、空腹を抱えたままシャッターの前でただ待ちぼうけというのも寂しい。目に入ったコンビニで何か買おうかと思いついたが、その向かいの和菓子屋が開いていることに気付く。その近所にある九十九餅で有名な『志むら』のような上品さはないけれども、街の和菓子店といった雰囲気の店を覗くと蒸しまんじゅうが目に入る。ひと通りショウケースを眺めると太巻きもいなり寿司もある。店に入り、いなり寿司を二つと蒸しまんじゅうを買う。店の扉が水蒸気で曇っているのもなんだか良い感じだ。

再び戻った美容院のシャッターはまだ下りたままだった。キチンと時間通りに来たことが証明できると思いながら、店の前でいなり寿司を立ったまま食べる。外で食べるいなり寿司というのは不思議と美味しく感じる。あっという間に食べ終えてしまい、またぼんやりと立っていると店主がやってきた。遅れたことを詫びているが、そんなことはどうでも良い。風変わりだけれど良い朝食が食べられたことを少し喜びながら、今年最後の散髪をしてもらう。引き続き来る年に向けた準備をしなくては。

喫茶店の看板。

2006-12-17 23:43:11 | 散歩。
週に一度は何とか、という感じで頑張ります。


今では独りで居酒屋で飲むような人間になっているのだけれど、以前は少しの空き時間にどこかの店で時間をやり過ごすというようなことはしていなかった。ファーストフードや喫茶店でしばし時を過ごすくらいならば何もなくてもただふらふらと街を歩き続きけるということをしていた。きっと当時の財布の中身とも関係があったのかもしれないけれど、街中にふらりと立ち寄れる店が増えたのかもしれない。

京橋の裏通りを歩いていると明治製菓の裏手の辺りに目を引く看板を見つけた。「喫茶イコイ」とある。そのサインの文字から想像すると新有楽町ビルにあった「ルナ」のようなモダーンな店が頭の中に浮かんできた。「憩い」でなく「いこい」でもなく「イコイ」なのだ。雑居ビルの地下を降りた入り口扉からはレジのカウンターが見えた。白いカウンターに黒いダイヤル式の電話機、70年代らしい掛け時計とタイムカードレコーダ、確信をもって店に入った。

入る前には見えなかった店内はだいぶ改装されたのだろうか、やけに明るく直線的な内装にカラオケパブで見るようなエンジのモケットの椅子が並ぶ。かろうじて昔の雰囲気を残しているのはカウンターと三人の店員だけのように見える。

誰もいない店で独りコーヒーを飲む。壁にかけられたモノクロ写真は店主が撮ったものだろうか、天井に据え付けられたスポットライトが正確に写真を照らしている。三人の店員の雑談は配達されたばかりの夕刊に載っていたレッドソックスの日本人投手の契約が主題のようだ。少し前にコーヒーを飲んだばかりだったことを思い出しながら、席を立ち会計をした。店の外に出て改めて看板を眺めた。看板はやはり素敵なことに少しも変わりはない。

代官山と民藝。

2006-12-11 23:08:11 | 散歩。
晴れた陽をみたら自転車に乗りたくなった。


日曜日の午後、自転車で代官山まで走った。上り坂が嫌いなのは変わらないのだけれど、久しぶりに冷たい風を切ってペダルを漕ぐのは気持ちよい。昼下がりの西郷山公園はいつも幸せそうだ。空いているベンチに腰掛けて本を開く。足許に土鳩がウロウロしている、日なたをグルグルと廻るが羽根は膨らませなければならないくらい風は寒い。ヒルサイド・パントリーで昼食を食べる。初めてランチセットを食べた。スズキとホタテのクリーム煮、相方はキーマカレーを頼んだのがいつのまにかケイジャンチキンに代わっていた。それはそれで、ということで食べ始める。食後に飲んだコーヒーが飲みやすい味だったのでペーパードリップ用に挽いてもらった。いつ来ても気持ちの良い場所だ。

会話に出てきたcollexの地下にあるspeakforというギャラリーに寄る。Glyph主催のブックギャラリーというか即売会のようだ。70年代の平凡社から出版されたキューバのポスターに関する本に目が行く。冒頭のエッセイはスーザン・ソンタグとさらに興味を誘うがバッグに入らないくらいに大判だったのと「衝動買い」への警戒がアタマの中に鳴り響き、ここは様子を見ることにした。ボーナスが入ったからといって調子に乗ってはいけない。

