〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(102)

2016年05月09日 16時38分55秒 | 小説
二人の借りてゐる二階の硝子窓の外はこの家の物干場になつてゐる。その日もやがて正午ちかくであらう。どこからともなく鰯を焼く匂がして物干の上にはさつきから同じ二階の表座敷を借りている女が寝衣の裾をかゝげて頻に物を干してゐる影が磨硝子の面に動いてゐる。
「ちよいと、今日は晦日だつたわね。後であんた郵便局まで行つてきてくれない。」とまだ夜具の中で新聞を見てゐる男の方を見返つたのは年のころ三十も大分越したと見える女で、細帯もしめず洗ひざらしの浴衣の前も引きはだけたまゝ、鏡臺の前に立膝して寝亂れた髪を束ねてゐる。
「永井荷風 ひかげの花」永井壯吉著 中央公論社 昭和二十一年
                           富翁
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ゴールデンウイークが過ぎて・・・

2016年05月09日 08時55分38秒 | 宗教
GWであったことすら気が付かないまま、時が過ぎました。
やんぬるかな。

割り算で 余りが出るとき 考えた
割り切れぬ 思いが残る 幾星霜
いつかやろう その「いつか」にいる わたしです
安楽
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