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いきなりステーキ キッズメ new
ニュー580円の感想 連載 5
キッズメニューの中身
さて、肝心のキッズメニューを紹介
したい(キッズメニューの取り扱い
については店舗により異なります。
公式HP等でご確認ください)。
いきなりステーキが提供するキッズ
メニューは、この「おこさまプレー
ト」のみである。ジュースを「カル
ピス」か「オレンジドリンク」の 2
種類から選ぶことができ、好きなお
もちゃをカゴから 1 個選ぶという特
典がついている。
付け合わせ:コーン・にんじん・ブロッコリー
ライス、ゼリー2個
おこさま用ドリンク(カルピスまたはオレンジ)

(次回に続く)
いきなりステーキ キッズメ new
ニュー580円の感想 連載 4
立ち食形式はない
この日は17時ごろと夕食にしては早
い時間帯に来店したせいか、店内に
はまだ1〜2組のグループのみ。静か
な雰囲気の中、早めの夕ご飯をいた
だくことにした。
こちらの店舗では立食形式で食べる
場所はなく、ハイシートタイプの椅
子が並ぶテーブル席か、もしくはソ
ファ席というレイアウトになってい
た。ただ、テーブルは真ん中に仕切
りのある独特の形をしている。これ
はかつて、客同士のプライベート感
を保つために設置された、立ち食い
時代の名残なのではないだろうか。
我が家はソファ席の方に案内された
が、店内には幼児用のハイチェアや、
ソファ席に置いて座面を高くするタ
イプの幼児用チェアが用意されてい
るので、お子さんの月齢・状況に合
わせた利用ができる。
(次回に続く)
いきなりステーキ キッズメ new
ニュー580円の感想 連載 3
サービス内容確認
蒸し暑くなってきた週末、筆者・夫・
6歳我が子の3人で首都圏郊外のとある
店舗へと向かった。
そもそも「立ち食い」の店はファミリ
ーにとって選択肢には挙がらない。で
はなぜ同店を選んだのかというと「お
こさまプレート」があるということを
知ったからだ。いま、あの「いきなり
ステーキ」はどのようにファミリー層
に寄り添ったサービスを提供している
のかを確かめてみたい。

(筆者撮影)
(次回に続く)
いきなりステーキキッズメ new
ニュー580円の感想 連載 2
現在国内175・海外9店舗
2010年代、ステーキ専門店では珍
しい「立ち食い」と「オーダーカ
ット方式(食べたい肉の量をグラ
ム単位で指定し、その場で塊肉か
ら切り分けて提供するシステム)」
を導入し、高品質のステーキを手
頃な値段で食べられる店として一
躍人気を博した。最盛期には国内
で約500店舗近くを展開していたが、
現在では国内に175店舗、海外に9
店舗と大幅に縮小している(2025
年4月末)。筆者もひと昔前に一度
足を運んだことがあるが、今はサ
ービス内容がどのように変化して
いるのか気になっていた。
(次回続く)
いきなりステーキキッズメ new
ニュー580円の感想 新連載 Ⅰ

の実力を調査(写真:筆者撮影)
子どものハートをつかむことは、そ
の親(大人)の財布をもつかむこと
だ。それゆえ”キッズメニュー”を展
開している店は多い。そこで本連載
では、外食チェーン各社のキッズメ
ニューやキッズ向け施策を現地取材
し、最高の「子連れ外食チェーン」
を探していく。第4回は「いきなり
!ステーキ」(以下「いきなりステ
ーキ」)。株式会社ペッパーフードサ
ービスが運営するステーキ専門レス
トランチェーンだ。
宇乃さや香 フリーライター
(今回新連載です)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 最終回 23
師匠を見つけよう
師匠の技術だけでなく人となりを敬
愛し、一緒にいられる時間を心底楽
しみながら、自分らしさなんて消す
ぐらいの姿勢ですべてを吸収しよう
とすること。それが学びを深くして、
迷いにくくし、長期的な意味での成
功へと導いてくれる。フリーランサ
ーや事業家だけの話ではない。むし
ろ、組織で働く会社員こそ人生のロ
ールモデルを見つけるべきだと思う。
直属の上司である必要はなく、取引
先や同業他社、年下の同僚にだって
尊敬すべき人はいるはずだ。職場で
師匠を見つけよう。今からでも決し
