Music Mania

No Music No Life

最近の邦楽はレベルが高い、のか?

2024年09月07日 | 邦楽
最近、音楽系ユーチューバーやそのコメント欄などで散見されるのが、「最近の邦楽のレベルは高い」という意見だ。
なかには、昭和、平成と比べて令和の音楽は比較にならないほど高くなったという人もいる。

僕はあまり最近の邦楽を聴いてなかったので、それならと代表的なアーティストを1ヶ月以上聴いてみた。
で僕の感想としては、「今も昔と変わらず、邦楽のレベルは高い」である。

何を聴いたかというと、参考にしたのが、「グラミー賞が選ぶ新世代のJポップ10組」というもの。
この選択がJポップに詳しい人いわく、「実に相応しい人たち」とのこと。
だったら、この10組を聴けば今現在の新しいJポップのレベルがわかるはずだ。
その10組とは

Ado
藤井風
King Gnu
米津玄師
YOASOBI
Vaundy
羊文学
MAISONdes
あたらしい学校のリーダーズ
Creepy Nuts

この10組にOfficial髭男dismとMrs. GREEN APPLEを加えれば、現代の邦楽の代表と言っていいだろう。

これら10組➕2組だが、あとから加えたOfficial髭男dismとMrs. GREEN APPLEは典型的なJポップという印象。
いちおうバンド形態ではあるもののバンド感は皆無。
可能な限り音を重ねて分厚くするのはJポップのセオリー通りで、ドラマやアニメとのタイアップもしている。
曲は高度にポップで、多彩なメロディーと複雑な音構成など、聴きどころは多い。

逆にこれぞバンドサウンドだと感じさせるのは羊文学で、少年ナイフ以来の日本のお家芸である女性トリオバンドだ。
今までもチャットモンチーやSHISHAMOなど一定数の支持を得られているが、このバンドもなかなかセンスがよく曲もいい。

ソロアーティストでは藤井風がいい。
とにかく楽曲の質が高く、その優しい歌声はいかにも若者に人気が高そうだ。
もう一人、Vaundyもなかなかよろしい。
昨年京都でVauundyのコピバンを見て気に入ったのだけど、多彩な曲作りはピアノポップからギターロックまで幅広く飽きさせない。
で、この手のアーティストの一押しは米津玄師なのだが、個人的には米津より藤井風やVaundyの方が良かった。

今やトップアーティストといえるのはYOASOBIで、弾けるようなポップサウンドが心地よい。
曲はメロディーが多彩で、一曲の中にこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。
けっこう複雑で、驚くほど楽曲のレベルか高い。
ボーカルはアニメ系?好き嫌いが分かれると思うけど、曲によく合っていると思う。

今回新しい発見だったのがCreepy Nutsで、ラップなんだけどヒップホップ感があまりなく、あくまでもポップスをベースに歌だけラップといった印象だ。
歌詞も面白いし、曲もいい、若者に支持されるのも理解できる。

今回の中で最も攻めてるのが、あたらしい学校のリーダーズで、彼女たちの目線の先には海外がある。
どうしても歌謡曲風のオトナブルーのイメージが強いけど、再生回数の上位に並ぶのはハードなラップ曲だ。
とにかくライブパフォーマンスが素晴らしいので、YouTubeなどで動画を見たほうがいい。

AdoとKing Gnuは言わずもがな知れた日本を代表するアーティストだけど、実のところこういう曲がヒットしてるのは世界の中で日本だけである。
これはスゴイことなのだ。
日本人の感性が優れているといってもいい。
誇らしいことなのである。

若者の洋楽離れ

2024年07月06日 | 邦楽
日本人が洋楽を聴かなくなったと言われて久しい。
近年それが益々歯車をかけて進んでおり、とくに若者は「誰も洋楽を聴いていない」に等しい状況だという。
若者が聴いているのは日本と韓国の音楽で、米英の音楽はごくわずからしい。
これについて、いろいろな音楽ジャーナリストや音楽ファンが原因を探っていて、なるほどと思うものから、そんなはずはないと思うものまで自由な意見が交わされている。

