千三句集（１９４）

台所檸檬のまわり華やいで
　富翁

病院疲れ

耳鼻病 白内障は 癒えたのに
前歯もグラグラ めまいがクラクラ

いつの間に 薬ばっかり 飲んでいる
自動的に 体調維持不可

この分じゃ 十年後は どうなるか
病院そばに 引っ越すしかない
安楽

また昭和が遠く

Ｖ９昭和の野球これ尽きる

熊工の投手でプロになったけど
ボール止って打撃の神へ

先輩

つるべ落とし

秋深しものやおもふと暮れなずむ

先輩

千三句集（１９３）

秋の蠅戦い終わり日が暮れて
　富翁

千三句集（１９２）

好き嫌い降ったりやんだり秋の雨
　富翁

岩谷時子さん逝く

忘れない昭和生まれの時子の詩

青春の心に響く歌詞ばかり

先輩

短い秋

秋の雨炬燵の支度うながせり

先輩

千三句集（１９１）

月あかりすすきなでしこおみなえし
　富翁

台風が行ってしまうと

元気ない　家庭菜園　どうしましょ
朝顔も　終わってしまい　つまらない
コスモスか　三色すみれ　始めます
安楽

千三句集（１９０）

目覚めれば自分のいびき秋の暮
　富翁

息子の婚約

初対面ダジャレをかますバカ親父

二十五歳初々しさのフィアンセに
ほっとしている自分に気づく

先輩

千三句集（１８９）

秋の海寄せては返す波ばかり
　富翁

千三句集（１８８）

一日を尊いと思う暮の秋
　富翁

千三句集（１８７）

おのおのがねぐらに戻る冬仕度
　富翁