〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(99)

2016年05月06日 18時41分05秒 | 
 萎れてゆく花たちの美。花びらは身をよじる、まるで火にかざされているように。全く、文字どおりの脱水作用。花びらは身をよじる、種子を露出させるために。種子たちに、幸運を、自由な土地を与えようと決心しているのだ。
そのときだ、花にむかって現れるのは、自然が、みずから開く力が、みずから拡散する力が。花は、痙攣する、身をよじる、躊躇する。そして、育ててきた種子たちが自分を離れてゆく、その勝ち誇るままにまかせるのだ。
(「動物と植物」より)
「物の味方」フランシス・ポンジュ 阿部弘一訳 思潮社 1971年
                            富翁

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