Music Mania

No Music No Life

ディスカバービートルズ その29

2020年12月29日 | ビートルズ


12月27日放送のディスカバービートルズは、4時間生放送スペシャルだった。
8月にも4時間生放送スペシャルがあったけど、今回も杉真理氏と和田唱氏のダブルDJで、ビートルズのいろいろな投票や噂話の検証など盛り沢山の内容だった。

今回のリスナー投票から

ビートルズのイントロなし曲から、好きな曲ランキング

1位 ひとりぼっちのあいつ
2位 ノー・リプライ
3位 ヘルプ
4位 イット・ウォント・ビー・ロング
5位 オール・マイ・ラビング
6位 ミスター・ムーンライト
7位 ハロー・グッバイ
8位 ヘイ・ジュード
9位 ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
10位 イエロー・サブマリン

ビートルズメンバーの好きな女性パートナー

1位 リンダ・マッカートニー
  (ポールの最初の奥さん)
2位 オノ・ヨーコ
  (ジョンの二人目の奥さん)
3位 パディ・ボイド
  (ジョージの最初の奥さん)
4位 ジェーン・アッシャー
  (ポールの元カノ)
5位 シンシア・レノン
  (ジョンの最初の奥さん)
6位 オリビア・ハリスン
  (ジョージの二人目の奥さん)
7位 モーリン・コックス
  (リンゴの最初の奥さん)
8位 バーバラ・ラック
  (リンゴの二人目の奥さん)
9位 ナンシー・マッカートニー
  (ポールの三人目の奥さん)
10位 ヘザー・ミルズ
  (ポールの二人目の奥さん)

ビートルズの好きなアルバムジャケットランキング
(アメリカ盤のマジカルミステリーツアー、サントラのイエローサブマリン、白紙のようなザ・ビートルズは除く)

1位 アビー・ロード
2位 リボルバー
3位 ウィズ・ザ・ビートルズ
4位 サージェント・ペパー
5位 ラバー・ソウル
6位 フォーセール
7位 ハード・デイズ・ナイト
8位 プリーズ・プリーズ・ミー
9位 レット・イット・ビー
10位 ヘルプ!

好きなビートルズメンバー(2回目)

1位 ジョン・レノン
2位 ポール・マッカートニー
3位 ジョージ・ハリソン
4位 リンゴ・スター

アルバム「ザ・ビートルズ」通称ホワイトアルバム一枚化計画。
生前ジョージ・マーチンは、ホワイトアルバムは2枚組ではなく、曲を絞って1枚LPで出すべきだったと言っている。
それをディスカバービートルズのリスナーみんなで一枚にしてみようという企画だ。
結果はこれ。

・バック・イン・ザ・USSR
・ディア・プルーデンス
・グラス・オニオン
・ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン
・マーサ・マイディア
・ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
・ヤー・ブルース
・マザー・ネイチャーズ・サン
・ブラック・バード
・アイ・ウィル
・セクシー・セディー
・ヘルター・スケルター
・ハニー・パイ
・サボイ・トラッフル
・グッド・ナイト

前に書いたことがあるけど、僕が選ぶ一枚ホワイアルバムは以下のリストで、ディスカバービートルズのリスナー選曲と11曲重なる。

・バック・イン・ザ・USSR
・ディア・プルーデンス
・グラス・オニオン
・オブラディ・オブラダ
・ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
・ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン
・アイム・ソー・タイアード
・ブラック・バード
・ドント・パス・ミー・パイ
・バースデイ
・ヤー・ブルース
・マザー・ネイチャーズ・サン
・エブリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー
・ヘルター・スケルター
・サボイ・トラッフル

こちらはみのミュージックが選ぶ一枚ホワイトアルバムのリスト

・バック・イン・ザ・USSR
・ディア・プルーデンス
・グラスオニオン
・オブラディ・オブラダ
・ワイルド・ハニー・パイ
・ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
・ブラック・バード
・ジュリア
・ヤー・ブルース
・マザー・ネイチャーズ・サン
・セクシー・セディ
・ヘルター・スケルター
・レボリューション1
・サボイ・トラッフル
・グッド・ナイト