僕がちょっと違うと思うのは、昔は邦楽と洋楽は同じくらい聴いている人がいた、という意見。
僕の知る80年代初頭からでいうと、今よりはるかに洋楽を聴く人は多かったけど、決して邦楽と同じくらいではなかった。
せいぜい全体の20パーセントから30パーセントくらいで、当たり前に邦楽のほうが強かった。
もしかすると70年代だともう少し多かったかも知れないし、ビートルズ旋風巻き起こる60年代だともっともっと多かったのかも知れないけど、それを知ってるような高齢者が意見を書いているようには思えない。
たぶん、その人の周りの人だけ洋楽を聴いてる人が多かったのだろう。

それと多いのが、外国の曲は歌詞がわからないからだ、という意見。
たしかにそうだろう。
世の中、とくに日本人は歌詞を重用する人は多いと言われてる。
ただ、そういうタイプの人は、K-POPも聴かないだろうし、米英の音楽がいかに日本人好み風になったとしても聴くことはない。
つまり最初から邦楽しか聴かないので、洋楽離れとはまた違うと思う。

で、原因として多いのがこの2つの意見。
一つは邦楽のレベルがかつてないほど高くなったこと。
もう一つは、今の洋楽のヒットチャートはヒップホップ中心で日本人に合わないから、というもの。
おそらくこの2つが大きな原因であることは間違いないが、僕としては邦楽のレベルが高くなったのではなく、レベルの高い音楽が注目されるようになったと感じている。
僕はもう15年も前から言ってるが、昔から邦楽のレベルは高い。
それこそ昭和の時代から、同時期の洋楽と比べても決してクオリティが劣っていたわけではないのだ。
ではなぜ、ここ数年で邦楽のレベルが高くなったと感じるのかだが、ジャニーズや秋本系、エグザイル系が衰退して、それまで影に隠れていたまともなアーティストが浮上してきたからである。
そこへ、米英で主流の音楽が日本人の肌に合わないという現象と重なった。
例えば、ちょっと洋楽も聴いてみようかと、普段邦楽しか聴いてない人が、ミセスやヒゲダンやヨアソビみたいな曲を期待してビルボードチャートを聴いたとしても、そんなものアメリカのどこにも存在しない。
そりゃ、誰も洋楽なんて聴きませんわ。

で、どうすれば日本人がもっと洋楽を聴くようになるのか?
僕の答えは、聴かなくていい、である。
J-POPやK-POPが肌にあう、米英の音楽は肌に合わない、だったら無理しなくていい。
どうしても日本人に洋楽を聴かせたいなら、向こうが日本人向けの趣向にならなくてはならない。
もし、この先音楽のトレンドが変わって、日本人にも受け入れやすい音楽が主流になれば、かつてのように2割くらいの人は洋楽を聴くようになるかもしれない。

ロックンロール黄金狂時代

2024年06月29日 | 邦楽
ダイヤモンドユカイと木暮シャケのユニット、Diamond Shakeのセカンドアルバムが出た。
その名も「ロックンロール黄金狂時代」、中身はなんと洋楽ロックンロールのカバーアルバムだ。
彼らが10代初め頃に聴きまくってた名曲が8つ入っている。

01. Jumpinʼ Jack Flash
02. Jet
03. Hot Legs
04. Born To Be Wild
05. Have You Ever Seen The Rain
06. Come Together
07. Mama Kin
08. Sympathy For The Devil

選曲は王道中の王道で、いかにも僕より少し上の世代のロックファンが好きそうな曲が並んでいる。
とくにJet 、Hot Legs、Mama Kin あたりは、いかにも現在還暦すぎくらいのロックファンが選びそうな感じだ。
それらを原曲の良さはそのままに、Diamond Shakeの曲として上手くアレンジされている。

