政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

竹中平蔵への反論+かんぽの宿+メルパルク

2009-03-14 18:02:53 | 政治
相手の意見がどうであれ、とにかく自分の意見を主張する。
相手が納得するかどうかは問題ではない。
それを聞いてる人に自分の方が正しいという印象を与えられればそれでいいというのがこの男の基本的な姿勢である。

竹中平蔵元総務相、自民議連で鳩山総務相を批判 (asahi.com 3/13)
小泉改革の司令塔だった竹中平蔵元総務相が13日、自民党本部を訪れ、麻生首相に近い菅義偉選挙対策副委員長らで作る議員連盟「聖域なき構造改革を推進する会」で講演した。「民営化は民間の経営に任せること。枠組みを作るのは政治家の仕事だが、経営判断に立ち入ることは厳に慎まなければならない」と強調し、「かんぽの宿」問題で存在感を高めた鳩山総務相を牽制(けんせい)した。

 自民党で「小泉離れ」が進む中、小泉支持層の離反を防ぐ目的で菅氏らが竹中氏を招いた。郵政民営化については「放っておいたら、国鉄のようになることは間違いなかった」。鳩山氏が東京中央郵便局建て替えに異議を唱えたことについては「これができないと民営化の否定に等しい」と批判し、「民間の経営判断に立ち入らない節度が政治の世界に求められている」と切り捨てた。


何で竹中が菅のところで講演などするのだ?
とおもったらちゃんと答えがあった。
自民党で「小泉離れ」が進む中、小泉支持層の離反を防ぐ目的で菅氏らが竹中氏を招いた。
呼ぶ方も呼ぶ方だが、呼ばれる方も呼ばれる方だ。
毒を以て毒を制す。

民営化は民間の経営に任せること
笑わせちゃいけない。

現社長の西川はお飾りに過ぎまい。
国会に呼び出されて質問されてもろくな答弁も出来ないでいる。
かんぽの宿問題もほとんど実情は分からないでいるのだろう。
ただ小泉・竹中の代理人というところが与えられた役目と思われる。
実権がどこにあるのかは外から見ているだけでは分からないのが世の常である。
ほんとの実権はこいつが握っているのではないのか?
 ↓
副社長高木祥吉
大蔵官僚上がりである。
略歴
昭和46年(1971年)7月 大蔵省入省
平成14年(2002年)7月 金融庁長官(2004年7月 退任)
平成16年(2004年)4月 内閣官房郵政民営化準備室副室長
平成17年(2005年)11月 内閣官房郵政民営化推進室副室長
平成18年(2006年)1月 日本郵政株式会社代表取締役
平成18年(2006年)6月 日本郵政株式会社代表取締役副社長
平成18年(2006年)9月 株式会社ゆうちょ取締役兼代表執行役社長
平成19年(2007年)4月 日本郵政公社副総裁
平成19年(2007年)10月 日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長
株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役社長(COO)(兼任)

(もしかすると実権はもっと下にあるのかも知れない)

政府が社長を選び、官僚を副社長に据える。
社外取締役は政府お気に入りの財界人のオンパレード。
社外取締役:牛尾治朗(ウシオ電機会長)
社外取締役:奥谷禮子(ザ・アール社長、日本アムウェイ諮問委員)
社外取締役:奥田碩(トヨタ自動車取締役相談役)
社外取締役:西岡喬(三菱重工業会長)
社外取締役:丹羽宇一郎(伊藤忠会長)
社外取締役:下河邉和彦(弁護士)


これのどこが”民間の経営”なのか!
さがせば、これ以外にも竹中と通じた財界関係者や役人上がりが日本郵政の内外にウヨウヨしているんだろう。

枠組みを作るのは政治家の仕事だが、経営判断に立ち入ることは厳に慎まなければならない”?

民間経営であればなおさらのことである。
株式会社の最高意志決定機関は株主総会である。
日本郵政は株式会社である。
最高意志決定は株主の義務であり、権利である。
株主は財務大臣唯一人。
しかし財務大臣は形式的な株主である。
実質上の株主は日本国民である。
国民は現経営陣に白紙委任状を渡したわけではない。
小泉郵政選挙は永久白紙委任状ではない。
株式会社である以上、毎年株主総会は行われているはずだ。
毎年株主の承認が必要なのである。
監督者は総務大臣。
国民が経営に口出しするのは当然の権利である。
総務大臣・財務大臣は国民にかわって日本郵政を監督する責任がある。
国有財産が目減りするのを防ぐのは当然の責務である。

財務大臣はいつでも臨時株主総会を招集し、経営者を替える権利も持っている。
実際には何かの法律で簡単にはいかないようになっているのかもしれないが。
民間、民間と大声で言えるような会社にはまだなっていないのだ。

民間の経営判断に立ち入らない節度が政治の世界に求められている”?
日本郵政は株式会社であるが民間会社ではない。
100%国有会社なのである。
まして政府が役員を選んでいて、何が民間会社だ!

