ミャンマー・日本語学校ブログ

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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

日本人なら日本語が教えられる?

2008年09月04日 | 日本語学校
「日本人なら、誰でも日本語が教えられる」と簡単に信じている日本人は意外に多い。

これは大きな間違いで、外国人に日本語を教えるにはある特殊な能力が必要なのだ。

ある程度、日本語を勉強し基礎ができた生徒に対してなら、あまり問題はない。

しかし、全く日本語が初めてという生徒には、ゼロから順々にステップアップしていかないと、さっぱりわからなくなってしまうのだ。

外国人に日本語を教えるのと、日本人の子どもに日本語を教えるやり方は全く違う。

「初級なのだから、日本の小学校の教科書で教えればいいや」

という考えでは絶対にダメで、外国人には外国人用の教科書を使用しなければならない。

例えば、動詞の活用形を教えるときは「動詞1グループ、2グループ、3グループ」という特殊な分類の仕方をする。

日本の小学校にように「五段活用、上一段活用、下一段活用、サ行変格活用.....」という分類の仕方では外国人は絶対に理解できない。

形容詞は「い形容詞、な形容詞」という二つに分けて説明する必要がある。

また、丁寧体(~です、ます)と普通体(~だ)の2系統をきちんと分けて教えなければならない。

これらは外国人に日本語を教えるために便宜上考えられた方法で、日本語教師養成講座400時間を修了した人なら、誰でも知っている内容であるが、日本の小学生に教える教師(国語科の教員免許)ではダメなのだ。

何年か前に、
「私は○○県で小学校の先生をしていました。日本語なら教えられるのでやらせてください。」
という人がいた。

試しに1ヶ月ほどやってもらったが、生徒からは「全然わからない。言っていることが理解できない。」クレームの嵐で生徒からの評価はさんざんだった。

それで仕方なく、「日本語教師養成講座に通ってから、もう一度来てもらえませんか。」とお願いすることになった。

一方、教わる生徒のほうも外国語(=日本語)というものを簡単に考える傾向がある。

「来月から日本へ行くことになったから、短期集中2週間で基礎を全部教えてください。」

このようなリクエストがよくある。

そんなとき私は、
「教える立場から言えば、2週間で全部教えることは可能です。でも、そんなことをしたら、あなたの脳ミソは沸騰して爆発するでしょう。そして、何一つ頭に残らないでしょう。」
と答えている。

そうすると先方は決まって同じようなことを言う。

「英語の塾では海外に出る前に2週間の短期コースで教えていますよね。なんで日本語はできないのですか?」
と質問してくる。

「あのですね.....あなたはミャンマーの中学校から高校、そして大学と何年間英語を勉強してきましたか?少なくとも6年間は勉強していますよね。英語は基礎があるから、出発前の2週間で十分なのですよ。日本語はあなた初めてでしょう?たった2週間で何ができるというのですか?」

このようなやり取りはこれまで何回あっただろうか。

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