なかなか面白い。
3つのリストに共通する曲は以下の9曲。

・バック・イン・ザ・USSR
・ディア・プルーデンス
・グラス・オニオン
・ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
・ブラック・バード
・ヤー・ブルース
・マザー・ネイチャーズ・サン
・ヘルター・スケルター
・サボイ・トラッフル

逆にリクエスト入りしなかったのは以下の6曲。
これらの曲は、捨て曲ではないけど、ちょっと人気ないのかな?という気はする。
でも、こういう曲があることによって、深みが出ているんだと思う。

・ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル
・ピッギーズ
・ロッキー・ラックーン
・ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード
・ロング・ロング・ロング
・レボリューション9

ディスカバービートルズ その28

2020年12月26日 | ビートルズ


12月20日放送のディスカバービートルズは、ビートルズのぶっ飛んだ曲特集だった。
アルバム「リボルバー」の頃からビートルズは実験音楽や新しい試みへのチャレンジなど、当時のファンからすると驚くような曲を入れてくるようになる。
今回はそんな曲ばかりの選曲だった。

まずはリボルバーから「ラブ・ユー・トゥー」。
ジョージ作のインド楽器を大胆に取り入れた曲だ。
曲そのものはワンコードのロック曲だけど、西洋楽器を一切使っていない。
僕がこれを聴いたのは1982年たったけど、その頃であってもインパクトが強すぎる曲だった。

次は同じくリボルバーから「イエローサブマリン」。
なぜこのタイミングで童謡なのか?
イエローサブマリンのアニメが放映されるのはもう少し後になってからで、この時はアルバムの中の一曲である。
和田唱の考察では、現在だと子供向け番組に自分の曲が使われたりするのは、作曲者としては一種のステイタスになるけど、そういうことの走りなのではないかということ。

アルバム「マジカルミステリーツアー」からインスト曲の「フライング」。
ビートルズのインスト曲は珍しい。
コード進行は12小節のブルースそのものなのに、メロディはぜんぜんブルースじゃないところが面白い。

ホワイトアルバムはぶっ飛び曲の宝庫である。
その中から「ワイルドハニーパイ」と「バンガロービル」。
ワイルドハニーパイはおふざけ曲で、好きとか嫌いとかあまり関係ないような感じだ。
で、バンガロービルのイントロのスパニッシュギターみたいなフレーズ。
僕はてっきり、そういうギターを弾くミュージシャンを連れてきてレコーディングしたんだと思ってたけど、あれはメロトロンらしい。
そのほか「ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード」「ヤーブルース」が取り上げられ、さらに「ヘルタースケルター」「レボリューション9」などもぶっ飛び曲だ。
アルバム「アビーロード」から「アイウォントユー」。
ジョンのヘヴィなナンバーで、ビートルズっぽくないし、ジョンのソロにもこういう曲はないけど、70年代を見据えた曲だと思う。
もしビートルズがあと5年くらい続いたとしても、音楽シーンや牽引する力があっただろうと予感させる曲だ。

シングルからは「レットイットビー」のB面「ユーノウマイネーム」だ。
ふざけてるし遊びみたいな曲で、僕は真剣に聴くような曲ではないと思ってた。
それがだ。
ポールがいうには、「ビートルズで一番好きな曲はユーノウマイネーム」なのだという。
これについて考えてみた。
ビートルズの最後のシングルに収められたこの曲は、ポールにとってビートルズの良心みたいなものかもしれない。
作詞作曲はジョンだけど、ボーカルはジョンとポールである。
すごく楽しそうで、ふざけあっていて、二人がいい関係を保ってるようにみえる。
この時期、すでにバンドは崩壊していて解散が秒読みに入ってる状態だけど、最後のシングルはこんなにも楽しそうなのは、ポールにとってのビートルズ感が決定するほどのものかもしれない。
元ビートルズのメンバー中、最もビートルズ愛が感じられるのはポールだけど、そんなポールが一番好きな曲としてあげるのはわかる気がする。