て遅くない。
(今回最終回です)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 22
顧客を感動させ続けるのは大変
職場の人間関係が希薄になったと言
われて久しい。「仕事に必要な技術や
知識は、勤務時間内の研修制度で学
ぶか、資格の勉強や社会人大学院な
どで身に付ける」という風潮が強ま
っているように感じる。しかし、す
ぐに役立ちそうなスキルだけを取り
出した学びは浅いもので、顧客を感
動させ続けることはできないのでは
ないか。北尾さんと田内川さんの話
を聞いていると、「本当の仕事とは人
の生き方と考え方そのものの発露」
だと思えてくる。少しでも成長して
良きものを生み出すためには、師匠
という太い指針が必要なのだ。
(次回最終回です)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 21
本店はカフェのような空間
一方で、店のあり方は時代の流れを
汲んで新しくしている。本店である
「お茶の水、大勝軒」は2024年のリ
ニューアルオープン後はゆったりめ
の33席で、一般的なラーメン店の2
倍は席数がある。清掃が行き届いた
カフェのような空間。田内川さんは
いわゆる行列店ではなく、女性一人
でも入りやすい店づくりを心掛けて
いるのだ。味を守るために、赤字で
はなかった関東地方の 3 店舗を閉め
て、本店1店舗に集約。それでも 20
25年は増収増益を見込んでいる。志
賀高原の山ノ内大勝軒のほうはすで
に絶好調で、スキーシーズンになる
と1日に700杯も売れることがあると
いう。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 20
1000円の壁、4年前に突破
山岸さんの味を守るという大方針が
あるので、例えば値付けにも迷いが
ない。山岸さんのレシピは一部公開
されているが、他のラーメン店が真
似をしないのは原材料が高価すぎる
というハードルがある。おのずと売
り値も高くせざるを得ないのだ。
「うちのスタッフは全員が社会保険
に加入しています。給料も上げてい
かなければなりません。マスターの
味とボリュームを変えない代わりに、
価格を上げました。『ラーメン1000
円の壁』と言われますが、うちは4
年ほど前に突破しています」
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 19
自己流で無茶な運転をするのは事故
「車の運転と似ています。教習所で習
った方法を無視して、自己流で無茶
な運転をするのは事故のもとです。
ラーメン屋も自我を出して失敗する
ケースが多い。少なくとも今は、昔
のメニューを復刻するという宿題が
残っているので、新作をやりたいと
は思いません。若い頃は濃厚つけ麺
みたいな新作を提供したことはあり
ましたよ。売れましたけれど、僕自
身が美味しいとは思えなかった。自
分が気にくわないものをお金に変え
たくはないのでメニューから消しま
した」
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 18
味を守り復刻させることに集中
丸一日の肉体労働が終わってから
も自主研修。しかも、「ラーメンの
神様」とのマンツーマン。さぞ緊
張感に満ちた苦しい日々だったと
想像するが、田内川さん本人にぶ
つけたところ、半分は肯定して半
分は否定した。
「長くて5時間睡眠の毎日でしたか
ら、確かに体力的には大変でした。
若いときだからやれたのかもしれ
ません。でも、マスターは誰に対
しても壁を作らず、明るく冗談を
連発する人です。疲れていても前
向きな気持ちにさせてくれます。
そんなマスターに自分が知りたい
ことをじっくり教えてもらえた1
年半は僕の人生で一番貴重な時間
だったんじゃないかな」幸せそう
な表情をする田内川さん。迷った
ときはいつでも心の中の山岸さん
と対話しており、その味を守り復
刻させることに集中している。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 17
師匠の考えを継ぎたい
<マスターの家でワンタンやタンメ
ンの作り方を教えてもらっているう
