Music Mania

No Music No Life

色彩をもたない多崎つくると彼の巡礼の年

2016年03月27日 | 読書
久しぶりに村上春樹を読んだ。
僕は決して村上春樹のいい読者ではない。
エッセイは面白いと思うけど、小説は世間が絶賛するほどにはいいと思えない。
それでも周りから「多崎つくるは面白い」といわれたら、なんとなくちょっと読んでみるか、という気になるくらいには関心はある。
それは僕が常に周りに流される性格だからなんだけど。

読み始めてすぐ、主人公の多崎つくるは典型的な村上登場人物であることに気がつく。
友達ゼロで、無類の読書好きで、しょっちゅうミネラルウォーター飲んでて、シャワーを浴びれば念入りに石鹸で身体を洗う。
生粋の名古屋人のくせに、生まれてから一度も味噌煮込みうどんも小倉トーストも味噌カツも食べたことないような生活感(だいたいいつもサラダやチーズ、ピザとか食べてる)。
意味なく身体を鍛え、クラシック音楽を聴き、社会的地位はそれなりに高く、裕福なんだけど、世界一不幸みたいな顔をしている。
そのくせ、ちゃっかり女にはモテてやることはやってるという、村上作品にしか登場しない非現実男だ。

ただし、今回は鏡の中やテレビの中といった異次元空間に迷うこともなく、観覧車からもう一人の自分を見つけることもなく、芸術的な耳の女も、ネコと喋る人も出てこない。
もちろん、カーネルサンダースが極上の女を紹介してくれることもない。
わりとまともな現実社会のなかの話になってるので、読みやすいほうだろう。

この多崎つくるの物語をどう読むか、については数多くの書評があるので割愛させていただくが、僕がここで取り上げるのは「男女の友情」だ。
多崎つくるは高校生のころ、男3人女2人の仲よしグループにいた。
多崎つくるによると、それはもう身体の一部のように仲のよい大親友の集まりで、その5人にしかないケミストリーがあったらしい。
しかし大学へ進学する際、多崎つくるのみ東京へ行き、他の4人は地元の名古屋にとどまった。
しばらくして多崎つくるは4人から絶縁される。
なぜなら、いい若者となった5人がいつまでも子供みたいにお友達ゴッコなんて出来るわけがないからだ。
20歳前後のそれぞれ将来有望な魅力ある男女なら、性を意識せざるをえなくなるのは当然の成り行きである。
そのため、多崎つくるは犠牲になったのだ。
最初はなぜ自分が絶縁されたのか、つくるはわからず、自殺を考えるほど落ち込む。
そして何年経ってもウジウジとそのことが引っかかってる彼に、年上の恋人は「本人に確認にしてスッキリしろ」とカツを入れる。

で、男女の友情なんだけど、この小説ではどう扱われているか、僕なりに解釈してみた。

人生経験の少ない若者の間では、男女の友情はありえない。
必ず性的な問題が起こりうる。
ましてや、男の部屋に泊まりに来た女は、そのまま何事もなく朝を迎えることは困難である。
つくるをめぐる三角関係も存在し、いつまでも友達でいることは、それぞれに苦しみをもたらす。

しかし、年齢を重ね30代後半以上になってくると、あるいは男女の友情は存在するかもしれない。
つくるの年上の恋人には、別に仲良くしている男性がいる。
二股をかけられてると焦っているつくるは、恋人にどっちを選ぶのか選択させるところで物語は終わるんだけど、僕はつくるを選ぶんだと思う。
たぶん、もう一人の男性は親しい友人なんだろうから。

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アクセラ14万キロ

2016年03月26日 | クルマ
先週クルマのCDプレイヤーのトラブルについて書いたばかりなのだが、今乗ってるアクセラもプレイヤーが作動しなくなった。
CDを挿入しても認識しないのだ。
ま、いいんだけどさ。
最近はCDを聴くことはめっきり少なくなり、ほとんど手持ちのアイフォンを繋いで聴いてるから。
どう?僕にしては今風な聴き方でしょ?
聴いてる音楽はぜんぜん今風ではなく、ド古いのばかりだけど。
たまにはテイラー・スイフトくらい聴いたほうがいいのかい?