You Know My Name (Look Up The Number)


ベテランさんの新作 その2

2020年12月20日 | 音楽
カイリー・ミノーグ「DISCO」
大ベテランのダンスポップシンガー、カイリー・ミノーグの新作だ。
この人、僕と同世代、というより同じ歳だったと思うけど、聴いた第一印象は「若い!」の一言だ。
曲も若ければ声も若い、とても50代とは思えないポップさである。
今回のアルバムタイトルが示すように、全曲ダンスナンバーで、それも80年代のノスタルジアを感じさせるものだ。
80年代回帰といえば、ディア・ロパの「フューチャー・ノスタルジア」がグラミーで何部門もノミネートされてるけど、こちらはもっと本家というか、一日の長を感じる。
やはり、随所にエレキベースやエレキギターなどアナログ楽器を使ってるのが秘訣ではないだろうか。
カイリークラスになると、一流スタジオミュージシャンを集めることが出来るという強みもあるだろう。
そしてなんといっても曲がいい。
今の若い人にはどう響くかわからないけど、50代には馴染み深い味があるのだ。

Kylie Minogue - Magic (The Late Show with Stephen Colbert)


バート・バカラック「Blue umbrella」
バート・バカラックは、もう大ベテランを通り越してもはや人間国宝みたいな人だ。
なんといっても今年92歳!
現役シンガーとしては世界最高齢の部類に入る人だが、今年ニューアルバムが発表されたのだ。
内容はすごく大人のロックというかポップスというか、本当のAORといえるもの。
そして、言われなければ誰も92歳とは思わないだろう若々しい歌声。
落ち着いていてダンディーである。
この人の歌を聴くと、ポール・マッカートニーでさえ若造に感じてしまう。

Burt Bacharach and Daniel Tashian - "Bells of St. Augustine" (Official Audio)


ルネッサンス「消ゆる風」
今年の作品ではないんだけど、今の最新作。
70年代の英国プログレッシブロック界で、独特の存在感を示したバンドだけど、現在その頃のメンバーで残ってるのはアニー・ハズラム一人である。
それはもうルネッサンスではなく、アニーのソロプロジェクトじゃないのかと、期待しないで聴いたら、予想を大きく裏切られた。
このアルバムは紛れもなくルネッサンスだった。
1曲目からかつての「シェヘラザード」を彷彿させる長い曲で、そのメロディラインやアレンジセンスはまさに全盛期の味わいが蘇っている。
アニーのボーカルは、少し老けた感はあるものの歌唱力の衰えはないし、ベースはまるでジョン・キャンプみたいに動きまくってるし、キーボードはジョン・タウトみたいに美しくテクニカルなプレイだし、ギターはマイケル・ダンフォードみたいに控えめで裏方に徹している。
ゲストの人選もすごい。
いぶし銀のような激シブのフルートを聴かせるのはイアン・アンダーソンだ。
そして枯れたような渋い歌声で参加してるのはジョン・ウェットンである。
あまり知られてないけど、ウェットンはキング・クリムゾン参加の前、一時的にルネッサンスのメンバーたったことがあるのだ。
70年代のルネッサンスが好きだった人には是非聴いてもらいたいアルバムだ。

Renaissance- Symphony Of Light


ブルース・スプリングスティーン『Letter to you」
言わずと知れた大御所、ブルース・スプリングスティーンである。
僕はとくに彼のファンというわけではないけれど、昔はよく聴いた。
とくにアルバム「ボーン・イン・ザ・USA」はとても好きなアルバムだ。
でもこれ以降はほとんど聴いていない。
そして今回の新作だが、僕のよく知ってるブルース・スプリングスティーンそのものだった。
僕が聴いていなかった30数年間どういう感じだったのかよくわからないけど、この新作はあの頃の良さがそのまま残ってるように思える。
哀愁を感じさせるメロディラインや、広い大陸をイメージさせるスケールの大きなアレンジなど、やっぱブルース・スプリングスティーンいいよね、となる。
バックバンドはEストリートバンドだ。
僕はブルース・スプリングスティーンのバックバンドはいつでもEストリートバンドなのかと思ってたけど、案外そうではないらしく、1988年に一度解散してるらしい。
そして今回が久しぶりの再結成なのだという。
そうか、そういうことなのか。
だから、このアルバムはあの頃の良さが発揮されてるのだ。