ちに、自分がなろうとしているラー
メン屋を、ただの金儲けの手段とし
て考えちゃいけないと自然に思える
ようになっていたんですね。(中略)
「おいしいものを腹いっぱい食べさ
せて、お客さんを満足させたい。そ
のために努力を惜しまないんだ」と
いうマスターの一貫した姿勢に感動
したんです。一所懸命に味の話をし
てくれているマスターを見ていて、
その考えを継ぎたいという気持ちが
強く芽生えてきました。>
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 16
古いメニューを自宅で実践
修業を重ねて料理することが面白く
なっていた田内川くんが古いメニュ
ー表を見つけて、山岸さんの自宅を
突然、訪ねたんだ。『マスター、こ
れ、何ですか?』と、あれこれ考え
ずに即行動するところが田内川くん
のいいところだし、最愛の奥さんを
亡くして持病も抱えていた山岸さん
の町中華魂に火がついた瞬間だった
と思う。山っ気も多かった田内川く
んが変われたのは、この行動がすべ
てだったと僕は思うね」当時の田内
川さんは朝から晩まで厨房に立つ修
業の身。にもかかわらず、毎日のよ
うに仕事終わりに山岸さんの家を訪
ね、昔のメニューについて教わった
ことをノートに記録して自宅で実践
をすることを繰り返した。その結果
としての心境の変化について、北尾
さんの新刊から再び引用する。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 15
つけ麺とラーメンが人気の街中華
学生時代は千葉県勝浦市のビーチで
バナナボート屋を「起業」して荒稼
ぎしていた田内川さんは、「マスタ
ー」と呼ばれる山岸さん率いる大勝
軒に修業に入った時点でも「一発当
てて高級外車を乗り回したい」とい
う山っ気が強かった。しかし、弟子
同士が激しく競い合う厨房で鍛えら
れる日々の中で、製麺室の片隅に落
ちていた昔のメニュー表を拾ったこ
とをきっかけに変わっていく。「大勝
軒はつけ麺とラーメンが人気になり
過ぎたので他のメニューが消えてい
った町中華なんだね。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 14
田内川氏子供のころから顧客だった
そう言えば、筆者も東京に住んでい
た頃に北尾さんの事務所を間借りさ
せてもらっていた8年間は楽しかっ
た。「締め切り間際の編集者との攻
防を楽しむ」とか言いながらなかな
か原稿を書こうとしない北尾さんと
の膨大な雑談の中で、ライターとし
てだけでなく人として大事にすべき
ことなどを学ばせてもらった気がす
る。田内川さんと山岸さんもそんな
関係だったのではないか、と北尾さ
んは推測する。1976年生まれの田
内川さんの実家は東京都豊島区の大
塚にある。山岸さんの東池袋大勝軒
までは徒歩10分で行けて、子どもの
頃から常連客だった。子どもがいな
い山岸さんにとっては数ある弟子の
中でもひときわ可愛い存在だったの
だろう。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 13
尊敬できるから
宮澤さんは狩猟キャリア50年の凄腕
なのに全然威張らないし、僕が弾を
外しても『いつか当たるよ。狩猟は
好きにやればいいよ』と笑っている
ような人。とにかく狩猟が好きで、
楽しそう。(店の食材調達を兼ねて
いる宮澤さんと違って)趣味で狩猟
を楽しくやりたいと思っている俺に、
長く続けてほしいと思ってくれてい
て、一緒にいる時間がものすごく楽
しい」一緒にいるとものすごく楽し
い――。師匠の技術や知識だけでは
なく、人との接し方や働き方に至る
までを尊敬できるからだ。傍らにい
ると謙虚な気持ちになって少しずつ
でも成長していける前向きな気分に
なるのだろう。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 12
師匠
人間関係の中でも上下関係は北尾
さんが忌避するところだったはず
だ。山岸さんと田内川さんの師弟
関係を書こうと思ったことには、
2013年に銃猟免許を取得した北尾
さん自身に「人生初の師匠」がで
きたことが影響していると筆者は
思う。その師匠とは上述のラーメ
ン店『八珍』を営む宮澤幸男さん
