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イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 9
医療機関の周辺での立地に照準
駒木伸比古氏の論文「愛知県にお
けるドラッグストアの立地分析
チェーンにおける商圏特性の違い
に注目して」(『経営総合科学』 1
04)によると、愛知県の主要チェ
ーンの店舗は、最低でも80%以上
が医療施設から徒歩圏内(500メ
ートル以内)に立地しているとい
う。これは、各社が高齢化社会に
おける地域医療拠点としての役割
を意識した戦略を取っていること
を示している。その結果、過当競
争が指摘されるなかでも、業界は
成長を続けている。特に調剤部門
では、2015年度の7158億円から2
023年度には1兆4025億円と、約2
倍の成長を実現している。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 8
沿線2Kmに4店目開店
一見、この状況は過当競争を引き
起こしているように見える。例え
ば、中日新聞 2023 年11月20日付
電子版では、人口2万人に満たな
い石川県羽咋(はくい)市の市道
沿線約2キロメートルに4店舗目と
なるドラッグストアの出店が決ま
ったことを報じている。取材を通
じて、新規参入するコスモス薬品
は「商圏人口1万人でも成り立つ」
と判断し、クスリのアオキは「生
鮮食料品と処方せんで差別化でき
る」、ゲンキーも「よい商品を提
供することに変わりない」という
コメントを掲載している。実際、
過当競争に見えても、各社は収益
を見込んでいる。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 7
近接出店戦略
この流れのなかで、各チェーンは「総
合業態」の店舗出店を加速させており、
同一地域内に複数の店舗を集中的に出
店する「近接出店戦略」を採用してい
る。その多くは大型店だ。日本チェー
ンドラッグストア協会の調査によると、
2023年度の全国総店舗数2万3041店舗
のうち、150坪以上300坪未満の大型店
が全体の42.9%を占めている。この結果、
かつての大型イオンに代わり、地方の
風景にはドラッグストアが乱立するよ
うになった。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 6
食品も取り扱う総合業態へ進化
2012年、クスリのアオキが一部店舗
で生鮮食品の販売を開始した後、各
社は青果や精肉、さらには鮮魚まで
取り扱う店舗を展開している。2022
年 3 月時点では、ドラッグストア上
場企業 12 社中9社が生鮮食品を取り
扱っている。
さらに、一部の企業は地域のスーパ
ーマーケットを買収し、食品販売の
ノウハウを取得したり、生鮮食品をフ
ルラインで取り扱う大型店舗を出店し
たりするなど、「医薬品・化粧品の専
門店」から「食品も取り扱う総合業
態」への進化を遂げている。この業態
転換により、特に地方ではドラッグス
トアが日常の買い物の中心的な存在と
なりつつある。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 5
注目は生鮮食品への参入
重冨貴子氏の論文「ドラッグスト
ア業態の動向と商品構成の変化、
および、企業戦略の方向性―ドラ
ッグストア業態の展望と課題―」
(『流通情報』No.556)によると、
2020年の売上構成比では、医薬品
・化粧品関連カテゴリーが市場規
模の約半分(49.0%)を占めてお
り、2012年以降は食品・酒カテゴ
リーの構成比も増加し、2020年に
は約3割(27.8%)に達している。
食品分野への進出は、ドラッグス
トア業態そのものを大きく変えつ
つある。特に注目すべきは、従来
スーパーマーケットの専門分野と
されていた生鮮食品への参入だ。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 4
医薬品・化粧品で収益確保
食品の粗利率は15.1%と、「コン
ビニの半分以下」で、場合によ
っては原価ギリギリや赤字覚悟
で販売することもある。この戦
略は一見非効率的に思えるが、
実際には緻密な計算に基づいて