Bruce Springsteen - Letter To You (Official Video)


ディスカバービートルズ その27

2020年12月19日 | ビートルズ


12月13日放送のディスカバービートルズは、「ザ・ビートルズ」からD面だった。
2枚組アルバムの最後の面は、代表的な名曲はなく、マニア向けな内容になっている。
ここでは「レボリューション」を取り上げてみよう。
1曲目の「レボリューション1」は、レボリューションシリーズではもっとも早くレコーディングされたもので、元のバージョンはかなり長かったらしい。
そのため、前半と後半に分けられて、前半は「レボリューション1」、後半はミュージックコンクレートの素材の一つとして「レボリューション9」となる。
ジョンは「レボリューション1」をシングルとして出したがったが、ポールとジョージに反対され、再度レコーディングし直すことになる。
当初「レボリューション2」とされたこのバージョンは、2が取れて「レボリューション」となり、「ヘイジュード」のB面としてシングル発表されるに至る。
ホワイトアルバムのスーパーデラックス盤には、レボリューションシリーズのいろいろなデモ音源が入っていて、とくに「レボリューション1 テイク18」の後半部分には、「レボリューション9」で聴けるジョンの叫び声なんかが入ってるのを聴くことが出来るのと、この段階ですでにミュージックコンクレート的な音源が挿入されているのがわかって興味深い。
「レボリューション9」はビートルズの作品中最も前衛的で、音楽としてはかなり難解な部類に入る。
革命の様子をいろいろなテープをつなぎ合わせて表現しているのだけど、最初聴いたときはまるでわけがわからなかった。
今でもわけがわからないけど、この放送で久しぶりにきちんと聴いたら、やろうとしていることくらいは分かったと思う。

「ライブ・アット・ザ・ハリウッドボウル」

数年前このアルバムが発売されたとき、買うつもりだったものの、サンプル音源聴いただけで満足してしまい、結局買わなかった。
今はサブスクで聴けるので、じゃあ聴かねばなるまいと、35年ぶりくらいにフルで聴いたのだった。
長らく廃盤だったこのライブアルバムは、昔と同じくあついあつい内容で、とても良かった。
よく元のLP盤は、観客のキャーという悲鳴が大きすぎて音楽として楽しめないと言われてたけど、僕はぜんぜんそんなことはなく、ロックンロール魂に満ちた若きビートルズのライブが聴ける好盤だった。
今回、ものすごいお金と労力と現代の技術の進歩により、LP時代の熱気はそのままに、バンドの歌と演奏がよりクリアになって蘇った。
とくにジョージのギターが生々しくとても存在感が増しているように思う。
この頃のビートルズは、リバプールやハンブルク時代のロックンロールバンドとしての味がまだ残っていて、超満員の大歓声を前にしても乱れることなく、自分たちのノリで演奏をこなしてるのがよくわかる。
まずなんといっても、バンドとして演奏がすごく上手い。
モニターがなく、しかもうるさすぎる大歓声で全く自分たちの音が聴こえないなか、恐るべき演奏力である。
そして歌のうまさ、コーラスのうまさ。
歌唱力というのとはちょっと違う、ライブバンドとしての安定感がすごいのだ。
それにしても、この発狂してるような大歓声はちょっと異様である。
とくに、ジョージやリンゴのボーカル曲になると、おそらく肩身の狭いジョージファンやリンゴファンがここぞとばかりに大声で悲鳴をあげている。
もうほとんど命がけと言っていいくらいの絶叫で、帰り道では喉も体力も気力も尽き果てて抜け殻になったに違いない。
今回のリマスターで少し気になったこと。
「オール・マイ・ラビング」で、ギターソロのあとジョージが主旋律を歌いポールは上でハモるというライブアレンジになる。
元のLP盤だと、ジョージの声よりポールのハモリの方が大きく入っていて、それがいい味を出してたのに、今度のはポールの声が小さくなりジョージ中心になってること。
前の音に慣れてると、ちょっと違和感を感じてしまうが、初めて聴く人なら問題ないだろう。
ビートルズの全盛期を伝える正式なライブ盤はこれだけである。
映像なら他にシェイスタジアム公演や武道館公演があるし、YouTubeには数多くのライブ映像があるから、とくに不満はないけれど、やはりライブアルバムとして、音だけに集中して聴きたいこともあるのだ。
最後に、ボーナストラックとして、旧盤には入ってなかった4曲が追加されている。
元の曲順を尊重して、最後に付け加えたんだろうけど、僕としては実際のライブでの曲順を考慮した配置の方が良かったのにと思う。