だ。「ライターは自己流で何とかな
ってきたけれど、狩猟などの技術
系は誰かに基本を習わなくちゃい
けない。少なくとも僕は自己流で
は狩猟に出るのは不可能だった。
でも、宮澤さんを師匠だと尊敬し
ている理由は腕の良さだけではな
いよ。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 11
人間関係こそ資産に感動
この述懐に接してインタビュー中に
黙り込んでしまったという北尾さん。
次のように続けて書く。筆者が同書
で一番好きな箇所なので、少し長め
だが引用する。
<「山ノ内大勝軒」が、志賀高原エ
リアに定着し、通年営業までするよ
うになった要因は味がいいことだけ
が理由ではなく、山岸という守護神
がいるからでもなく、町との良好な
関係が築けたことが大きい。恋愛に
例えるなら、お互い手探りで始まっ
た山ノ内町と真介の関係が、フラン
チャイズ店の失敗や裁判騒動を乗り
越えて、固く結ばれていったような
ものだと思う。このとき私が黙り込
んだのは、「人間関係こそ資産」だ
と言い切る真介に感動したからなの
だ。>
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 10
深い信頼関係が築けた
消耗し切っていた田内川さんを信じ
て支えてくれたのは家族や従業員だ
けでなく、山ノ内町の町民たちだっ
たという。北尾さんの新刊『ラーメ
ンの神様が泣き虫だった僕に教えて
くれたなによりも大切なこと』の中
で田内川さんは次のように振り返る。
<「山ノ内大勝軒」は会社のピンチ
を救ってくれたけど、僕にとってそ
れ以上に大きかったのは、わずかな
期間で多くの方々との深い信頼関係
が築けたことです。ほんとうに信頼
できる人間関係やコミュニティとの
出会いは、お金では絶対に買えない
資産です。>
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 9
パラハラで訴えられる
「それでも全社的な経営状況はかな
りきつかったらしい。田内川くんは
『借金してでもリストラはしない』」
という方針。効率優先の世の中で、人
間関係を重視する昭和っぽいところが
あるんだ」昭和っぽいとは言ってもパ
ワハラやセクハラとは無縁の経営者だ。
自らは修業時代に理不尽なしごきを受
けてきただけに、「自分は絶対にしな
い」と決めて独立したという田内川さ
ん。しかし、2022年の暮れに元従業員
からパワハラなどの被害を受けたと訴
えられてしまう。田内川さんは根拠の
ない訴えとして、示談ではなく裁判で
受けて立った。とはいえ、店へのネガ
ティブな影響は避けられない。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 8
山ノ内大勝軒の繁盛は救世主となる
直営店として山ノ内大勝軒を再オー
プンさせた田内川さん。コロナ禍で
都内の店が営業時間の短縮を余儀な
くされたタイミングでもあり、スキ
ー場にある山ノ内大勝軒の繁盛は救
世主となった。

あるそうです。夏場は麓に場所を移して営業しています
(写真提供:田内川さん)
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 7
山之内大勝軒休業
この長野旅で田内川さんは山岸さんの
出身地である山ノ内町も訪れ、なんと
翌年の暮れに山ノ内町のある志賀高原
のスキー場内にフランチャイズ店を出
した。しかし、経験の浅い人に店を任
せてしまい、半月も経たないうちに休
業に追い込まれる。「田内川くんはし
ばらくふさぎ込んでいたけれど、コロ
ナ禍だった2020年の夏に電話があった。
『トロさん、僕はこのままでは終われ
ないです!』と。山ノ内大勝軒のこと
だとピンと来たね。スキー場として有
名なのに飲食店が少ない志賀高原は儲
かるという経営者としての確信もあっ
たと思うけど、それ以上に『このまま
では山岸さんとその故郷に恥をかかせ
ることになるのでリベンジしたい』と
いう強い気持ちを感じた。いよいよ面
白いヤツだと思ったね。ピンチのとき
にどう動くのかで人柄が見えるから」
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 6