いる。なぜなら、店舗に引き寄
せた顧客に対して、医薬品や化
粧品などの高利益率商品を提供
することで、全体としての収益
を確保しているからだ。市販薬
の場合、大手チェーンでは販売
価格の60~70%が店舗の取り分
となっている。また、化粧品の
原価率は20%未満であり、非常
に高い利益率を誇る。この収益
構造によって、ドラッグストア
は食品や日用品を安価で提供し
ながらも、全体として高い収益
性を実現している。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 3
「低原価率商品」「高利益率商品」
では、ドラッグストアはどのよう
なビジネスモデルで急成長を遂げ
たのか。一見すると、ドラッグス
トアは薬や化粧品を専門に扱う小
売店のように思える。しかし、そ
れは過去の概念にすぎない。日野
眞克氏の『ドラッグストア拡大史
』(イースト新書 2021年)では、
ドラッグストアの進化について次
のように述べられている。
日本でもっとも遅れて登場し、平
成時代の後期に大成長した「総合
業態」であるその成長を支えるの
は、巧妙な収益構造だ。この構造
は「低原価率商品」「高利益率商
品」――の組み合わせによって成
り立っている。具体的には、日用
品や食品を非常に低い利益率で提
供することで、顧客を店舗に引き
寄せている。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 連載 2
イオンとドラッグ全体売上拮抗
ドラッグストアは、郊外の幹線道
路沿いや住宅街の入り口など、自
動車でのアクセスが容易な場所に
集中して出店する傾向がある。駐
車場の完備率も極めて高い。その
結果、近隣住民だけでなく、車で
数キロ圏内からの来店客も取り込
める。さらに、地方では公共交通
の衰退が進み、高齢者や免許返納
者の移動手段が限られている。こ
うした状況に対応するため、多く
のドラッグストアが調剤薬局を併
設し、地域のヘルスケア拠点とし
ての役割も果たすようになった。
処方薬の受け取りに加え、食品や
日用品の購入がワンストップで可
能となり、「日常の移動距離を最
小限に抑えたい」と考える消費者
にとって、ますます欠かせない存
在となっている。その影響力は、
数字にも表れている。イオンの全
国店舗数が1万7887カ所であるの
に対し、ドラッグストアは381社
2万3041店舗(日本チェーンドラ
ッグストア協会、2023年度調査)
にまで拡大。売上高では、イオン
が9兆5535億円であるのに対し、
ドラッグストア業界全体で9兆20
22億円と、ほぼ肩を並べる規模に
成長している。
(次回に続く)
イオンを凌駕ドラッグ new
ストア郊外覇者に 新連載 Ⅰ
ドラッグストア存在感がある
地方の風景と聞くと、多くの人が
イオンを思い浮かべるだろう。し
かし、実際に地方を巡ると、その
イメージが誤りであることに気付
く。現在、地方で最も存在感を放
っているのは、乱立する「ドラッ
グストア」だ。この変化は、地方
のモビリティ環境の変遷と密接に
関係している。かつて地方の買い
物の中心は、駅前商店街や大型シ
ョッピングモールだった。しかし、
モータリゼーションの進展により、
自家用車での移動が一般化し、広
い駐車場を備えた郊外型店舗が支
持されるようになった。その流れ
のなかで、スーパーマーケットや
ホームセンターと並び、ドラッグ
ストアが新たな商業の主役として
台頭した。
昼間たかし Merkmal
(今回新連載です)
ホテル経営にAIは不可欠 new
最終回 14
まちへの愛着や再訪の循環へ
ただ「泊まる」だけでは終わらな
い。エスコンフィールド HOKKAI
DOホテル 北広島駅前は、DXによ
って業務の最適化を図るだけでな
く、観光・ビジネス・地域住民の
交流が自然に生まれる都市空間と
して、宿泊体験そのものを拡張し
ようとしている。
AIを活用した宿泊需要予測による
レベニュー・マネジメントの高度
化や人員配置の最適化など、ホテ
ル運営の中枢を担うsuitebookは、
単なる効率化ではなく、地域と人
がつながる余白を生み出すための
インフラだ。今回のJR北広島駅前
の再開発の事例は、「まち」と「
ひと」の関係性を深く構築する複
合施設の在り方を提示している。
地域への滞在が人の流れを生み、
まちへの愛着や再訪の循環を生み
