発音は、外国語学習における最も難しい問題のひとつであり、また、われわれの学習の正しさを計る物差しでもあります。無論語彙や文法を知らなくては、大した会話ができるはずもありませんが、外国語でコミュニケーケートする時、相手が、われわれの外国語の知識を判断する最初の基準は、まず第一に発音なのです。われわれの能力を判断する材料として、それはちょうど女性における容姿のような役割を演ずるのです。美人は、初めに姿を見せた時は《常に正しい》のです。後になって、彼女は実は馬鹿で、退屈で、意地悪だということが明らかになったりするものですが、最初の内は、何と言っても、やはり軍配は彼女の方に上げられるのです。
「わたしの外国語学習法」ロンブ・カトー著 米原万里訳 ちくま学芸文庫 2000年
富翁
「わたしの外国語学習法」ロンブ・カトー著 米原万里訳 ちくま学芸文庫 2000年
富翁