あれはある日曜日のことだった。カミュは私を昼食に家に招いてくれたのであった。彼の母は愛想のよい笑顔で目をきらきらと輝かせながら、私を迎え入れてくれた。彼女は痩せていた。私がスペイン語で話しかけたとき、彼女は呆然としていたが、カミュが口を挟んで言った。
「彼女にはフランス語で話し掛けてくれ。カスティーリャ語よりもカタロニア語に近いバレアレス諸島の言葉を知っているだけだからね。」
そのときだった。彼女は、来てくれてありがとう、息子は本当の友達しか自分に紹介してくれないんですよ、と私に言った。
「いい子なんですよ、お分かりでしょ、とってもいい子なんですよ。」
明らかに彼女は彼をとても愛していたし、尊敬もしていた。
「カミュ 太陽の兄弟」エマニュエル・ロブレス 大久保敏彦・柳沢淑枝 訳 国文社 1999年
富翁