出していく。その連鎖が、新たな
まちの価値を創出していくのだ。
(今回最終回です)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 13
地域活性化の可能性に期待
北海道には、野球やサッカー、バス
ケットボール、バレーボール、ゴル
フ、ウインタースポーツなど年間を
通して楽しめるコンテンツがあるこ
とにも触れて杉谷氏は「北広島市を
拠点に、札幌市にも行くことができ
て、新千歳空港からも近い。そうし
た地域の特性を生かしながら、あら
ゆるスポーツとSQUEEZEさんの取り
組みを掛け合わせて、さまざまな可
能性が広がっていくと思います」と、
地域活性化の可能性に期待を寄せて
いる。
(次回最終回です)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 12
人とのつながり”と“未来への挑戦
地域との橋渡し役として、SQUEEZE
の取り組みに加わっているのが、元
北海道日本ハムファイターズの選手
でZENSHIN CONNECT代表の杉谷拳
士氏だ。SQUEEZEのアンバサダーと
して活動する杉谷氏は、自身が率い
るZENSHIN CONNECTとのパートナ
ーシップを通じて、スポーツと宿泊、
そして地域をつなぐ共創の推進力と
なっている。杉谷氏は「地域や北海
道のみなさんと一緒になって、地域
の子どもたちに北海道をより一層好
きになってもえるようなイベントや
トークショーなどを企画できればと
思っています。選手の時に、人との
つながりに支えられてここまで来る
ことができました。その“人とのつな
がり”と“未来への挑戦”をキーワード
に、子どもたちと一緒に未来へつな
げていくことが、僕の使命なのかな
と思っています」と自身の思いを語
る。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 11
複合性が北広島市の魅力に
同施設の2階の「キタヒロ・フードホー
ル横丁」や3階の「テラスアベニュー」
などの共用空間は、地域連携の舞台と
しても活用が期待されている。地域に
根ざし、地域と共につくる商業施設と
ホテル。その複合的な魅力が、北広島
市の新たな顔となりつつある。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 10
お客さまの声をもとに改善を重ねる
「オープニング・セレモニーでは、
地元の中学生や高校生の吹奏楽部に
演奏してもらいました。今後も発表
会やミニコンサートなど、地元の学
生さんたちにどんどん使ってもらい
たいと思っています。ホテルは開業
された時点で完成された施設とは捉
えておらず、お客さまの声をもとに
改善を重ね、満足いただける施設に
成長させていきたいです」(加藤氏)
「地元の行政の方々との連携は非常
に密に取らせていただいています。
また、地元のお店にテナントとして
入っていただいたり、地域の商店の
方とイベントを一緒に企画したりす
るなど、地域住民、行政、事業者の
三者で地域を盛り上げていくことが
重要だと考えています」(加藤氏)
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 9
13階建施設、地域コミュニティ・
町の活性化への貢献目指す
エスコンフィールドHOKKAIDOホテ
北広島駅前は、日本エスコンが手掛
ける複合交流拠点施設の中核を担う
施設として、地域と共に成長してい
くことを目指している。ホテルが入
る13階建ての施設は、4階以上がホ
テル、1~3階には地域密着型ショッ
ピングセンター「tonarie(トナリエ
)北広島」が展開されており、JR北
広島駅と歩行者デッキで直結。道産
の食材を楽しめる飲食店や、北海道
日本ハムファイターズと連動した空
間演出が施されるなど、地域住民か
ら観光客まで幅広い層に親しまれる
施設となっている。 「トナリエ」ブ
ランドは、“まちに寄り添いながら、
まちと発展していく。いつもあなた
の暮らしのとなりへ。”というコンセ
プトのもと、全国で展開されており、
今回が11施設目となる。日本エスコ
ングループがこれまでに培ってきた
商業施設の開発・運営ノウハウを生
かし、地域のコミュニティづくりや、
まちの活性化への貢献を目指してい
