早起き梟のひとりごと

仕事に追われる日々を少しだけ立ち止まって見つめてみると・・・

伝説の男(伝説対決)

2015-07-26 05:25:39 | 伝説の男

赤コーナー、123ポンド、ミスターピエール。大空ジム所属。

青コーナー、112ポンド、ストロングY~。AWジム所属。

 

実況はわたくしS原。解説は大空ジム会長の八木原で放送いたします。

「先ずは会長、ふたりが直接対決に至った経緯をご説明願いませんか」

「先日ですか、ピエールにAW社のY氏から電話が入りまして、たまたま私、それを耳にしたんです。ピエールはAW社のY氏から依頼された夜現の準備をしているところでした。(またまたまた、夜中に缶コーヒー奢ってなんて電話しませんよ!うそうそうっそん、そんなことばかり言ってると天井、踏み抜いちゃいますよ、ホントに。)あ~あ言霊飛ばしちゃたのなと思っていたら、案の定その現場で天井抜いてしまったんです」

「やはりピエール、持ってるものが違いますね」

「問題は、お店側ヘの謝罪は当たり前として、天井の補修をどうするかとなった時、ピエールとしては伝手も無く、ましてや自分で直す時間も技術ありませんから、Y氏に手配をお願いしたんですね。するとY氏から色よい返事が得られず、(丸投げ作戦)にしてやられてるピエールが、もうやってられんわと私に泣くわけですよ。はたから見ればどっちもどっちですから、この際、直接対決で決着をつければと私が提案したんです」

「そうでしたか、そのような経緯があったのですね、これは面白い試合になりそうです」

か~ん第1ラウンド開始の鐘が鳴る。

「両者、中央に歩みよりグラブを合わせます、先ずは互いの手の探り合いといったところでしょうか、会長」

「そうですね、互いに手の内は知り尽くしていますからね」

「実力的には、両者どうなんでしょうか、会長」

「そうですね、事に当たっての軽さ、見通しの甘さ、なんちゃて度、どれも互角といったところでしょうか」

「展開的にはどうなんでしょう、会長」

「そうですね、持ってる技も作戦もY氏が豊富ですから、Y氏が攻め、ピエールが凌ぐ、凌ぐ中から一発逆転狙う、そんな展開になると思います」

か~ん。

「第1ラウンド終了です、会長の採点は10対10のイーブンです」

か~ん

「第2ラウンド始まりました、先ほどから間を詰めようとするとピエールに対して、それを嫌うY氏が左右に足を使って上手くかわしていますね、会長」

「そうですね、ピエールとしては、フトコロに飛び込んでのジャブ、あるいはアッパーが狙いですから、Y氏は、間合いを取ってのストレートで仕留めたいといったところでしょうか」

「お~と、フトコロに飛び込もうとしたピエールの顔面にY氏の左ストレートが炸裂しました、ダメージはどうでしょうか、会長」

「そうですね、ピエールは打たれ強いですから、これぐらいのパンチではへこたれないと思います」

「ジャブを放ちながら距離を縮めるピエール、クリンチでかわすY氏、先ほどから見ていますとクリンチから離れる際、Y氏が盛んにピエールの横腹にパンチを入れていますが、どうなんでしょう会長」

「そうですね、Y氏のクレバーな一面ですね、すぐには効きませんが、何度ももらっているとダメージが蓄積されます、ピエールとしては早めに決着をつけたいところだと思います」

か~ん

「第2ラウンド終了です、会長の採点は10対9でY氏が取りました」

か~ん

「第3ラウンド始まりました、両者、リング中央で睨み合いが続きます、右に周りこんでピエールがジャブを放ちますが届きません、距離を詰めようとするピエールに対して左を伸ばしてしきりにそれを牽制するY氏です、お~とワンツーがピエールの顔面を捉えました、ダウンですダウンしましたピエール。

ワン ツー スリー フォー   

ピエール立ち上がりました、Y氏が襲いかかります、ロープ際に追い詰めて連打を浴びせます、苦しまぎれにアッパーをピエールが何度も打ち挙げています、お~とそのアッパーがY氏の顎を捉えました、ダウンですダウン、今度はY氏がダウンしました、

ワン ツースリーフォー、

左の拳を突き上げくるくると回しながらピエールが飛び跳ねています、まるで勝ったかのようです」

セブン エイト

「立ち上がりました、Y氏がしっかりと拳を構えています、その横でピエールが落胆しています、どうなんでしょう先ほどのピエールの行動は、会長」

「調子に乗ってますね、だいたいピエールが調子ぶっこくとたいがい墓穴を掘りますから見てて下さい」

「さあ、試合再開です、とどめを刺そうとピエールが駆け寄ります、お~とピエールがすべりました、大きく空を描きピエールが後頭部からリングに落ちていきます、ピエール立てません、大丈夫でしょうか会長」

「やはり、墓穴を掘りましたね」

「おや、Y氏の様子がおかしいです、膝から崩れ落ちていきます、ピエールとY氏がリングに横たわりました、前代未聞です、言った、言わない。やった、やらない。対決は引き分けに終わりました。会長最後に一言どうぞ」

「天井は、私が直しにいきます。申し訳ありませんでした」