Music Mania

No Music No Life

ベテランさんの新作 その2

2020年12月20日 | 音楽
カイリー・ミノーグ「DISCO」
大ベテランのダンスポップシンガー、カイリー・ミノーグの新作だ。
この人、僕と同世代、というより同じ歳だったと思うけど、聴いた第一印象は「若い!」の一言だ。
曲も若ければ声も若い、とても50代とは思えないポップさである。
今回のアルバムタイトルが示すように、全曲ダンスナンバーで、それも80年代のノスタルジアを感じさせるものだ。
80年代回帰といえば、ディア・ロパの「フューチャー・ノスタルジア」がグラミーで何部門もノミネートされてるけど、こちらはもっと本家というか、一日の長を感じる。
やはり、随所にエレキベースやエレキギターなどアナログ楽器を使ってるのが秘訣ではないだろうか。
カイリークラスになると、一流スタジオミュージシャンを集めることが出来るという強みもあるだろう。
そしてなんといっても曲がいい。
今の若い人にはどう響くかわからないけど、50代には馴染み深い味があるのだ。

Kylie Minogue - Magic (The Late Show with Stephen Colbert)


バート・バカラック「Blue umbrella」
バート・バカラックは、もう大ベテランを通り越してもはや人間国宝みたいな人だ。
なんといっても今年92歳!
現役シンガーとしては世界最高齢の部類に入る人だが、今年ニューアルバムが発表されたのだ。
内容はすごく大人のロックというかポップスというか、本当のAORといえるもの。
そして、言われなければ誰も92歳とは思わないだろう若々しい歌声。
落ち着いていてダンディーである。
この人の歌を聴くと、ポール・マッカートニーでさえ若造に感じてしまう。

Burt Bacharach and Daniel Tashian - "Bells of St. Augustine" (Official Audio)


ルネッサンス「消ゆる風」
今年の作品ではないんだけど、今の最新作。
70年代の英国プログレッシブロック界で、独特の存在感を示したバンドだけど、現在その頃のメンバーで残ってるのはアニー・ハズラム一人である。
それはもうルネッサンスではなく、アニーのソロプロジェクトじゃないのかと、期待しないで聴いたら、予想を大きく裏切られた。
このアルバムは紛れもなくルネッサンスだった。
1曲目からかつての「シェヘラザード」を彷彿させる長い曲で、そのメロディラインやアレンジセンスはまさに全盛期の味わいが蘇っている。
アニーのボーカルは、少し老けた感はあるものの歌唱力の衰えはないし、ベースはまるでジョン・キャンプみたいに動きまくってるし、キーボードはジョン・タウトみたいに美しくテクニカルなプレイだし、ギターはマイケル・ダンフォードみたいに控えめで裏方に徹している。
ゲストの人選もすごい。
いぶし銀のような激シブのフルートを聴かせるのはイアン・アンダーソンだ。
そして枯れたような渋い歌声で参加してるのはジョン・ウェットンである。
あまり知られてないけど、ウェットンはキング・クリムゾン参加の前、一時的にルネッサンスのメンバーたったことがあるのだ。
70年代のルネッサンスが好きだった人には是非聴いてもらいたいアルバムだ。

Renaissance- Symphony Of Light


ブルース・スプリングスティーン『Letter to you」
言わずと知れた大御所、ブルース・スプリングスティーンである。
僕はとくに彼のファンというわけではないけれど、昔はよく聴いた。
とくにアルバム「ボーン・イン・ザ・USA」はとても好きなアルバムだ。
でもこれ以降はほとんど聴いていない。
そして今回の新作だが、僕のよく知ってるブルース・スプリングスティーンそのものだった。
僕が聴いていなかった30数年間どういう感じだったのかよくわからないけど、この新作はあの頃の良さがそのまま残ってるように思える。
哀愁を感じさせるメロディラインや、広い大陸をイメージさせるスケールの大きなアレンジなど、やっぱブルース・スプリングスティーンいいよね、となる。
バックバンドはEストリートバンドだ。
僕はブルース・スプリングスティーンのバックバンドはいつでもEストリートバンドなのかと思ってたけど、案外そうではないらしく、1988年に一度解散してるらしい。
そして今回が久しぶりの再結成なのだという。
そうか、そういうことなのか。
だから、このアルバムはあの頃の良さが発揮されてるのだ。

Bruce Springsteen - Letter To You (Official Video)