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若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 11
日本の味と表現

どうとんぼり神座)
「神座のスープは、『だしを飲むとホ
ッとする』という、日本人の原体験
的な部分に触れるのではないかと思
います。それこそが、広くご評価、
ご愛顧いただいている神髄ではない
かと。だから『日本の味』と表現し
ているのです」と大林氏はいう。
(次回に続く)
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急成長 連載 10
だしの文化が日本人のDNAにある
ところで、神座は自社のラーメンを、
「日本の味」と呼んでいる。白菜の旨
味が染み込んだ、だしのような優しい
スープ。元気で、丁寧で、個別に心を
満たすサービス。そして、明るく清潔
で、入りやすく居心地がいい空間。こ
の「味、おもてなし、空間」すべてが
一つになった体験を「日本の味」と表
現している。なぜ、「日本の味」と呼
ぶようになったのか。それは、神座が
大阪発のチェーンながら、家系ラーメ
ンの文化が強い関東をはじめ、全国の
人に抵抗なく受け入れられたことが発
端だった。「どうして受け入れられる
のか?」と考えたときに、「だしの文
化が日本人のDNAにあるからでは」と
気づいたそうだ。
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 9
麵にもこだわってる
もこだわって、製造工場で1から独
自に作っている。チャーシューも
専用工場で味付け、スライスまで
した上で店舗へ配送する。店舗拡
大に伴って、これらのセントラル
キッチンの機能は拡充していく予
定だという。このような仕組みが
あるからこそ、神座が守る「おい
しく白菜たっぷりのラーメン」を、
どの店でも狂いなく提供できてい
るのだ。
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 8
約25メートル巨大な 白菜マシン
このとき使う白菜は、埼玉県にあ
る専用工場から届く。工場では、
季節、収穫に応じて農家と契約し
て白菜を仕入れ、約25メートルの
巨大な「白菜マシン」にかける。
白菜マシンはAIによるスキャナー
分析により、1つずつ無駄が少な
い形で芯をくり抜き、「一番おい
しく食べられる」サイズにカット
するそうだ。

(写真提供:どうとんぼり神座)
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 7
一杯一杯すべての味見をして調整
では、スープソムリエはどうやって「
おいしいラーメンのスープ」をつくる
のか。まず、「秘密の黄金色のスープ」
が専用工場から各店に届き、そこに醤
油の「かえし」やブレンド脂、調味料
などを足す。これで白菜を茹であげ、
一杯一杯すべての味見をして調整し、
完成に至るのだ。

(写真提供:どうとんぼり神座)
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 6
スープの番人
スープソムリエの資格は7段階に分
かれており、「何人前をどれだけ適
切な時間で作れるか」「豆板醤やに
んにくなど、調味料の量を適切に
調節して味をストライクゾーン内
に収められているか」などを確認
する実技試験、筆記試験がある。
その両方の結果で、ソムリエのラ
ンクが決められるのだ。神座の厨
房にいるスタッフはほぼ全員がソ
ムリエ資格を持っており、平均10
0時間学べば4ランク目までは資格
がとれるそうだ。けれど、7 ラン
ク目の「スープソムリエ管理官」
は難関で、社内でわずか2名しか
いない。彼らは「スープの番人」
と呼ばれ、新人店長の教育や技術
チェック、試験などを行っている。
いわば、技術と味の継承者なのだ
ろう。
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 5
「スープソムリエ」資格制度を用意
詳細を知るのは創業者と社長の2名
のみで、社員は誰も知らない。ただ、
スープを提供できる状態にするため
には、秘伝のベースに白菜を160g加
える必要がある。けれど白菜は夏は
苦みがあり、冬はみずみずしくて甘
い。この味のブレを調整して、スト
ライクゾーンに寄せていく役割を担
う人を育てるために、神座は「スー
プソムリエ」という資格制度を用意。
「おいしいラーメン」の味を守る技
術の体系化に成功している。

入っている(写真提供:どうとんぼり神座)
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 4
スープ製造「門外不出」
神座がFCを排して頑なに守る品質の
コアには、「黄金色のスープ」にある
という。「ラーメン屋である前に、神
座はスープ屋」なのだという。スー
プ屋とは意外な言葉だが、これを証
明するのが神座の看板だ。「SOUP
WITH NOODLES」の文字が入って
いる。つまりは、「麺の前にスープ
ありき」なのだ。黄金色のスープは、
創業者が1年半以上試行錯誤して完
成させたものだ。ベースにはフレン
チの技法が使われているそうだが、
製法については約40年にわたり「
門外不出」が貫かれている。
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 3
営業利益15%と高めを維持
ープ連結売上高は128億円と順調だ。
客単価は1000円程度で推移しており、
「営業利益率」は15%とかなり高い。
そして大林氏は、「営業利益率15%は、
今も昔も未来も変わりません。15%
をキープしたまま出店を加速させて
いきたい」と断言する。外食チェー
ン業界では10%以上の利益率の確保
が難しいとされる中、15%という高
水準の営業利益率を維持しながらの
拡大は異例といえる。小麦や白菜な
どの原価高騰の中で、ラーメン一杯
750~870円、営業利益15%を維持で
きる仕組みは、企業努力の結晶であ
り健全な経営の証拠といえそうだ。
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 連載 2
全店直営の課題
神座の全店直営方式に関して、運営
会社である株式会社どうとんぼり神
座コーポレートブランディング部課
長の大林大輔氏は、「完璧な味、ク
オリティを守るためには、店や味の
すみずみまで神座のDNAが染み付い
ていなければいけません。だから、
直営で責任を持って運営しなければ
ならない」と強調する。しかしこの
方針は「ブランド価値の統一と品質
管理」という明確なメリットがある
一方で、急成長における資金調達や
人材確保の課題をも生み出している。
フランチャイズのようにロイヤルテ
ィーによって資金を得ることなく、
どのように700店舗への投資資金を
捻出するのか。
(次回に続く)
若い女性客殺到「神座」 new
急成長 新連載 Ⅰ
誰もが知る外食チェーンの動向や新
メニューの裏側を探る連載「外食ビ
ジネスのハテナ特捜最前線」。第9回
の後編は、前編の「ハイブリッド戦
略」に続き、「700店舗」を目指す『
どうとんぼり神座(かむくら)』が、
なぜ常識に逆らい「全店直営」にこ
だわるのか。その経営哲学と「黄金
スープ」を守るシステムに迫ります。
「常識外れ」の全店直営でラーメン
チェーン最大手へ
多くの外食チェーンが「品質保持か
規模拡大か」の二者択一を迫られる
中、「どうとんぼり神座」(以下神座
)は全店直営という「常識外れ」の
選択で、品質を守りながら急拡大を
実現しようとしている。
目指すは10年後、全国700軒。ラー
メンチェーンの最大手だ。2025年は
25店舗の開店を決定しており、来年
以後も年間40店舗、50店舗、数十店
舗、100店舗……と出店数を加速度的
に増やしていく計画だ。

い大阪 住之江店の店内(写真提供:どうとんぼり神座)