竹中は多分、自分の主張が破綻していることは承知しているだろう。
しかし、ここで弱気を見せれば一気につけ込まれる。
むなしい主張を繰り返すだけが生き残りの道と覚悟を決めているのだろう。

いくら竹中が叫んでも日本郵政をめぐる疑惑は後から後から湧いてくる。
”かんぽの宿”でもまたまた新たな疑惑が。

かんぽの宿:運営新会社の副社長、オリックス側が実名記載  (毎日jp 3/13)
かんぽの宿売却問題で、落札したオリックス不動産が、最終提案書に日本郵政の宿泊事業部長を「かんぽの宿」を運営する新会社の副社長に迎える人事案を実名入りで記載していたことが13日、分かった。落札企業は、かんぽの宿事業に携わる従業員を全員引き受けるのが条件だったが、宿泊事業部長は入札審査担当者の一人だった。同日の衆院総務委員会で民主党の原口一博氏が明らかにした。


オリックスの落札価格には副社長一人の引取料が含まれていた(つまりその分が減額されていた)。
もしかするとその他何人分かが含まれていたかも知れない。
考えてみれば日本郵政は宿泊事業部なる部署も不要になるわけだ。
もしかして事業部ごと引き取る約束でもあったか?

日本郵政の西川善文社長は「個人的な考え」と断ったうえで、「具体名を書いて出してくるのは極めて不適切。相手が出してきた場合には訂正しろと言って止めるのが筋だ」との考えを示した。

西川は”具体名を出さなければOK”と考えているようだ。
具体名があろうとなかろうと、契約自体を破棄すべきである。
部下が裏取引をしているのが分かったら、「そんな汚いことはやめろ」というのが社長というものだろう。
「訂正しろといって止めるのが筋だ」?
西川の言い分はまったくの”筋違い”。
この連中の”筋”というのはずいぶん都合のいい”筋である。

日本郵政幹部は「オリックス側から、宿泊事業部門の長を副社長として迎えるという意味で書いたとの説明を受けた。オリックス側は、宿泊事業部長が入札審査担当者だと知らなかった」と説明している。

自分を引き取ってくれる条件つきのオリックス。
宿泊事業部長様がオリックスに肩入れするのも当然であろう。
オリックスはまさか本人の了解を取った上でのことだろう。
本人の了解なしにあるいは相手の会社の了解なしに、他社の人間の人事は動かせまい。
国有財産を身内のあるいは自分のポストを確保したうえで安く売り渡そうとしたのである。
この事業部長の行為は日本郵政に対する背任行為であるし、日本郵政も承知の上のことであろうから、日本郵政の国民に対する背任行為でもある。

どこまで続く疑惑の連鎖。

メルパルク:ゆうちょ財団からワタベに無償譲渡 (毎日jp 3/11)
日本郵政の婚礼・宿泊施設「メルパルク」の運営事業が、日本郵政のファミリー企業「ゆうちょ財団」から総合ブライダル大手「ワタベウェディング」に無償譲渡されていたことが11日分かった。鳩山邦夫総務相は、譲渡の経緯について調査を検討する考えを示した。

 同日の参院予算委員会で、民主党の尾立源幸氏が明かした。尾立氏は、無償譲渡は「約2億6000万円の債務超過を考慮しても安すぎる」と指摘。鳩山総務相は「メルパルクは知名度があり、業績も好調だ。(日本郵政は)あらゆる資料を公表すべきだ」と答えた。

 メルパルクは郵便貯金の宣伝施設として都心部に建設され、現在、東京、大阪や京都など全国11カ所にある。日本郵政は建物を所有し、運営はゆうちょ財団に委託。08年3月期は全施設が黒字で、07年10月からの1年間に財団から約24億円の納付金を得た。

 日本郵政は08年6月、メルパルクを08年10月からワタベに一括賃貸することを決定。初年度の賃料は約30億円で、ゆうちょ財団も08年7月、従業員約1000人を継続雇用する条件で、ワタベへの事業譲渡を決めた。

 日本郵政法は、かんぽの宿とともに12年9月末までにメルパルクを譲渡または廃止することを定めている。日本郵政は「ワタベからの賃料収入を見込める上、所有し続けるので今後、高く売却できる可能性がある。譲渡に問題はない」と説明している。【前川雅俊】

毎日新聞 2009年3月11日


今度の場合は土地建物は売却せずに事業だけを譲渡するということらしい。
かんぽの宿の場合は毎年50億円の赤字がでるということを口実にしていた。
こんどは2億6000万の債務超過?
黒字経営で、去年24億円の納付金を納めていて、なんで債務超過なんだ?
納付金の性質がいまひとつ分からないが、利益からおさめるものなら、繰り越し債務は解消できたはずである。
家賃というならわかるが、それなら納付金という呼び方はおかしかろう。
ましてワタベウェディングからの賃料が30億円。
財団が役人感覚で経営しても24億円も納められたのだ。
民間会社のワタベにしてみれば30億円をひねり出すくらいなんでもなかろう。

分からないのは、かんぽの宿の時は土地・建物ごと売り払おうとしたくせになんで今度は事業譲渡だけなのだ?
土地・建物を所有し続けることによって発生する費用、つまり減価償却費や固定資産税だけでも相当な額になると思われる。

メルパルク一覧
(クリックして豪華な建物群をご覧ください)

更に契約内容次第だが、建物の修繕費や改築費等の負担も発生するかも知れない。
土地・建物を残すことにそれほど利点があるとも思えないのだが。
もしかするとワタベ側に金がなかったのか?
あるいは土地・建物は別に売却する約束でもあるのか?

「譲渡に問題はない」と日本郵政は言うが、
国民の大多数は「問題がある」と思うだろう。





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