一枚の名刺

私は、名刺入れに前職の名刺とお付き合いのあった東京の某設計事務所の
名刺を入れている。

東京の設計事務所は、お仕事を手伝う関係上、その設計事務所の人間として
動けるように私の名前の名刺を作成して頂いていた。

前職の名刺、そして今の名刺に肩書きは無し。
まぁそんなもんに拘らないのでどうでも良いのだが、この設計事務所の
名刺は、肩書きが有った。『かちょおぉぉぉ』

そして今日昼過ぎにこの東京の設計事務所の社長から携帯に電話が
有った。
『おぉぉ元気か？あんなぁ、俺の事務所から今電話があってお前宛に
女性から手紙が来ている。住所も書いて無く名前だけらしい。今、大阪だが、
これから東京に戻るので事務所に着いたら封筒を開けていいか？？』
と聞かれた。

はぁ？？？なんだなんだ？？？ナンで東京の事務所に？？
そして女性とはダレ？？？

私にはナンのことかさっぱり解らない。
開封して下さい。と言い残して電話を切った。

そしたらとなり席の相棒に封筒が来ていた。
相棒はその封筒を事務員から受け取ると怪訝そう。
名前しか書いていないし、見覚えのない名前。
相棒は、ダレだ？ダレだ？と言いながら開封。
そして俺に一言。
『この間、コンサルのおっさんと飲みに行った時のママだよ』

そう、そう言えばこの間コンサルのオヤジと飲みに行った。
このオヤジとは仲が良くよく飲みに行く。
交際費を持たない私たちといつも割り勘で飲んでいる。
そして割り勘の居酒屋後におっさんが行きたい店があるからと
連れって行ってくれたのだ。

そう、そこで俺そう言えばだいぶん酔っていて挨拶に来たママに
『俺は東京の設計事務所で課長だ！今回は大阪の大型物件の打合せ
に来たんだよ』
と嘘こいてこの設計事務所の名刺を出していたのを思い出した。。。

けどその後に本当の名刺を渡しておいたのに。。。
この店のアホママどうも東京に来店礼状を送ったようだ。

あぁぁぁぁ、やっちまった。。。
心拍数が上がり頭の中で言い訳を考える。
しらばっくれるか？？
今も前職の会社はこの設計事務所の社長から仕事をもらっているようだし
コレで何かもめたら嫌だなぁと思った。
それに社長機嫌悪いと目茶怖いし。。。

そしたら晩に電話がかかってきた。
『お前ぇ、女は飲み屋の女じゃねぇか！！どこで俺の所の名刺使ってるんだよぉ！！』
相変わらず声はでかいが機嫌が良さそうだ。
これなら乗り切れそうと瞬時脳みそが判断。

『社長！！すんまへん、社長の所の名刺肩書きが課長で、ついつい店の女の子に
『俺は東京の設計事務所の先生だぁ！！』と自慢したくなりマシてぇ。
あはははぁぁぁ、やっちゃいましたぁぁぁ？？？』
と言い訳をぶっこいた。

俺にもウンがあったのは社長の機嫌が良い事だ。社長は、
『お前ぇ、いい加減にしろよ、どこで俺の事務所の名刺ばらまいてんだよぉ』
と声は明るい。

ここで俺はサイド、
『いやぁ、設計事務所の名刺の方が、女の子に自慢できるモンで！！
だってかっこいいじゃないですか？？』
と言い訳しまくる。
そして最後に、今回の封筒に請求書が入っていなかった事の確認と、
今度そのお店にお連れしますという社交辞令でナンを逃れた。

いやぁ本当に焦りました。
もし社長の機嫌が悪くて前職に迷惑かけたらどうしようかとドキドキモンでした。
けど、社長は機嫌が良く、電話の向こうで手紙の中身を全部読み上げてくれました。

はぁははは。
気を付けよう。
コンサルのオヤジが一人１万円のお店と言っていたので少しは教育
できているかと思いきや。

しかしナンで飲み屋のおばはんは、あんなに手紙ばかり書くのでしょう？？
手紙での集客効果有るんですかねぇ？？

人事異動

今日というのか日付が変わっているので正確には昨日ですが
異動が行われました。

我が部署からも２名の異動。

夕方、席上で打ち合わせしていたら後ろからすすり泣きが。。。
今回異動になる人が号泣しておりました。

熱い男でした。
ライバル会社に対し常に前向きにそして勝つためだけに。
今の部署で丸九年と言っておりました。

感極まるモノがあったのでしょう。
最初はビックリしましたが懸命に一人一人に最後の挨拶をしている
彼を見ていてて、この会社にもこんな男が居るんだと少し感動しました。

私も前職で十数年お世話になりましたが、辞める時に感極まるモノが
有ったのかと言えば？？？
思い出しません。
そう考えると真剣に会社のために仕事をしていなかったのかな？？

いやいや解雇だから怒りの方が大きかったのかも！？