このアルバムを聴いて、久しぶりにロッド・スチュアートのアルバム「明日へのキックオフ」が聴きたくなった。
いいものは古くてもいい。
ロックンロールな旧A面もいいが、バラード中心の旧B面もジワジワくる良さがある。
こういう「普通のロックアルバム」は80年代には少なくなってしまう。
それはそれで、進化とはそういうものなのだが。

コロンブス

2024年06月23日 | 邦楽
Mrs. GREEN APPLEの新曲「コロンブス」のPVが炎上して廃止になったというニュースがあった。
けっこうネットで話題になってたので知ってる人も多いと思う。
僕がこのことを知ったときはすでに動画は削除されてたけど、なんとか探して見てみた。
やっぱり、今の時代これはアカンでしょ、というものだった。

僕が小学生のとき、コロンブスはアメリカ大陸を発見した偉い人という位置付けだった。
まだ地球が丸いということが実証されていない時代、もしかしたら海の果ては大きな滝になって船ごとどこかに落ちてしまうのではないか、という不安と戦いながら勇気をもって航海し、ついに陸地を発見したコロンブス。
その後、大航海時代になりヨーロッパに大きな富をもたらすきっかけとなったコロンブスの大冒険は、まさに英雄的な行為だった。

しかし近年、コロンブスの評価は大きく変わる。
侵略と虐殺、奴隷貿易の人として、世界史の中の大きな負の象徴となったのだ。
またコロンブス隊と原住民との接触により病原菌が広まったという事実もある。
後者については、コロンブスがいなくてもいずれはなんらかの形でヨーロッパ人との接触はあっただろうから、仕方がないともいえるけど。

話はMrs. GREEN APPLEに戻る。
彼らの新曲「コロンブス」は、PVはともかく、歌詞を読むと、とくに問題はないように感じられる。
とはいえ、PVにメンバーも登場して嬉しそうに撮影している時点で、メンバーは悪くないとはいえない。
もちろん悪意はないんだろうけど、無知は悪となるのだ。

コロンブスはコロンブスでも、信念を持って勇気のある行いをした結果、大きな発見があった、ということを強調していれば良かったと思う。

Adoの握手会

2024年06月23日 | 邦楽
絶対顔見せしない歌手のAdoが握手会をしたという。
それも、本人はボックスの中にいてファンはボックスの穴に手を入れると握手出来るという異様なイベントだったらしい。
さらに会話も禁止とのことで、本当に中にいるのがAdoなのかどうかもわからないという。

これって面白いよね。
奇想天外というか、滑稽というか、いかにも日本的だと思う。
Ado本人かどうかの確認は出来ないけど、ファンの方は厳重なセキュリティチェックがあり、厳しく本人かどうか確認されるらしい。
それでも、この奇妙な握手会が奇妙であるがゆえに話題となり、ネットニュースで取り上げられてる時点でAdo側の勝ちである。

で、絶対顔出ししないAdoながら、普通に生きてる現代人である限り、どこかで顔バレするのは当たり前のこと。
案の定、ネットでは素顔が晒されてる。
そもそもAdoのファンって10代とか若者が多いので、ほとんどの人は顔を知ってると思われる。
そうなると、余計にボックス握手会が滑稽なものに見えてくる。

ところで、僕はAdoの曲って「うっせぇわ」と「新時代」しか知らなかったので、この機会にいろいろ聴いてみた。
すると彼女は顔云々ではなく、歌唱力だけで十分戦えるポテンシャルを持ってることがよくわかった。
とくに表現力が頭一つ抜けている。
椎名林檎の影響が感じられるけど、アクの強さと普遍性のバランスがちょうどいい。
当たり障りのないボーカルが多い昨今、この程よいアクの強さは大きなアドバンテージがある。
曲の幅の広さもいい。
新曲の「MIRROR」みたいなジャジイな曲もいい。
椎名林檎好きならきっと気に入ると思う。


【Ado】MIRROR