私の思いと技術的覚え書き

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【パーツ研究】エアバッグ用スパイラルケーブル

2021-03-14 | BMWミニ
 メーター内のエアバッグ警告灯が点灯している。OBDスキャナーでエアバッグのDTCエラーをリセットしてやると同警告灯は消灯する。しかし、左右にハンドルを振る動作を行うと、比較的短時間で同警告灯が再点灯してしまった。

 とここまでを知れば、ドライバー用エアバッグと本体側を接続しているスパイラルケーブルになんらか瞬断する要因があるだろうということの推察ができる。つまり、エアバック装備以前の昔の車両は、回転円盤に接点が接触するホーンコンタクトプレートという仕組みであった。しかし、いかなるハンドル位置でも一瞬の瞬断も許さぬ信頼性を確保するため、電気的な接点を介在させずに、継続的な配線としてハンドル回転角の範囲を吸収するという仕組みがスパイラルケーブルだ。

 ということで、現車のスパイラルケーブル部は非分解部品で、内部の細分化部品の設定もないのだが、どんな具合に今回のトラブルは生じているのだろうかと分解して調査してみた。

 該当車はBMWミニR56型だが、部品補給としてのスパイラルケーブルは単独の設定はなく、左右のフラッシャーやライト、そしてワイパーの各スイッチを含むコンビネーションスイッチ部と、さらに内部にはステアリング切れ角度を検出するステアリングアングルセンサーまでを統合したセット部品Assyとしての補給となっている。

 本件のスパイラルケーブルは、平行な12本のおそらく薄銅フィルム状配線を樹脂フィルムでラッピングされたものが使用されている。その状態を観察すると、ある一箇所の最外側配線部に強く折り曲げられ、塑性変形して元に戻らない状態にある部位があることが観察された。例えて見るとワイヤーロープなどで、カクッと折れ曲がった様な状態を「キンク」していると表現することがあるが、それに近似した様な状態といえる。

 ハンドル操作に伴い、リール状に巻き込まれたスパイラルケーブルは、引きもしくは押し力に応じて、引き巻き込まれ、また押し込まれて行くのだが、キンク部位がどうしても大きな応力を受け続けて、内部の薄銅フィルム状配線部をさらに強く曲げ、もしくは戻すという動作を繰り返すことになりそうだ。つまり、同部素材の疲労破壊の状態に至らしめている可能性がある様に想像される。

 何故、先のスパイラルケーブルに「キンク」状部が生じたのかだが、製造時から生じていたとは考え難い。同ケーブル類は、巻き取りおよび引き出しの擦れ合う動作の際、なるべく摩擦を少なくしたいという配慮のためだろう、グリスが塗られた状態にある。しかし、なんらかの切っ掛けで押し動作の過程で摩擦抵抗が大きくなり過大に曲げられキンク状部が生じてしまう場合もあると推察される。そして、一度キンク状部が生じると、さらに集中して同部には曲げ動作が反復するから、配線内部の疲労破壊に至っているのではないだろうか。






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