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 私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

クラシカルF1の魅力

2010-11-25 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 1960年代、ホンダが初めてF1に参戦し始めた頃のF1マシーンは、シンプルで魅力あるものと感じます。いわゆる葉巻型と云われる細長いボデーから左右前後に突き出したタイヤで、空力的な付加物は一切なしというものです。
 現代F1と比べて見れば、その違いは驚く程ですが、特に車高(最低地上高)が高いことは現代の水準から見ればビックリします。たぶん、現代の市販スポーツカーより車高は高い程で、ラリーのグラベル路(未舗装路)を走れる程の車高と感じます。
 昔の映画で Grand Prix (グラン・プリ)というのがあり、当時のF1マシーンの走る姿を見ることができますが、良く上下に動くサスペンションに関心します。特に、今はないイタリア・モンツァのバンクでスムーズに上下するホイールの動きは、いかにこのバンクのアンジレーションが大きいかを感じます。そして、これに対応するには、この様な長いストロークを持った柔らかいサスペンションが必用だったことが判ります。以前、富士スピードウェイで、昔使われていた第1コーナーとなる30°バンク(メモリアルとして保存)を見たことがありますが、やはり路面の荒れは凄いものでした。この様なバンクは、通常のロードローラーでは舗装工事は困難でしょうし、当時の技術では平滑さを追求するのが困難だったのでしょう。
 車高も高く空力的付加物もボデー形状もないという当時のF1では、ダウンフォース(下向きの力)が働きませんので、コーナーリング時の求心加速度はバンク路を除き、いかなレーシングタイヤでも1.2G程度が限界だったのではないでしょうか。現代の市販スポーツカーでも、最大求心加速度は1..4G程度が出せる様ですから、テクノロジーの変化は凄いものです。なお、現代F1では、ダウンフォースは車重の2倍を超えると云いますから、高速コーナーでの話しですが、4Gを超え5Gに近い求心加速度を持つ様です。
 シンプルで魅力を感じるクラシカルF1マシーンですが、多くの悲劇を生んで来たことも忘れてはならないことです。当時のスチール製チューブラーフレーム(いわゆるスペースフレーム)やアルミモノコックにおいては、クラッシュ時のボデー変形は凄まじく、ドライバーの命を奪うことも多であり、軽度な場合でも足の骨折なども多々であった様です。また、変形が燃料タンクに及んだ場合、ラバーで包んだ安全タンクといえども大変形には耐えられず、燃料漏れからドライバーが火炎に包まれてしまうという悲惨な事故もあった様です。この様なクラッシュ時の欠点も、現代F1ではカーボンによる一体成形により安全性は著しく向上しているとのことです。
 しかし、性能も安全性も大きく劣るクラシックF1ですが、そのシンプルさなど、魅力あるものとして見えるのは私だけでしょうか。


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