写真は、「罪の轍」奥田英朗 新潮社 1800円 税別。
昭和38年の吉展ちゃん誘拐事件を骨子として書かれた刑事小説。
横山秀夫には及ばずとも今回はクリーンヒットだと言っておこう。
だいぶ前に書いた「オリンピックの身代金」で下地はあったのだろうが、松本清張を彷彿とさせるその筆使いは見事だ。
こちらは、この本の装丁にもなった。渡部雄吉 「張り込み日記」ナナロク社 2700円 税別。
昭和33年に茨城県で起きた殺人事件の実際の捜査を20日に渡って密着取材した、実録写真集。
刑事の背中。
合同捜査会議。
煙モクモク。
こんなシーンが「罪の轍」にも何度も描かれている。
この作品を超えるのはなかなか大変だけど今後の奥田に期待したい。