伊勢暴動

2020年12月19日 | 日常


12月19日は伊勢暴動が始まった日である。
明治9年、地租改正による重税に耐えかねた農民による暴動で、農民暴動としては最大規模になる。

明治維新によって立ち上がった新政府は、一刻も早く欧米に追いつくことを目標に、強引に改革を進めていく。
そのしわ寄せは庶民から士族まで、つまりほとんどの国民に相当な痛みを伴わせるもので、明治9年頃は各地で乱や暴動か発生していた。
その中で農民の場合、江戸時代まではその年の収穫に応じた米を年貢として納めていればよかったのだが、地租改正により、毎年決まった額のお金を納めなくてはならなくなる。
それが安ければ問題なかったのだが、急速に近代化を目指す政府からするとそんな悠長なことは言ってられない。
無慈悲なまでに重税を負担させ、米が不作であっても豊作のときと同じ金額を納めなければならなくなったのだ。
安定した財源が確保される一方、農民はたちまち困窮する。
政府としては、何も米作に拘らず、商売するなり工場で働くなりして、自由にお金を稼いだらいいんだということなんだけど、先祖代々農業しかしていない人には、いまいちピンとこないのは当たり前である。

12月18日、松阪の農民たちは税を軽減させてほしいとの嘆願書をもって集まり、そのうちどんどん人が集まって1000人を超える。
揉めに揉めて、19日の昼からついに暴動となる。
まずは、市内の三井銀行が襲撃され炎に包まれたあと、役所などが次々に襲われる。
暴動軍の人は膨れ上がり、やがて三重県全土に広がるのだった。
このときの県令は佐賀出身の岩村定高で、政府に軍の派遣を要請する一方、旧士族に応援を求める。
岩村としては士族側が暴動軍に加わると大変なことになるため、というのもあったのだろう。
なんといっても、この2ヶ月前には神風連の乱、秋月の乱、萩の乱が相次いで発生し、鹿児島では西郷隆盛がいつ決起するかわからない状況なのだ。
伊勢暴動が三重の乱に発展する前に、士族を利用したのだ。
士族と市街戦となり、当然のことながら暴動側は敗退する。
それでも規模があまりに大きいため、三重県を通り越して岐阜や愛知まで暴動が広がるのだった。

政府軍が到着し各地で戦闘があったものの、12月24日頃には鎮圧される。
死者35人、逮捕者は5万人を超えたという。
それでも政府側としては農民の要求を飲まざるをえず、税率は3パーセントから2.5パーセントに下げられた。
これをもって、ある意味農民側の勝利ともいえる。

明治9年から10年にかけての日本というのは、今だと世界的なニュースになるような大事件がいくつも発生している。
伊勢暴動もその一つだが、日本のあまりに急速な近代化の陰で、こういうことがあったというのを忘れてはいけない。