長野県で美味しい味噌ラーメンを
探した
当時の北尾さんは長野県松本市に
住んでいたことが田内川さんとの
縁が深めた。山岸さんの味噌ラー
メンの復刻に取り組んでいた田内
川さんは長野県内で美味しい味噌
ラーメンを探しており、北尾さん
は案内役を買って出たのだ。
「狩猟の師匠が長野市で『八珍』
というラーメン店をやっていて、
味噌ラーメンが3種類もあって旨
い。田内川くんを連れて行きたい
と思った。結局、1日付き合って、
最後は露天風呂に一緒に入った。
裸の付き合いだね。熱いけれどさ
っぱりしている田内川くんはいい
ヤツだな、と思った」
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 5
オリジナルは2つだけ
「田内川くんの大勝軒には餃子やカレー
もあるから町中華だよ、と仲間に言われ
て食べに行ったのが2018年。つけ麺では
なく冷やし中華を食べた記憶がある。美
味しかったから、それからは普通に客と
して通うようになった」

さんの味を忠実に再現しているそうです。鰹だしと甘酸っ
ぱさと辛みを同時に感じるスープは唯一無二。普通盛りで
もこの麵の量でお腹いっぱいになりました(筆者撮影)

「復刻版カツライスカレー」(1400円)。普通のカレー
ライスを注文してしまったところ、厨房のベテランス
タッフが臨機応変にカツを追加で揚げてくれました。

大勝軒」には田内川さんのオリジナルメニューは2つし
かありません。1つは、神田カレーグランプリでマイス
ター賞を受賞した「スパイシードライキーマ」。もう1
つはこの「大勝軒のまかない飯」(500円)。チャーシュ
ーが炒めてあって香ばしく、財布にも優しいのでご飯
党の筆者はリピート必須。追加200円で中盛り、250円
で大盛りにしてもらえます(筆者撮影)
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 4
丸長のれん会
「もともと僕はそれほどラーメン好き
じゃない。だから、ラーメンやつけ
麺への興味が理由ではないよ。田内
川くんとは『丸長のれん会』で会っ
たけれど、店には何年も行かなかっ
た。大勝軒はラーメン屋で町中華で
はない、と思っていたからね」東京
・神保町にある喫茶店で、電子タバ
コを吸いながらいつものようにくだ
けた口調で北尾さんは話し始めた。
丸長のれん会とは、1948年に東京・
荻窪で開業した「丸長」の流れをく
む飲食店のゆるやかなネットワーク。
なお、町中華界の一大勢力だという
丸長の「長」は、創業者の青木勝治
さんが長野県出身であることに由来
する。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 3
一冊の本にしたい
一方の北尾さんは「町中華探検隊」
を2014年に結成し、同志たちと手
分けをして個人経営の大衆中華料
理店を訪問し続けている。大がか
りな遊びとも言えるが、『夕陽に赤
い町中華』(集英社インターナショ
ナル)などを発表しているので書
き手としての仕事にもなっている。
古本や狩猟など、個人的な興味を
執筆テーマへと育てることが北尾
さんのスタイルなので、町中華探
検隊の流れで大勝軒と田内川さん
と出会ったのはわかる。でも、山
岸さんと彼を主人公にして一冊の
本にしたいとまで思ったのはなぜ
だろうか。
(次回に続く)
東池袋「大勝軒の味を守る男」new
の凄さ 連載 2
忠実に再現している唯一の店舗
ラーメンブームを牽引する存在とし
て「ラーメンの神様」と呼ばれた山
岸さんの弟子は数百人もいて、大勝
軒を名乗るラーメン店は全国各地に
ある。しかし、東池袋大勝軒の代名
詞だったつけ麺の「特製もりそば」
や「中華そば」の味を、材料をまっ
たく変えずに忠実に再現しているの
は田内川さんの「お茶の水、大勝軒
」(2006年開業)のみ。餃子やシュ
ウマイ、カレー中華などかつて東池
袋大勝軒で提供していたメニューも
復刻して提供している。さらに、田
内川さんは「いつか故郷の人たちに
も俺のラーメンを食べてもらえたら」
という山岸さんの遺志を継いで、師
匠の故郷である長野県山ノ内町にも
「山ノ内大勝軒」を2019年に開業し
た。ここまでくると師事を通り越し
て信仰とも言える。
(次回に続く)