る。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 8
この場所で開業する意義
舘林氏は「訪れる人々がボールパークだ
けでなく、まち全体、特に駅前にも足を
運ぶようにすることが大切だと考えてい
ます。ビジネスからファミリーまで幅広
い層が利用できるホテルが駅前にあるこ
とで、滞在時間や日数が延び、道内外の
人々が地域と深く関わる機会が生まれま
す。ゲスト、観光客、地元の方々が飲食
や宿泊を通じて交流する場となることで、
まちに賑わいが生まれ、訪れた人がこの
まちに愛着を持ち、再訪や移住につなが
る。それこそが、この場所で開業する意
義だと考えています」と語る。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 7
特別な滞在体験ができる演出
特別な滞在体験ができる演出として、
同ホテルの11階には、北海道日本ハム
ファイターズの世界観を体感できる「
ファイターズフロア」が設けられてい
る。チームカラーをモチーフにした客
室のほか、サイン入りユニフォームや
球団の歴史を振り返る写真ギャラリー、
限定アートが廊下に展示されており、
野球ファンにとっても特別な時間を過
ごせるようになっている。さらに、ホ
テル内には貸し切りサウナやコワーキ
ングスペース、会議室、エスコンフィ
ールドHOKKAIDOの球場や周囲の山々
を一望できる屋上など宿泊者のニーズ
に応える設備が整えられている。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 6
地域とのつながりを生み出す場
スポーツがまちの魅力を高める中核
となっている北広島市において、交
流と滞在の拠点として新たに誕生し
たのが「エスコンフィールドHOKK
AIDOホテル 北広島駅前」だ。同ホ
テルは、スポーツ観戦や観光はもち
ろん、ビジネスや教育、イベントな
ど多様な目的で訪れる人々に、 “滞
在”を通じて地域とのつながりを生
み出す場づくりに取り組んでいる。
ホテルの運営を手掛けるのは、テク
ノロジーとリアルオペレーションの
両面から観光DXを支援するSQUEEZ
E。同ホテルでは、北海道初となる
交通系ICカードをルームキーとして
利用できる「Suicaスマートロック」
やセルフチェックイン・チェックア
ウトが可能であることに加え、前述
したsuitebookを導入している。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 5
より柔軟で持続可能な経営モデルへ
さらに自社システムが担うAI活用の
意義について「しっかりとしたフォ
ーキャスト(業績目標管理)ができ
れば、適切な人員配置や価格調整が
可能となります。これはまさにレベ
ニュー・マネジメントの領域であり、
suitebookはその中核を担っています。
宿泊予約は24時間動いている一方、
収益や価格調整の担当者は、24時間
は対応できません。人では対応でき
ない時間にもAIが自動調整してくれ
ることで、収益性の向上にもつなが
ります」と話す。ホテル運営におけ
るオペレーションの自動化と最適化
が進むことで、サービス品質の向上
と収益構造の強化が現場で着実に実
現されつつある。SQUEEZEが目指す
DXの姿は、単なる効率化にとどまら
ず、テクノロジーを起点にホテル運
営全体の質を高め、より柔軟で持続
可能な経営モデルへと発展している。
(次回に続く)
ホテル経営にAIは不可欠 new
連載 4
ホテル業界AIの伸びしろある
suitebookは、従来型のシステムの枠
を超え、宿泊者の利用状況から運営
コストを計算しながら、価格設定や
業務運営を変動させ、収益を最大化
させるレベニュー・マネジメントか
らフロント業務、人員配置まで、AI
を活用して一元的に運用できるシス
テムだ。舘林CEOは「ホテル運営は、
基本的に需要予報から始まります。
滞在人数や日数によって運営体制も
変わってくるからです。飲食業や小
売業では、例えば、雨の日には客足
が減るといった需要予測が、AIによ
ってかなりの精度で活用されていま
す。ただホテル業界には、まだその
領域に伸びしろがあると思っていま
す」と語る。
(次回に続く)
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