そして会話に出てきたもう一軒の店、山手通りにある「工芸花森」に立ち寄る。気軽に立ち寄ったつもりだったが「どんなものに興味があるのか?」と問われる。店に置かれている松本民藝家具を買うつもりではなかったので「山手通り沿いに民芸品を置く店があると聞いたので」と答えたが、回答がよくなかったようだ。民藝は思想であって物ではない、十分に分かっているのだけれど口に出してしまったのだからもう遅い。それから1時間余り民藝の話、モノづくりの話、最近の世の中の話と立ち話が続いた。作り手と売り手、そして買い手が良い関係を作ろうとするために「民藝」という考え方を実践しようとしていることに共感を覚える。今日もまた自分の知識を活きたものになっていないことを感じていると、大事なお客さんがやって来たようだ、そろそろお暇するタイミングだろう。「また遊びにいらっしゃい」と言われた。では、また寄らせていただこう。

朝の築地市場。

2006-12-10 22:06:16 | 出来事。
TJCFとその続き。


agehaに到着してから会場に入るまで小一時間が経っていた。既に大入りである。入るやいなや相方は知り合いと遭遇したようだ。どこにいっても誰かに会うので一体どれだけの知り合いがいるのかと驚いてしまう。メインのアリーナに行くと沖野さんのDJで大いに盛り上がっている、全開の照明に照らされたアリーナで皆が両手を上げている、本当に幸せが満ちている。夜遊びだってこんなに幸せがあるのなら決して悪いことではない。

続くSleepWalkerのライヴで初めて観ることができたユキミ・ナガノのステージはそのイントロが聞こえた時にゾクっとしたし、やはりベンベ・セグウェはピッタリと息が合っている。隣で初めて観た相方が言う「堂々としているねえ」、まさにその通りだ。ピタリというならば、KoopでのユキミのステージはSleepWalkerの時よりものびのびとピタリと合っている。Koopの二人組はキャミソール姿だ、6人編成のバンドはミュージカルを見ているかのように音楽を奏でる。真夜中のワルツで三千人が踊る、本当に不思議な夜。

朝も近づいてきた4時過ぎに会場を出た。タクシーで築地に向かう、朝の築地などこんなときでなければそう行くこともない。タクシーの運転手がやたらと話しかける「今日は何のイベント?」「jazzは遅くまでやるんだよね、7時とかさあ」「オレもたまに行くんだよ、セキュリティと知り合いでね」そういう運転手は既に50歳を過ぎているように見える。「築地でうまいもの食べてきてよ」本当によく喋る。車を降りると既に市場は動き始めている。鮨屋には行列が。混みあっている店を避けて中栄でカレーを食べてから愛養でコーヒーを飲む。まだ外は暗い。帰ったらゆっくりと眠ろう。

TJCF2006。

2006-12-10 00:00:42 | 出来事。
長いのでいくつかに区切って。


今年もTokyoJazzCrossoverFestibal(TJCF)が開催されるという。昨年、豊洲で酔っ払ってから一人で新木場のagehaに行ってから1年が経っているのだから時が経つのは本当に早い。昨日の昼飯のメニューを思い出せないこともあるというのに、SleepWalkerのライブに感動したり、PatrickForgeやJazzanovaのAlexのプレイに大喜びしていたことはしっかりと覚えている。今年も軽く一杯飲みつつ腹ごしらえをして有楽町線の最終電車に乗るために急ぎ足で辰巳駅へ向かう。夜、遊びに外に出るというのは何だか嬉しい。寒さだって心地良い。

電車に飛び乗ると程なく新木場に着くと、乗り換えに急ぐ人たちが大勢走り出す。そして遊びに行く人たちもまた大勢。駅を出て運河を渡ると、さらに大勢の人が並んでいる。ロッカーで並ぶ、両替機のお釣りもなくなる、そして入場で並ぶ。IDカードを忘れるというアクシデントがありつつも無事に入場。夜遊びというのはこうも大変なものか、と思う。しかし決してメジャージャンルではないjazzがこうやって広く認知されているというのは本当に嬉しい。15年以上同じ音楽を聞き続けてきた身としては「何だかおしゃれな音楽」で消費されないことを願いたい、と思っていると後ろから「最近、聴き始めたんですよ、jazztronikとか」と女の子の声が聞こえてくるのに続けて「あ、野崎さん知り合いなんですよー」とその隣の男が話しかけるのが聞こえた。いつでもどこでも同じ光景が今晩も繰り返されていく。今晩のSleepWalkerのライヴが去年と同じはずもないだろうし、初めて観ることができるkoopの音がCDと同じはずはないと思いながら、会場に入った。