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新憲法の日本語訳(17)

2006年01月17日 | ミャンマー新憲法
県裁判所と郡区裁判所の司法権の範囲
315 県裁判所、自治管区裁判所、自治区裁判所は法律に基づき第1審の刑事事件、民事事件、控訴審、修正審査、また法律により指定された事項について司法権を行使する権限がある。

316 郡区裁判所は法律に基づき第1審の刑事事件、民事事件、また法律により指定された事項について司法権を行使する権限がある。

317 連邦国内の司法に関する全ての事項は、憲法またはその他の法律に基づいて設置された裁判所において法律に従って任命された裁判官が管理する。

318 
(ア)管区または州の裁判所の監督下にある各裁判所において、裁判官の任命、判決を出す権限を委任すること、職務、職権、権利などの規定は、法律に基づいて行なうこと。
(イ)連邦最高裁判所、管区または州の裁判所及びその他の各裁判所において、上級公務員、その他の公務員を含む公務員を組織すること、職務、職権などの規定は、法律に基づいて行なうこと。

軍事裁判所
319 第293条の(イ)項の規定により、軍事裁判所を憲法とその他の法律の規定により設置し、国軍に属する者に対して裁判を行なう。

憲法調査委員会
320 憲法に関する調査委員会を議長を含む9名の委員により設置する。

321 大統領は自分自身により選出した委員3名、国民議会が選出した委員3名、民族議会が選出した委員3名の合計9名の名簿と、憲法調査委員会の議長として指名する1名の名簿を連邦議会に提出して承認を得ること。

憲法調査委員会の職務
322 憲法調査委員会の職務は以下の通りである。
(ア)憲法の各規定について、詳しい解釈を行なう。
(イ)連邦議会、管区議会、州議会、または自治管区、自治区の執行部が制定した法律が憲法の規定に反していないかを調査する。
(ウ)連邦国、管区、州、自治管区、自治区などの行政権を執行する当局が行なった行動が憲法に反していないかどうかを調査する。
(エ)連邦と管区の間、連邦と州の間、管区と州の間、管区と管区の間、州と州の間、管区または州と自治権を得た管区または州との間、自治権を得た管区または州同士の間、などに起こった憲法に関連する紛争について決定すること。
(オ)管区、州または自治権を得た管区または州が連邦が制定した法律を実行しているとき、連邦と管区、州、自治権を得た管区、州の権利と責務に関して起こった紛争について決定すること。
(カ)連邦の領土に関して、大統領が報告してきた事項を審査し、決定すること。
(キ)連邦議会が制定した法律により与えられた職務。
憲法調査委員会の職務
323 裁判所が事件を審査し裁判するとき、法律に含まれる規定が憲法に反するかどうか、整合性があるかどうか、紛争が起きた場合、その紛争に関して憲法調査会もその時点までに前例の決定がない場合、当該裁判所は裁判を中止し、自分の意見を定められた方法に従い、憲法調査委員会に提出し、その決定を得ること。その紛争に関して、憲法調査委員会の決定は事件全体に効力を及ぼす。

324 憲法調査委員会の決定は最終決定である。

憲法調査委員会から意味の解釈、決定、意見を得るために申請すること
325 憲法調査委員会から意味の解釈、決定、意見を得るために申請するために、以下の人物は憲法調査委員会から意味の解釈、決定、意見を得るために直接、申請できる。
(ア)大統領
(イ)連邦議会の総裁
(ウ)国民議会の議長
(エ)民族議会の議長
(オ)連邦最高裁判所の長官
(カ)連邦選挙管理委員会の議長

326 以下の人物または組織は憲法調査委員会から意味の解釈、決定、意見を得るために定められた手続きに従って、憲法調査委員会に申請できる。
(ア)管区または州の知事
(イ)管区または州の議会の議長
(ウ)自治管区または自治区の執行部の首長
(エ)国民議会または民族議会の総代議員数の10%に当たる代議員

憲法調査委員会の議長と委員の任命
327 大統領は連邦議会の承認を得た議長と委員を憲法調査委員会の議長と委員に任命する。
328 憲法調査委員会の委員になるための資格条件を満たしていないという明らかな理由がない限り、連邦議会は大統領がまとめた名簿に記載された人物を憲法調査委員会の委員として任命することを拒否することはできない。

329 大統領は憲法調査委員会の委員として任命した者が連邦議会で承認を得られなかった場合は、憲法の規定に基づいて新たな名簿を連邦議会に提出することができる。

330 憲法調査委員会の委員の一人が、
(ア)いずれかの議会の代議員である場合は、憲法調査委員会の委員として任命された日から議会の代議員を辞職したものとみなされる。
(イ)国家公務員の場合は、憲法調査委員会の委員として任命された日から、現行の公務員制度に関する規則に従って、公務員を退職したものとみなされる。
(ウ)政治政党の一員である場合、憲法調査委員会の委員として任命された日から、任期が終了する期間中、政治政党の活動をしてはならない。

331 憲法調査委員会の委員に属する者が任期の途中で自分の意志により辞職したい場合は、大統領に辞職願いを提出し、辞職することができる。

332 ある事情により、憲法調査委員会の委員のポストが空席になった場合、大統領は憲法の規定に基づいて、憲法調査委員会の新委員を任命できる。

憲法調査委員会の委員になるための資格条件
333 大統領、国民議会の議長、民族議会の議長は議会の代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下の資格条件を満たす者の中から委員を3名ずつ選定する。
(ア)年齢が50歳以上の者
(イ)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(ウ)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(エ)
(1)管区または州の裁判所の裁判官として最低5年間の職務経験があること。
(2)管区または州レベル以上の司法関係の職務または法律関係の職務を最低10年間の勤務経験があること。
(3)裁判所の弁護士として最低20年間の職務経験があること。
(3)顕著で立派な功績のある法律専門家であると大統領が認めた者。
(オ)政治政党員でない者。
(カ)議会の代議員でない者。
(キ)政治、行政、経済、治安維持に関して見識のある者。
(ク)国家と国民に対して忠誠心のある者。

憲法調査委員会の議長と委員に対する弾劾
334
(ア)憲法調査委員会の議長と委員に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)第333条に掲げてある憲法調査委員会の委員になるための資格条件を満たさない者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)憲法調査委員会の議長または委員の一人に対して弾劾を行なう場合、連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官に対する弾劾を規定した第302条の規定に従うこと。

憲法調査委員会の任期
335 憲法調査委員会の任期は連邦議会の任期と同じく5年である。
しかし、憲法調査委員会の任期が終了しても憲法に基づいて大統領が新たに憲法調査委員会を設置するまでの期間、現在の憲法調査委員会が引き続きその職務に当たる。

336 憲法調査委員会の構成、連絡、議長と委員の職務、職権、権利などは法律に定める。





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