今日の出来事

どこへでも風の吹くままに。 http://www.geocities.jp/syanagio/index.html

「図書館戦争」(有川浩) を読んだ

2008-10-29 | 
 「レンアイ」に疎い我が娘が、一度「レンアイ小説」を読んでみようと思い立ってトモダチに訊いたら、この本を薦められたということです。確かに、体育会系のレンアイ音痴同士の、勘違い連続の爆笑初恋物語でした。  怖いのは設定ですね。政治による思想コントロールの不気味さと、自衛隊さながらの訓練を経て配属される図書特殊部隊VS大政翼賛会並のメディア良化委員会の小競り合い・戦闘が、ありそうに思えます。  エピソ . . . 本文を読む

「獣の奏者」を読んだ

2008-09-30 | 
 上橋菜穂子のファンタジー「獣の奏者 闘蛇編・王獣編」(講談社・2006)を読みました。長編の守り人シリーズの後ということで、今回の前後編は短く感じられます。相変わらず、神話時代から物語の舞台となる時代まで、周到・緻密に組み立てられた世界に脱帽です。  主人公である混血の少女エリンの、控え目ながら洞察力のある振る舞いがいいですね。ここでいう「獣」は、戦いの道具である「闘蛇」と、その天敵であり権力の . . . 本文を読む

「となり町戦争」を読んだ

2008-09-25 | 
「となり町戦争」三崎亜記(集英社)   今頃ですが、読みました。2004年発行で、すばる新人賞なんですって。映画にもなったといし、図書館でも予約待ちでした。人気があるんですね。  さて、内容は・・・とにかく主人公の内言が多い。となり町との戦争という公共事業的政策のために、敵地視察を任じられた主人公が、いかに戦争を実感できないかということについて、ひたすら自問自答するのです。非行動的な彼と非常に役人 . . . 本文を読む

「キノの旅ⅩⅠ」を読んだ

2008-09-24 | 
 「キノの旅―the Beautiful World (11) 」(電撃文庫)時雨沢 恵一 (著) です。このシリーズは、まるで水戸黄門のように定番の展開がある『予定調和の世界』ですね。ちょっと物騒ですが。相変わらず性別不明の言動のキノ、ことわざを恐ろしいほどのノリで言い換えるエルメス。お師匠さんも静もちゃんと登場。  今回のキノで面白かったのは、なんといっても「戦う人たちの話」ですね。最後までど . . . 本文を読む

荻原規子・白鳥異伝

2008-08-03 | 
 勾玉3部作の2作目。今回は、出雲と都を軸に、ヤマトタケルをモチーフとした物語です。3人の皇子が登場し、やむを得ず、或いは意に反して、或いは切望して、それぞれがタケルの役割を果たしていきます。国の覇権争いに巻き込まれ、翻弄される主人公は、巫女の血筋の娘・遠子と拾い子の小倶那です。  幼馴染の2人の道は、遠く隔てられてしまいますが、交わした約束をよりどころに、苦難に立ち向かっていくところが強いです。 . . . 本文を読む

荻原規子・空色勾玉

2008-08-01 | 
 傑作の誉れ高い荻原規子の「勾玉シリーズ」。上橋菜穂子の「守り人シリーズ」を優先して、ついつい手を出し損ねていましたが、思い立ってセットで借りて、一気に読んでしまいました。  シリーズ第一作が「空色勾玉」古事記に荘を日本神話に想を得た作品。「輝(かぐ)の神」対「闇(くら)の女神」の構図は、イザナギとイザナミの神話に依ったもの。闇一族の少女・狭也(さや)と輝の皇子・稚羽矢(ちはや)の2人を軸に物語は . . . 本文を読む

「ハリーポッターと死の秘宝」を読んだ。(ネタバレあり)

2008-07-30 | 
 あのシリーズの完結編です。5・6巻辺りが好きではなかったので、恐る恐る読みましたが、今回は、大丈夫でした。確かに様々なことがあるべき所に収まったという感じがします。  今回のハイライトは、ダンブルドアの若き日の姿と、スネイプの真情でしょうか。ハリーの父・ジェームズが、スネイプを苛めていたという過去は、これまでの巻でも触れられていたけれど、ダンブルドアもまた、スネイプの気持ちを「利用」していたとい . . . 本文を読む

『僕の叔父さん網野善彦』を読んだ

2008-04-01 | 
 『僕の叔父さん網野善彦』(中沢新一)は2004発行の集英社の新書です。これはなかなか面白い本でした。  中沢新一の本で最初に手にしたのが、処女作の『チベットのモーツァルト』でした。これが、難しいの。随所で自分の無知を思い知らされます。若々しく流麗な文体から、新しい地平を切り開いた知的な冒険が語られているのは分かるのですが、多めに見積もっても1/3程度しか理解できない。  おそるおそる読み始めたこ . . . 本文を読む

『バカには絶対解けないナゾナゾ』を読んだ

2008-03-30 | 
 書店で平積みになっていた『バカには絶対解けないナゾナゾ』を購入、読み終わりました。でも、自分はバカなのか、賢いのか・・・よく分かりませんでした。一発で解けるのも結構あったし、答えをみても全然分からないのも。解けた:答えをみて分かった:全然知らない=1:4:1くらいでしょうか。(中途半端な数字だなあ。)  同じ著者の『ダジャレ・ヌーヴォー』は、あまりの役に立たなさ具合に呆れてしまいましたが(笑)、 . . . 本文を読む

「月の砂漠をさばさばと」を読んだ

2007-09-04 | 
「月の砂漠をさばさばと」 北村 薫 文, おーなり 由子絵( 1999 新潮社 )  なんとなく読みそびれていた短篇集です。小学校3年生の娘と作家の母、という片親の家庭の日常を描いています。おーなり由子のさらりとした挿絵も控えめで、北村薫らしい「つつましい幸せ」の描写は、とても読みやすいです。  「素直で純真な」さきちゃん、こんな子は今はなかなかいないだろうなあ。子供心を失わず、ある意味子ども . . . 本文を読む