ミャンマー・日本語学校ブログ

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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

新憲法の日本語訳(19)

2006年01月19日 | ミャンマー新憲法
第8章 国籍、国民の権利と義務

345 以下に掲げる条件を満たす者は、ミャンマー連邦共和国の国籍を持つ国民である。
(ア)ミャンマー連邦共和国の民族である両親から生まれたもの。
(イ)この憲法が発効する日において、法律によりミャンマー国民となっている者。

346 ミャンマー国籍者、国籍の取得、国籍の離脱などは法律の規定通りである。

347 国家はいかなる者に対しても法律の範囲内で平等に機会を与えること。
また、法律による保護による恩恵を平等に享受する権利を与えること。

348 国家はミャンマー連邦共和国のいかなる国民に対しても民族、出身地、宗教、地位、階級、文化、性別、裕福か否かなどによって、差別してはならない。

349 国民は以下に掲げる事項を行なうにあたって、平等な機会が与えられること。
(ア)国家公務員の職務
(イ)労働をすること
(ウ)商業を行なうこと
(エ)企業活動を行なうこと
(オ)手工芸などの職人の仕事
(カ)文科系/理科系の各学問を研究すること

350 女性は同一の職務内容において、男性が得ている機会と、男性が得る賃金と同一のものを得る権利を有する。

351 母親、子ども、妊娠している女性は法律によって特別の機会を等しく享受することができる。

352 国家は雇用するに際して、また公務員を採用するに際して、定められた資格条件を満たす場合は、ミャンマー連邦共和国のいかなる国民に対しても、民族、出身地、宗教、性別により差別をしてはならない。
しかし、男性にだけ適する職位については、この規定により採用するにあたって、障害があってはならない。

353 いかなる者も現行の法律に基づかなければ、生命や個人の自由を侵すことはできない。

354 いかなる国民も国家の治安、法律による支配、国家の安寧または国民の公共福祉のために、制定された法律に反しなければ、以下の機会を自由に行使する権利を有する。
(ア)自分の信念、意見、思想などを自由に表現・発言する権利。それらを出版、配布する権利。
(イ)武器を持たないで、平和的に集会を行なうこと。平和的に行進すること。
(ウ)団体、協会などを組織し、運営すること。
(エ)民族と民族または各民族の間であれ、他の宗教に対してであれ、危害を与えなければ、自身の愛する言語、文学、文化、宗教、慣習などを自由に行なう権利を有する。

355 いかなる国民もミャンマー連邦共和国内において、いかなる地域にも法律に従って居住する権利を有する。

356 国家は国民が正式に取得した動産・不動産に関して法律に従って、保護すること。

357 この憲法の規定に反しない限り、国家は国民の住居の保護、財産の保護、信書やその他の通信の保護を行なうこと。

358 国家は奴隷や人身売買を防止すること。

359 国家は法律を侵したために懲役刑を受けた場合や公共の福祉のために、国家が法律に従って労務を与えた仕事以外では、強制労働を禁止する。

360 
(ア)宗教の信仰に関して、経済活動、金融活動、政治活動、その他の活動に関連がある場合は、第34条に表記された宗教の自由の権利に含まれるものではない。
(イ)そのように宗教に関連して自由な機会を与えたが、公共の利益や改善のために国家の立法権を妨げるものではない。

361 国家は仏教を国民の大多数が信仰する宗教であり、名誉ある宗教として認定する。

362 国家はキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、ナッ精霊信仰をこの憲法が発効する日において存在する宗教として認定する。

363 国家は認定した宗教をできる限り支援し保護する。

364 政治の目的のために宗教を利用してはならない。また、民族や宗教の違いにより、グループ間または宗派間に憎しみ、敵視、仲違いを起こさせること、そのような行動をすることはこの憲法に反する。そのような行動には刑罰を課すように法律で定めることができる。

365 国民はすべて自分の愛する文学、文化、芸術、慣習などを自由に保護、育成、発展させ行なう権利を有する。そのように行なうに際して、全民族の団結を損なうことがないようにすること。また、自分たちの行動がその他の民族に対して不利益を与えるような場合は、当事者の民族同士で十分に協議し、解決してから行なうこと。

366 国民はすべて国家が定めた教育に関する基本原理に基づいて、
(ア)教育を受ける権利
(イ)法律に規定した義務基本教育を受けること。
(ウ)科学技術の振興、文学や芸術の発展のために創造や創作すること、自由に研究することなどの権利を有する。