で、今の車なんだけど、6ヶ月点検を受けてきた。
6年半乗って走行距離は14万キロを超えた。
今のところ、クルマとしての故障は皆無である。
はっきりいってこれはちょっとスゴイことだ。
半年後に車検だけど、15万キロを超えてると思う。

今回、お店の人から買い買えませんかとの打診があった。
今ならいい値段で下取りますとのこと。
お話はありがたいんだけどね、お断りします。
僕はまだまだ乗り続けたいんだ、このクルマ。

僕はあまり新しいクルマに乗りたいとか、もっと高級なのに乗りたいとか、そういう願望が少ない。
気に入ったクルマをいつまでもいつまでも乗り続けたいタイプだと思う。
でも、故障が多かったり、燃費が悪かったり、維持費が高くなるようなら、買い替えるけどね。

もしかすると、ギターもそうなんだろうね。
あれもこれも欲しいとは思わない。
お気に入りをいつまでも使ってたら、気がついたら30年以上の月日が経ち、ヴィンテージ扱いされてたりもする。
クルマだって、故障せず、燃費がよく、安全性に問題がなければ、30年くらい乗ってもいいと思ってる。

そういえば、正月に実家へ行ったとき、僕が幼いころに使ってたパラソル型の洗濯もの干しが今も現役で使われていたのを見た。
50年近く現役で使われてるんだろうけど、こういうのを見るとカエルの子はカエルなんだなと思ってしまうのだった。

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電気製品のトラブル

2016年03月20日 | クルマ
今年1月の後半あたり記録的な大寒波が来たことは記憶に新しいが、それくらいのころから愛用のエフェクター(ギターの音色を変化させる機械)の調子が悪くなった。
しばらく様子を見ていたものの、やはりよろしくないので買った店にもっていって修理を依頼した。
すると、店からメーカーに送ってもらい、わずか3日で帰ってきた。
結局のところ、修理ではなく、新品と交換してくれたのだった。
僕が設定したメモリーのパッチはそのままデータ移行してくれたので、戻ったその日から使うことが出来た。
さすがZOOM、いい仕事してくれてます。

店が近くだったから良かったけど、こういうちょっとしたトラブル時、買った店が遠方だと困ることになる。

以前、クルマのCDプレイヤーをたまたま出先で立ち寄ったホームセンターで買ったとき、とても面倒なことになったのを思い出す。

僕がまだフォルクスワーゲンに乗ってたときだ。
標準のカーオーディオはカセットデッキだったので、CDプレイヤーが欲しいと思ってた。
そんなある日のこと。
旅先の奈良県奈良市で立ち寄ったホームセンターで、格安のクルマ用CDプレイヤーが売ってたのだ。
たしか、相場が4万円くらいの製品が2万円くらいだったと思う。
これは安い、この値段でこれを手に入れるチャンスはもうないかもしれない、ということで衝動買いしたのだった。

家に帰って、自分でインパネを外して配線をして取り付けた。
しかし、音が出ない。
電源は入る、スピーカーにもつながってる、しかしなぜかプレイヤーが動かない。
配線を見直しても間違いはないはずだ。
もしかすると不良品かもしれない、ということで、次の週にまたしても奈良まで出かけた。
そこで店員に見てもらい、新品に換えてもらって、今度は取り付けもそこでお願いした。
今度はきちんと音が鳴るようになって、喜んで帰った。

しかし、、、喜んだのもつかの間、3日くらいしたら再び音が鳴らなくなった。
おいおい、また奈良まで行くのかよ、と思いながら、このままでは困るので、仕方なく次の週も奈良へ行った。
店員は、2回も続けて不良品というのは普通はありえない、とかいいながら、もう一度新品に換えてもらい、取り付けもしてもらった。
いくらなんでもこれで大丈夫だろう。

し・か・し、、、マジか?、、、またしても3日くらいで不調になった。
いい加減ウンザリした。
安売り製品を買ったのが間違いか?
胃が痛くなるようなドンヨリした気分で、またまた奈良へ。
さすがに店員も不機嫌だった。
これは製品が悪いのではなく、クルマが悪いんじゃないのか、外車だし、とかいう。
そんなことあるわけないでしょう、とこっちも引かない。
押し問答の末、ようやく3個目の新品に換えてもらった。

 

3度目の正直という言葉があるが、3個目のCDプレイヤーはやっとこさの良品で、以降10数年問題なく使用することが出来た。
この一件以降、僕は専門店ではないところでの安売り品を買うことはなくなり、また電気製品は極力地元で買うことにしたのだった。