367 国民はすべて国家が定めた保健衛生に関する基本原理に基づいて、保健衛生に関する政策の恩恵を受ける権利がある。

368 国家は優秀な人材に対して、民族、宗教、性別を問わず、その能力に応じて表彰や支援を行なう。

369 
(ア)国民はすべてこの憲法や関係する法律に反しなければ、国民議会、民族議会、管区議会、州議会のいずれにも選挙権と被選挙権を有する。
(イ)関係する選挙権を持つ者は議会の代議員を法律に従って罷免できる。

370 国民は国内の経済活動を発展させるために、経済的な事業を法律に従って自由に行なう権利を有する。

371 国家は国内の経済活動を発展させるために、技術、投資、工業技術、原料などの取得のために協力すること。

372 この憲法の規定や現行の法律に反しなければ、経済的事業を行なうに際して、財産の所有権、使用権、自己による開発権、特許権などを国家が保証する。

373 犯罪を侵したいかなる者も、犯罪を犯した時点で有効な法律により、罪を裁かれる。
また、該当する法律に規定されている刑罰を超えて刑罰を与えることはできない。

374 ある人物が司法権の権限を有する裁判所において有罪であると判決が下された場合であれ、無罪であると判決が下された場合であれ、その犯罪について、上級の裁判所が却下し再審理を命令した場合を除いて、その人物は同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任は問われない。

375 犯罪を侵したとして容疑をかけられた者は、法律に従って異議申し立てを行なうことができる。

376 国家の治安維持、法の支配、公共の福祉、平穏及び公共の利益のために、法律に従って、事前に準備しておくことが必要な事項、または現行の法律により許可された事項の他は、司法権が与えられた裁判官の令状がなければ、いかなる者も24時間以上拘束されることはない。

377 この章の規定により与えられた権利を得たい場合は、指定された条件と共に、連邦最高裁判所に申請をする権利を有する。

378
(ア)この章において与えられた権利を行使するために申請した場合につき、連邦最高裁判所は以下の命令を相応な範囲で発令する権限を有する。
(1)進言する命令
(2)権限を与える命令
(3)禁止する命令
(4)関係当局に質問する命令
(5)召還命令
(イ)連邦最高裁判所に対して委任された命令を発令する権限は、法律によって他の裁判所に委任された命令を発令する権限を制限するものではない。

379 以下に掲げる状態が起きた場合は、公共の治安のために必要な事項の他は第377条に掲げる事項を請求する権利を中止させることはできない。
(ア)戦争が起きているとき
(イ)外国から侵略を受けているとき
(ウ)騒乱、騒擾が起きているとき

380 外国と繋がりがある、いかなる国民も国内であれ、国外であれ、国家による保護を要請する権利がある。

381 以下の掲げる状態の他は、国民が正式に取得した債権のために、法律に規定された所有権を否定されることはない。
(ア)外国から侵略を受けているとき
(イ)騒乱、騒擾が起きているとき
(ウ)非常事態になっているとき

382 防衛部隊または治安の維持を担っている部隊に対して、その責務を十分に果たすために、また規則正しく行なわせるために、この章において与えられている権利の中で、制限を受けるかまたは撤回される権利を法律に規定し、それに従って制限または撤回される。

383 国民は以下に掲げる事項を遵守する責務がある。
(ア)連邦制を崩壊させないこと
(イ)全民族の団結を維持すること
(ウ)国家の主権が永久のものとすること

384 国民はすべてこの憲法に含まれる規定を遵守する責務がある。

385 ミャンマー連邦共和国の独立、国家の主権、領土の安定を防衛し維持することは国民すべての責務である

386 国民はすべて法律の規定に従い、軍事教育を受けることと、国家を防衛するための兵役の義務がある。

387 国民はすべて連邦精神に則り、民族同士が団結し国民すべてが平和で平穏な生活を送れるように努力する責務がある。

388 近代的な発展した国家を作り上げることは国民すべての責務である。

389 国民はすべて法律に従って納税の義務がある。

390 国民はすべて以下に掲げる事項について国家に協力する責務がある。
(ア)文化遺産の保護
(イ)自然環境の保護
(ウ)人材の育成、発展のために努力すること
(エ)公共の財産を保護、維持すること




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