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100年のビューティー

2016年03月19日 | 日常
友人のカインさんはヘアーモデルをやっている。
といっても、プロモデルではなく本業は別にあるんだけど。
いずれにしても、美容院のHPにモデルとして写真が掲載され、お客さんがそれをみて「この髪型にしてください」とか言われたらちょっと楽しいだろうな、と思う。

女性の髪形ということで、面白い動画がある。
「100 Years of Beauty 」というもので、cutというアメリカのメディアが作ったものだ。
ここには一人のモデルが、10年ごとにそのときの流行りの髪形にして、100年間の歴史を見てみようというもの。
世界各国のヘアスタイルの移り変わりが、1分ちょっとでわかるようになっていて、日本版もあった。
では見てみよう、1910年代の流行から。



ちょっと極端な気もする。
この年代で、どうしてこの髪型が選ばれたのかな、と思うのもあるし。
その謎を解く、メイキングビデオがこれ。



「聖子ちゃんカット」ってこんなんだったっけ?
ちょっと違う気もするけど。
また、ガングロとかはアホみたいなので、世界の人々に日本女性の髪形として紹介されるのは、ちょっと抵抗がある。

他の国のもちょっと見てみよう。

アメリカ


ロシア


インド


フィリピン


韓国、北朝鮮(途中から分かれます)


中国


どうですか?
民族色の強いものから、上流階級っぽいのや庶民っぽいのが混ざってるのがアレだけど。
なかなか面白いと思う。

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キース・エマーソン死去

2016年03月13日 | 音楽
またしてもロックレジェンドの訃報である。
今度は英国プログレッシブ・ロックの超大御所、キース・エマーソンだ。

一週間ほど前、ふいにELPが聴きたくなり、なんとなくそのときの気分で、ELパウエルのライブ・アルバムをiTunesに入れた。
やっぱりいいなぁ、と思い久しぶりにELPをもっと聴きたい気分になった。
そんな矢先の訃報だ。
これにはちょっとまいったね。

老衰とか病気なら仕方がない。
しかしエマーソンは自殺だったという。
しかも来月には来日公演を控えており、テレビ出演も予定していたらしい。

僕にとってのキース・エマーソンは、やはりELP(ELパウエル含む)の人だ。
完全に後追いで、僕がロックを聴き始めた頃にはすでにELPは解散しており、カール・パーマーはエイジア、グレッグ・レイクはゲイリー・ムーアとのソロプロジェクトのあとエイジア加入、エマーソンに至っては何をしてるのかわからない状況だった(映画音楽などを手掛けていたらい)。
そんななか、NHK-FM「軽音楽をあなたに」でELP「展覧会の絵」が全曲オンエアされて、エアチェックしたのが出会いだった。

70年代初めころのELP人気はすさまじいものだったらしい。
カリフォルニア・ジャムでは、イーグルス、ブラック・サバス、ディープ・パープルといったそうそうたるバンドを前座に大トリを務め、25万人を導入したといわれる。
日本でも恐ろしいほどの人気バンドで、来日公演では後楽園球場を使い、テレビ中継までされた。
集まった客層はもちろん偏屈なプログレ親父ではなく、少年少女を含む若者なのだ。

当時のテレビ映像(残念ながら画質、音質ともに劣悪)


70年代初頭、ジミヘンやジミー・ペイジらの活躍により、ギタリストがロックの花形と言われてたわけだが、鍵盤奏者だってやるときはやるぜ、とばかりに活躍したのがエマーソンだった。
彼のステージパフォーマンスは凄かった。
オルガンを引きづり、飛び乗り、ひっくり返し、ナイフを突き刺し、ときには火もつける。
壁のようなアナログシンセサイザーを操ったかと思えば、ピアノを弾けば大回転をする。
大回転って横にクルクル回るんじゃないよ、縦に回転するのだよ。
ドを超えたパフォーマンスは、それまで影の存在だったキーボードを完全にメイン楽器として、ギターに対抗できることを証明したのだ。

5分すぎからオルガンパフォーマンスの一部、6分過ぎからピアノパフォーマンスが見られます


エマーソンは90年代の初めころ、手の手術をしている。
残念ながら、それ以降の彼の演奏にはキレがなく、大きく衰えを感じてしまうようになった。
最近ではウツ状態だったともいわれる。
享年71歳、ご冥福をお祈りします。

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